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【連載】ファイアーループ足立のライブハウスなんかやめてやる!!/第45回

<毎週日曜日連載>




ライブハウスのビジネスモデル

おはようございます。ファイアーループの足立です。先週はすいませんでした!全国の「ライやめ」ファンの皆様、今週からはちゃんと書きます!

今日は、タイトルからすごい大風呂敷を広げてます。おまえライブハウスの何を知ってるってんだよ、ただのPAだろって罵声が飛んできそうですが、大丈夫大丈夫、あんまりブッキングとかやってないとは言え20年ライブハウスやってますからね?あと、ここのコラムを読んでる人は恐らく僕に好意的なので、もうビビらず書いちまいましょう。良かった、コメント欄とか無くて!

僕がライブハウスを始めたのは2001年9月。この頃のライブハウスの収益は主に「ノルマ」と「ホールレンタル代」でした。ノルマというのは、まだまだ駆け出しでファンがあんまり付いてないバンドに「ウチに出させてやるから、チケット何枚か買い取ってや」「それ以上売れたら、なんぼかバックしたるわ」というなんとも殿様商売なシステムです。でもその頃はそれで立派に成り立っていました。今よりたくさんバンドがいて、今よりライブハウスが少なくて、「ライブハウスに出たいバンド数」が「ライブハウスの枠」より大幅に多かったからです。端的に言うと、ライブハウスに出たくてもなかなか出られないっていう状況だったんですね。

これよりもうちょっと前には、もっともっとバンドが多くて、もっとライブハウスの枠が少なくて、「ライブハウスに出たかったら、実力(or 人気)があるバンドから順番に」という時代がありました。聞いたことあるでしょうか。「オーディションライブ」、つまり平日の昼間とかとんでもない時間に、ノルマを課して、「ライブハウスがバンドを選ぶ」というイベントが行われていたのです。これが良かったかどうかは置いておきましょう。

さて少し時代は進んで2005年頃から「バンドはライブハウスの客じゃねえ!」と怒るバンドマンが増え始めました。ライブハウスがバンドマンから金をふんだくって、のうのうと儲ける(ことのできる)時代はとっくに終わり、なんだかライブハウスがバンドの敵みたいな扱いになりました。バンドマンからは「適当にブッキングして、適当にノルマ取って、適当に次のライブ決めて儲けてる」ライブハウスはさぞかし悪者に見えたことでしょう。しかもこの頃からライブハウスは別の問題を抱え始めます。それはなんとクオリティ。ライブハウスのクオリティ戦争がいつの間にか始まって、バンドの取り合いが始まって、でもノルマは嫌がられるわ維持費がどんどん膨らむわでライブハウス界隈は見る見る貧乏になっていきました。

ノルマの話になれば必ず出る「海外のライブハウスはノルマなんか無くて、むしろちゃんとギャラが出て」なんて話を聞いたことがあると思います。バンドマンからしたらイイ話ですが、その「海外」と「日本」はずいぶん状況が違います。まずは防音。日本は狭いので、とにかくめっちゃくちゃに防音しないと苦情が来てとても営業できませんから、まず建てるのにべらぼうなお金がかかります。この時点で大借金。次に広さです。日本は狭いですからライブハウスも狭いです。狭いと机や椅子なんか出せません。飲んだり食べたりゆっくりするくらいのスペースを確保すると、ぜんぜんお客さんを入れられない。たとえばファイアーループは200人キャパってことになっていますが(最大で250人くらい入ったこともある)ここで飲み食いレストランみたいにしようと思ったらうーん、20席もあったらちょっと窮屈じゃないかな。近所のファミレスよりぜんぜん狭いですからね!

20人入れ替わり立ち替わり入ってくれればレストランとして成り立つんですが、ここはライブハウスですから最初から最後まで見たい人もたくさんいます。つまり日本でレストラン的なライブハウスを運営するということは「回転率の超悪いレストラン」をわざわざやるってことになる。これはそうとう地代や維持費が安くないと成り立たないのはお分かりでしょう。日本ではそのビジネスモデルはまず成り立ちません。チケット代(=集客)が日本のライブハウスのメイン収益になるのはそう考えるとごく自然です。だからといって駆け出しのバンドたちが毎回何十人もお客さんを呼べるわけではないから、これまた自然に「ノルマ」となる。

ノルマっていうと集金システムみたいに聞こえるかもしれないですが、ノルマが有ることで明確な目標があって、バンドが一生懸命プロモーションのことを考えるっていう、よくできたシステムなんです。実際、日本で30分のライブをやるための色んなコストを考えるとコレが一番バランスが良いとも考えます。

このシステムが生まれたのがいつ頃なのかは知りませんが、最初に考えた人はずいぶん賢いです。要は、そのシステムが今となってはずいぶん陳腐化してしまったというのが問題で、そっくりそのままだと時代に合わなくなってしまったんですね。不特定多数の人にネットを介して自分の音楽を聞いてもらえるようになったし、音楽ファンもネットでまぁまぁ満足できます。昔はノルマ有ってもお客さん呼ばなかったら怒られて、そういう「怖さ」もライブハウスの醍醐味だったのに、今は僕も含めてすごい優しいです。いや、勘違いしてもらっては困るんだけど「バンドが少ないから媚を売ってる」んじゃないですよ?少なくとも僕は昔からこんな感じですからね!!

なんかすごいノルマの話ばっかりですけど、日本のライブハウスは大体がチケット収益で成り立ってるんです。チケット収益およびノルマです。ホールレンタルとか持ち込みイベントとかの「会場費」とかです。で、あとはお酒の売上。グッズの売上と続きます。ライブハウスへのお金の入り口は、ハッキリ言ってこれくらいしか無いです。

では今回のタイトルである「ライブハウスのビジネスモデル」とは一体何なんでしょうか。なんのために存在しているんでしょうか。

文化を作る。とってもイイです。文化を作ることでお客さんがたくさん来ます。あれれまた集客力の話。

いいバンドを育てる。もちろんライブハウスの大事な役目です。いいバンドが育ったことでお客さんがたくさん来ます。

居心地のいいライブハウスにする。音や照明にこだわって、より良いショウを見せる。それによって、お客さんがたくさん来ます。

有名なバンドを呼べばお客さんはたくさん来るし、地元のバンドを有名にすればお客さんがたくさん来ます。もうどれもこれも「お客さんがたくさん来る」に終止してしまいますね?

こんな日本では、なかなかライブ音楽は育ちにくいのかもしれません。この問題が根本だと思います。上で書いた「クオリティ戦争」も日本のライブハウスおよびバンドマンの首を真綿で締めていく始末。これはぜひ打開策を編み出していくべきでしょう。しかし「お客さんがたくさん来る」っていうのを「ライブファンが増える」に置き換えると、ずいぶん健全になってきます。奪い合いではなく、いわゆる「パイを増やす」という考え方です。僕たちは結局、「ライブをやりたい人」と「ライブを見たい人」をどうやって増やすか、探すか、ばっかり考えているのです。あとはぜんぶ方法論だけです。だからあんまり具体的に言ってもそれはひとつのアイデアに過ぎなくて、ここで書いても仕方ない感じ。んー、もうちょっと言いたいことあったはずなんだけどな。なんか書いてる間にいろいろありすぎて忘れてしまいました。重ね重ねすいません。またこういうお話をする機会があると思いますので、その時はまたよろしく!

ライブハウス『Fireloop』店長/足立 浩志

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プロフィール

足立 浩志

大阪府大阪市のライブハウス

寺田町Fireloop』店長

Twitter:@adatinc

大阪にある、寺田町Fireloopという面白ライブハウスのオーナーで店長です。大喜利が大得意ですが、気の利いた答えを出すまでに1日かかります。

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