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【連載】ファイアーループ足立のライブハウスなんかやめてやる!!/第49回

<毎週日曜日連載>




テクノロジーはおもしろいけどね

コロナの影響でイベントが少ないので、去年から今日にかけてずいぶんPA及び現場に立つ機会が減りました。その空いた時間で何をしていたかと申しますと、遊んでおったのです。こう書くと怠けてたみたいで誤解を招きかねないのですが、とにかく「面白い」って何だ、今後面白くなるものはなんだ、今後長く面白いものは何だ、みたいなのを散々考えた時期でした。こんなにエンターテイメントについて真面目に考えたこともなかったので良い機会だったと思います。

いろいろ触って、やっぱりライブがいちばん面白い!音楽や楽器が一番面白い!で、お酒大好き!お酒飲んで好きな人と喋るの、めちゃめちゃ面白い!ってプリミティブな喜びを再確認した時期でもありました。しかしながら最新テクノロジーによるエンターテイメントも僕は大好きなので、そんな記事には常に興味を持って接しています。「こいつらは敵か味方か」そんな目でも見ています。ライブハウスを始めとする世のエンターテイメント市場をかっさらおうとしている勢力は無数にあるのです。今後の世の中を見極め、生き残るため、とか言うとちょっと悲壮感が出てアレですけど。

オリンピックの開会式で話題になりましたが、大量のドローンによるピクトグラム、すごかったですね!あれはまさしく「立体映像」です。巨大な立体映像、生で見たかったなあ。

でもこれって中国ではしょっちゅうイベントで使われているし、最新技術というには力技すぎるような気もします。某巨大企業主導のオリンピックセレモニー(開会式とはまた別のやつ)ではドローンの周りにグルグル回るLEDワイヤーを付けて球体の浮遊ディスプレイを実現しておりましたが、これも力技っちゃ力技です。LEDで光る服も新技術じゃないし、聖火ランナーの周りを走り回る自走式ドローンも、アクリル板を使った透過映像も、2眼VRの生配信も新技術ではないです。なんだかエンターテイメント・テクノロジーは行き詰まり感が否めないんです。いろんな思惑があんまり噛み合ってない気がします。

これだけ聞くとただの「おもんながりのオッサン」みたいに聞こえるでしょうが、もう技術は出揃っているわけだから、後は使いようだと言いたいのです。これを使ってどんな面白いことができるかな?それでどれくらいみんなが面白がるのかな?とアイデアをたくさん出すのが今後、最重要になることは間違い有りません。こういうのって大体が最終的に「大衆の目を引く次世代サイネージ」として着地しますが、これが本当に勿体ない。何か売りたいモノやサービスの宣伝に使うばっかりじゃなくてさ、その技術自体をコンテンツにして、それで遊びましょうよ。今どき、そういうのは成り立たないんかなあ。もっと面白いこと、ないかなあ。

思い返せば2020年5月頃、「ライブハウスはステージ前にアクリル板などの遮蔽物を設けて、飛沫が客席に飛ばないように」と行政からお達しがあり、せっかくならそのアクリル板にプロジェクターで映像が出せるようにしようぜ、という話になりました。絶対おもろいやん!って仲間内で盛り上がって、そのときの僕は「たぶんアクリルとかに塗ったり貼ったりするだけで透過映像ができる技術が(今なら)あるに違いない」くらいの認識でした。ぜんぜん考えないまま当時希少になってしまったアクリル板を慌てて購入したはいいけど、どうやったらいいか皆目検討がつかない、という時期がしばらく続きます。調べても調べても何も出てこない。それらしいものがあったとしても、もうどこにも売ってない。「透過映像の技術」が2010年あたりで止まっていたんです。これには少し驚きました。

パフュームがライブで使って話題になった「ディラッドスクリーン」からもう10年以上経っていたし、網戸でアレみたいなことできるぞ!農ポリでもアレみたいなことできるぞ!初音ミク召喚できるぞ!ってオタク達が盛り上がってたのが2010年前後。あれからずいぶん経ってるんです。有志からもっといいやり方が発明・発見されていたっておかしくない。が、僕がインターネットでかろうじて見つけた「その先の技術」は、信じられないくらい高額な透明ディスプレイでした。透明なアクリル板みたいなのににちゃんと映像が「出る」。これはマジで凄いらしいですが、こんなもんライブハウスのステージ前に置けるはずがない。バンドはギターをブンブン振り回して暴れるんです。

あともうひとつ、透過映像で2010年以降に作られたものがありました。そもそもは19世紀に考案された「ペッパーズ・ゴースト」というやつです。

コレ当時めちゃめちゃウケたそうで、ディズニーランドでも「ホーンテッドマンション」っていうアトラクションで採用されています。さっき調べたところ、なんと開設1969年らしいですよ!で、今も現役の人気アトラクション。凄いですね!面白いものはずっと面白いんですね。

そして、上の図の「人形」をディスプレイに置き換えたのが今いちばんイケている「デカい透過映像」で、例のオリンピックセレモニーでもゴリッゴリに使われておりました。

こいつに今いちばんイケてるリアルタイムCGを映すというなんともイケイケな演出で、会場のお客さんからは本当にCGが「浮いている」ように見えたんではないでしょうか。

ただし、コレやろうと思ったら数億円くらい余裕でかかりますからね?まず「でかい1枚もんのガラス(か、アクリル板)」を斜めに立てなきゃならないです。横に斜めじゃなくて、覆いかぶさるみたいに斜めにです。分厚いとディスプレイの映像が二重になりますから薄くて超丈夫なやつじゃないとダメです。たわんでもダメ。これだけで一体いくらかかるんでしょうか。あと巨大高輝度LEDディスプレイパネル。これ50センチ四方で50万円くらいするやつを数百枚用意するわけですからべらぼうです。こんなにお金をかけられるのはオリンピックくらいです。

ちなみに、上で書いた「透明ディスプレイ」だとこの10倍は余裕でかかると思います。むりです。てゆうか、そんな巨大なモノは開発されてないです。どうせえっちゅうねん。

で、僕が考えに考え試しに試した末に行き着いたのが、ここ10年の間だれも見向きもしなかった「網戸+プロジェクター」だったというわけです。なんちゅうローテクや。ツイッターのリプ欄で「懐かしい」「昔やったことある」「TMNがやってた」「いやもっと前に平沢進がやってた」とか言われるくらい古い古い方式です。しかしながら、これがいわゆる枯れた技術(※良い意味)であり最適解であると見て、色んなメーカーの網戸を試したり引っ張ったり色を塗ったりクリア振ったり濡らしたり振動させたり蹴ったり殴ったり裂いたり(強度テスト)燃やしたりクシャクシャにしてアイロンかけたり、そんな2020年でした。そんな僕が断言します。けっきょくのところ、網戸方式が最強です。しかも、少なくともあと10年は最強であり続けます。ほんとだよ?OK、宣伝はここまでにしておきましょう。

ここからがとっても短い本題です。

こんな面白いもの、なんでみんな掘るのをやめちゃったんだろうね?これがとにかく疑問です。オタク文化が今、ぜんぜんアツくない。これ多分、メディアがスゲーやつ(ペッパーズゴーストとアクリルとディスプレイパネルとCGみたいに)見せびらかして、マウント取りすぎたんではないかと思うんです。で、みんな「とうてい俺達にはムリだ」って思わせてしまったんではないかと。「これが最新技術だよ!でも、死ぬほどお金がかかるから君たちにはムリだけどね?」って見せびらかす意味がどこにあるのか、本当にわけがわからない。しかもカメラ越しだから、いつも色々「盛って」ます。がっかり観光名所と同じ過ちを犯しながらも、マウント取ってみんなを引かせている。参加の敷居を上げまくってどうする。

大事なのは、みんながそれで遊べるかどうかです。もっと盛り上げ上手じゃないとダメだよ!「面白いあそび考えたから、みんなでやろうゼ!」っていう小学校のクラスの人気者、パリピみたいなスタンスが今すごく大事なんじゃないかな。コレがどうも世のテクノロジー畑に足りていない気がします。凄いことを発明する人が発明だけして、有能なパリピにそれを託せていないんじゃないでしょうか。だから5Gとかすごい技術も「速いです」「だから何?」にしか見えないんです。生き生きしたワクワクを感じない。取って付けたように「5Gなら、遠方の人とフェンシングで戦えます」とか言われたって、いや有線LANならもっと遅延少ないからね?なんでわざわざモバイルでそんな遊びやるんだよ。全部バレバレなんですってば。そんなんじゃ盛り上がらない。もっと「5Gにしかできないオモシロイコト」を伝える能力のある、オモシロイ人が今の世の中には必要なんです。

なんで突然5Gディスりだしたのか自分でもよくわかんなくなってきました。考えは全然まとまってません。まとまってはいませんが、でも世の中が抱える問題にはうっすらと、ただし大量に気付いているつもりです。すごくオモシロイ物が世の中にはたくさんあるので、あと少しのキッカケやアイデアで世の中は飛躍的に元気になるんではないかな。考える時間が今はたっぷりあるので、そのうちまとまると思います。まとまればまた面白くなるし、僕らがどうたち振る舞うべきか、どう生きるべきかもそこから見つかると思うのです。なのでもうちょっと待ってください。ではまた来週!

ライブハウス『Fireloop』店長/足立 浩志

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プロフィール

足立 浩志

大阪府大阪市のライブハウス

寺田町Fireloop』店長

Twitter:@adatinc

大阪にある、寺田町Fireloopという面白ライブハウスのオーナーで店長です。大喜利が大得意ですが、気の利いた答えを出すまでに1日かかります。

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