【インタビュー】Endless宵道/シングル3部作の第1弾『銀色、髪の香りを遺して』をリリース!

都内を中心に活動するバンド、Endless宵道(エンドレスヨミチ)。すでにミュージックラビッツ内で連載企画(【連載】音楽と僕らの共存論)を持っており、妖艶かつサイケデリックな雰囲気が魅力だ。
そんな彼らが、2021年6月から、シングル3部作のリリースを決定。インタビュー記事への登場は初ということで、バンド結成までの経緯や音楽性、そして今回の目玉となる3部作シングルの1作目に注目し、その魅力を探った。
コンセプトは、「暗くて泣ける曲」。誰かにとっての音楽の入り口になりたい。

――今日はよろしくお願いします!インタビュー記事初登場ということで、まずはバンド結成の経緯を聞かせてください。
永江晴夫(Ba.):はい。バンド結成に向けて動き始めたのは2020年1月で、同年の3月に正式に結成しました。ちょうどそのころに伊藤翔(Dr.)と組んでいたバンドが解散してしまったのですが、まだバンドがやりたいという話を彼としまして。「暗くて泣けるバンドをやりたいね」って話を始めたのがきっかけです。
伊藤翔(Dr.):以前はメンバー先行でバンドメンバーを募集していたのが、Endless宵道を組む際はまずバンドのコンセプトをしっかり固めました。その上で候補にあがったのが、後藤慶介(Vo.)です。
――そうなんですね。後藤さんとは、もともと知り合いだったんですか?
永江:はい、大学時代の軽音サークルのつながりで出会いました。その影響もあって彼の好きな音楽とか知っていたし、元々友達でもあったので結構しゃべる機会はあったんですよ。だから、彼がバンドをやりたがっているんじゃないかなって何となく予想もしていました。
――後藤さんは、もともと軽音サークル以外での音楽活動はされていたんですか?
後藤慶介(Vo.):それが全くしていなくて。軽音サークルで歌うかカラオケに行くくらいでした。サークル以外でのバンド活動は今回が初めてだったのですが、彼らに誘われたときは割と迷いなくその場でOKしましたね。居酒屋でバンドの話を持ち掛けられて、デモ音源も聴かせてもらいました。

――えらい逸材を見つけてきましたね(笑)。そのデモ音源は、後藤さんが歌うことを前提でつくったのですか?
伊藤:はい、彼とバンドやりたいと思っていたので。ちなみにこれまでのバンドでは僕がメインで作曲をすることがなかったのですが、このバンドでは割と僕がやりたいと思ったものを形にさせてもらっています。
――そうだったんですね。伊藤さんがメインで作曲されているとのことですが、Endless宵道の音楽性について少し深堀りさせてください。
伊藤:はい。曲調は、ヴィジュアル系の重たい要素とポストロックの影響を受けたようなギターロックの要素を混ぜたようなイメージです。ギターは7弦を使用していて、ヴィジュアル系バンドが好きな人にも聴き入ってもらえるような曲を意識しています。
――とはいえ、Endless宵道の楽曲はヴィジュアル系に特化しているわけではないですよね。
後藤:そうですね。ヴィジュアル系のエッセンスを入れつつも、メタルやJ-ROCKといったいろいろな要素が混ざったものを作っています。メンバー全員の音楽の好みが違うので。
伊藤:それから、「音楽に対する敷居を下げたい」という思いもあります。音楽ってコアなジャンルになればなるほど敷居が高くなるじゃないですか。メタルでいうと、Bullet For My ValentineやSlipknotのようなメタルコアバンドは、中高生の頃にはとっつきやすかったんです。そんなふうに、誰かにとっての「音楽の入り口」のような存在になりたいです。
――Endless宵道の楽曲は、ヴィジュアル系に特化しないことでとっつきやすさを出しているわけですね。ライブ活動は結構されていますか?
伊藤:いいえ、2本しかしていないです。バンド内で、まずは音源を作ってからライブをしようっていう方針があるんです。ライブでいいなと思ってもらえても、音源がないと継続して聴いてもらえないじゃないですか。音源があれば家でも楽しめますし、またライブに行ってみようかなとも思ってもらえるはず。リスナーにどういう楽しみ方をしてほしいかを検討して、この方針に至りました。
――となるとメインは制作で、その合間にライブをするイメージですか?
伊藤:そうですね。最初の1年でシングルとアルバムを出せたので、そのお披露目としてライブを2回やりました。音源という武器は出来上がったので、次はこれを広めていくフェーズに移りたいと思います!
3部作シングル『Time of Tears』をリリース。第1弾シングル『銀色、髪の香りを遺して』のモチーフは「香り」。
――今回シングル3部作の第1弾『銀色、髪の香りを遺して』がリリースされます。3部作通してのタイトルは『Time of Tears』となっていますが、楽曲制作当初から3部作でいくと決められていたんですか?
永江:いいえ。音源を複数作っていたのですが、“3つ”とは決まっていませんでした。3部作の全体を通したテーマが「涙」なんですが、それに合致する楽曲を選んだときにその3つが残ったという感じですね。
――なるほど。3部作の全体のテーマは「涙」ということですが、それぞれの曲についてはどうですか?1曲ごとにテーマが設けられていたりするんですかね?
伊藤:はい。まず今回の3部作のタイトルを『Time of Tears』と銘打っていますが、裏テーマは「時間」です。そこでシングル一つひとつのテーマを、「過去」「未来」「現在」としました。
――なるほど。そうしたら、1作目というのはスタートを切る意味でも重要な位置づけになってくると思います。1作目のシングルについて詳しく聞かせて下さい。
伊藤:1作目のタイトルは『銀色、髪の香りを遺して』。テーマは「過去」です。主人公が過去の出来事について歌っている曲で、中でも「香り」というのが強いモチーフになっています。実は人間の中で一番強い記憶って「嗅覚」と言われているんですよ。
――へぇ!そうなんですか!
伊藤:逆に映像とか人の顔とか、視覚的な情報は記憶が薄れがちらしいんですけど、ふとしたときに香りから人を思い出したりすることもあると思うんです。そんな実体験をもとに作りました。
――実体験がベースになっているというのはいいですね!3部作ということは、1作目の中に2作目に続く要素ってあるんですかね?
伊藤:いいえ、ストーリー自体は1作で完結ですし、登場人物もシングルごとに異なります。連ドラというよりかは、「世にも奇妙な物語」的なものです。3作連続リリースではありますが、一つひとつでも楽しめるようになっています。
――楽しみです!1作目のリリースでは リリックビデオを公開されるんですよね?
永江:はい。今回のシングルのジャケットはデザイナーのEnaさんとのコラボ作品なのですが、そのデザインをベースとしたリリックビデオを公開します。ジャケットの絵を生かしつつも歌詞が胸に響く仕上がりになっています。音源リリースと同時に解禁しましたが、実はその前にLINE公式アカウントで一足先に公開しているんです。
――そうなんですね!ファンクラブみたいです。
伊藤:今回の楽曲に限らず、リリース時にはLINEで一週間先に限定公開しています。ほかにも一部限定コンテンツがあって、プレス(リリース)で出した『ラベル』というMVのメイキングやアルバムのレコーディング風景はLINEで出しています。
――LINEならSNSよりも見逃しにくいですし、是非登録したいところですね。今回のリリースにあたって、レコ発ライブなどはありますか?
伊藤:レコ発ライブを企画しているわけではないのですが、今回の楽曲は7/11に立川BABELさん(@TachikawaBABEL)でのライブで初披露予定です。
――それは要チェックですね!あとは、ほかに1作目でこだわったポイントや見どころがあれば聞かせてください。
伊藤:一番大きいのは、今までの曲と少し毛色が違うところです。この曲はメタル要素や重い印象がなく、四つ打ちのリズムに軽めのギターでPOPに寄せた曲です。明るすぎず、寂しいくきれいな印象の曲にまとまっているので、いつもとは違った一面を見せられるんじゃないかなと思います。それからこの曲を作ったときによく聴いていたのが東京事変やゲスの極み乙女。で、その影響も少なからず出ていると思います。
――確かに東京事変やゲスの極み乙女。だと、POPの中にも暗い印象がありますよね。ひねった感じというか。
伊藤:そうそう、それはすごい参考にさせてもらいました。歌詞は「何言ってんだ?」って思われるような、気になる単語が入っています。まぁ、僕が思っているPOPが世間様からしたらPOPじゃないかもしれませんが(笑)。
――これまでと比べたら明るめというか、POPSに近いところに踏み込んだみたいな感じですね?
後藤:そうですね。聴きやすい要素を取り入れつつ、僕らのバンドとしての芯の通った曲になっています。そういう意味では、一番触れやすい曲ではありますね。
――しかし、テーマが「過去」とのことだったので、暗めというか、ノスタルジックな楽曲なのかと思っていたので意外でした。
永江:過去ってきれいな思い出として輝いて見えると思うのですが、その「一番きれいに見える」ことが、「一番暗い」と思うんですよね。
伊藤:表現としては真逆になっています。過去はいいものだし、未来は不安なんですよ。
――過去は美化されますからね。だからこそそういう曲調で表現して、それをあえて過去としているということですね。納得しました!
とっつきやすい音楽を生む、「初期衝動」と「メンバーへの信頼」。

――1作目について深堀りさせてもらいましたが、楽曲制作は結構すんなりいきましたか?
伊藤:そうですね。電車に乗っているときにパパッと書きました(笑)。イントロとかも思い浮かんでいたので、結構すぐにできましたね。イメージがハッキリしていたというのもありますが、考え込むとだんだん自然じゃなくなっていくんですよ。
――初期衝動が大事ってことですね。
伊藤:はい。メンバーが後からかっこいいアレンジをしてくれるので、全体の構成は一気にパっと作った方がとっつきやすいと思いました。ナチュラルに聴ける音楽を作りたいので、今回の楽曲に限らず、さっと思い浮かんだ通りに作ってます。
――なるほど。誰かの入り口になるような楽曲という話がありましたが、こういった部分からもとっつきやすさに気を遣っているわけですね。デモをバンド内で共有してからはどうでしょう、アレンジは結構変わりました?
後藤:今回リリースした『銀色、髪の香りを遺して』では歌詞は変えずに、作り手である伊藤の案を採用しました。構成も変わらず、ちょっとだけフレーズを変えるレベルのものですね。ギターソロは例外でしたが、基本的には彼が作ったものをそのまま曲にしました。
――それは普段でもそうなのでしょうか?後藤さんがアレンジ段階で歌詞を変更されることはありますか?
後藤:いいえ。歌いにくいと思ったときは、歌詞よりもメロディの変更を提案します。歌詞って、作り手の強い想いが込められていると思うんですよ。だからそこは尊重したいなと思います。
――作り手をリスペクトする点がとてもステキです!ちなみにバンド内で共有するデモ音源は、結構作りこんでいるんでしょうか?
伊藤:各々の楽器のフレーズは簡単に入れておきます。最初にスタジオに入る前に、それぞれが自分のパートを差し替えて「こんなアレンジでいきます」というのを作った段階でスタジオ入ってから微調整しますね。
後藤:スタジオ練習後にしっかり修正が入ることも多いですが、基本的にはある程度デモ音源で認識を合わせてからスタジオに入ります。
永江:ベースのアレンジもそんなに変わらないですね。バンドのサウンドに馴染ませるために、動きを抑えるくらいです。前は結構いじっていたのですが、伊藤が僕のベースラインの好みを把握してきたので、あんまりいじらなくてもすんなりアレンジは終わります(笑)。
――Endless宵道の楽曲は、動くところは動きつつも、リズム隊がしっかり支えている印象が強いのは、リズム隊が主に曲を作っているからなのかもしれませんね。
後藤:そうですね。基本的に作曲はリズム隊の2人に任せて、僕は詩の方で楽曲制作に関わっています。
――なるほど。楽曲制作について深掘りさせてもらいましたが、インタビューを通してメンバーに対する信頼を感じました。深いお話をありがとうございます!
「シングルを引っ提げて、ライブ活動を進めたい!」今後のEndless宵道に期待!

――本日はありがとうございました。最後に今後のバンドの展望を聞かせてください!
永江:引き続き、楽曲制作とライブを続けていきたいです。新たにギターが加わるかもしれないので、楽曲制作に関してはそのあたりも含めてアレンジを詰める予定ですね。
伊藤:楽曲制作に加えて、ライブ活動もどんどん進めていきたいです。企画ライブも視野に入れています!
後藤:今後はライブを通して露出の機会を増やしていきたいですね。ライブも本数をこなしつつ、いろいろなジャンルのライブに出てみたいです。
(Photo by Endless宵道 / Interview by 倉田航仁郎 / Text by まあや)
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