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【連載】ファイアーループ足立のライブハウスなんかやめてやる!!/第42回

<毎週日曜日連載>




ドラクエ2(FC)からいろいろ学ぶ

どうもドラゴンクエスト2大好き芸人の足立です。

先に言うとこれ、壮大なネタバレなので「これから今さらファミコン版ドラクエⅡをやろうと思ってる」って人は読まないでください。いや、読んでもらってもいいかな。こんなネタバレのひとつやふたつ読んだところで面白さは微塵も減らないです。ビバ!ドラクエ2!大好き!決して懐古主義ではないですよ!

それは1985年。今からなんと36年前です。ドラクエ1がファミコンでリリースされました。当時の僕は小学校3年生。それまでファミコンゲームといえばシューティング的な、敵を避けて撃つみたいなゲームしか知らなかった僕らにとってこの「ドラクエ1」は最初、ハッキリ言って意味わかんなかったです。だって街から出ても歩かなかったら敵が出てこない。敵が出てきても「たたかう」って選ぶだけ。ほぼAボタン連打。そのうち敵をやっつけたら経験値とお金が入って、基本それの繰り返し。ハァ?なんじゃこりゃ!何が面白いねん!恐らく謎解きとかも自分でやらなかったんじゃないかな。ガマンが多いゲームなんです。ドラクエ1。

次の街に行くのにウロウロして敵倒して、ウロウロして敵倒して、死にそうになったらお城に戻る。少しずつ、少しずつ成長して強くなる。で、先に進めるようになるけどセーブはいつも最初のお城から。いまいち楽しさがわからなかった。RPG黎明期ですから仕方ないっちゃ仕方ない。

でも、周りには「ドラクエめっちゃおもしろい」っていう友達はたくさんいて、僕からは「意識高い系」に見えていました。僕なりに「ドラクエ1面白くない」っていう理由はたくさんあって、まず戦闘がすごく単調です。ほぼ「たたかう」を押すだけ。つまりボーッとしながらAボタン連打するだけの作業です。戦略もくそもない。ちょっと遠くに行って、死にそうになったら帰れるくらいの余力を残して引き返す?(※ドラクエは死んだらお金が半分になるというペナルティがある)で、もうちょっと強くならないと進まないからまた作業の繰り返し。さすがに今となってはクソゲーだと思います。悪いけど。

で、件の2ですよ。ドラクエ2!!

まじで、これ今やっても面白いんじゃないかな?今どきのゲームをやってる人がやっても十分面白いと思う。ドラクエ3は(ゲームとしては)もっと面白くなってるんだけど、とにかく2です。僕はドラクエ2を愛しているのです。

ドラクエ1の冗長さは無くなり、ずっとワクワク大冒険です。大したイベントは無いけれど、そこは想像で保管しましょう。てゆうか、物語には大筋しかないのでここでバラしてしまいます。

・ハーゴンっていう悪い神官が、破壊の神をこの世に呼び出そうとしている。

・某国の王子(主人公)が、ハーゴンの軍勢に滅ぼされた国の王女と、なんか弱い王子と3人でハーゴンを倒しに行く

・いろいろキーアイテムを集めてハーゴンと邪神を倒す。ていうか、いろいろ集めないとそこまで行けない。

まじで、これだけ!これだけなんです。ドラクエ2。面白くなさそうでしょ?これを「面白い」って言うのは、たんなる懐古主義に見えてきたでしょう?違うんです待ってください。

ちなみにファミコン版のドラクエ2、マジでメチャクチャ難しいです。意味分かんないところに落とし穴があるし、迷路は超複雑だし、敵はとにかく強い。2人目の王子はすごく弱くてすぐ死ぬから、いつもいつも画面が赤い(仲間が死ぬと画面が赤くなる。)クソゲー一歩手前のハードさです。そんな幾多の困難を乗り越えて、やっとのことでラストダンジョン。このラストダンジョンからラスボスにかけての流れが、ほんとうに凄いんです。これをもって名作、とまで断言できます。

ドラクエ2の面白さ、素晴らしさ、それは「ラストダンジョン・ラストバトル」に集約されています。

まずラストダンジョンに入って驚くのが幻影です。まるままスタート地点のお城なんです。ゲー!?バグってる!?ってちょっと焦る。(※ドラクエ2はパスワードがゲリ長いので、やり直しが超面倒)そこで「ルビスの守り」というアイテムを使って幻影を解きます。実はドラクエ2、通して家族のお話でもあるんです。王様が若い息子にハーゴン倒してこいって言う。仲間になる弱い王子にはお兄ちゃん大好きな妹がいて、王女は家族を皆殺しにされています。基本的に主人公たちは喋らないのでそれ以上は深く語られませんし、ファミコンならではの「あとは想像でご自由に」が絶妙です。与えられる設定情報はごくわずか。でも主人公たちには確かに家族がいて、帰る家があって、敵はそこに付け込んでくる。懐かしい我が家の幻影を見せて嘲ってくる。なんて悪いヤツなんでしょうか大神官ハーゴン!これは倒すべきですね!

次に驚くのがラストダンジョン。なんと迷路じゃありません。単なる一本道の塔です。今まで複雑怪奇で過酷な迷路ばっかりで。それがラストダンジョンって言ったら敵の親玉の根城ですから、さぞかし立派な要塞を想像するじゃないですか。それがね、とにかく何もないんです。全ダンジョン中、いちばん質素。つまりドラクエ2のラスボスは質素な暮らしをしています。そう、ヤツは腐っても「神官」日本で言えば「お坊さん」なんです。別に贅沢な暮らしをしてるわけでもなんでもない。ただただ破壊神を呼び出して、ただただ世界を滅ぼそうとしてるんですね。意図は作中では全く語られません。が、非常に強い意志を感じます。「とにかく世界を滅ぼしたい!!」おっけー!敵はそうでなくちゃね!

で、ハーゴンまでに3匹の中ボスを倒さないといけないんですが、この3匹、今までのザコと違って「ダメージ音」が違います。普通のザコのダメージ音は「ざく!」みたいな音なんですが、ここで初めて「ピシャア!」っていう不穏な音に変わります。この不穏な音、実は「バリアー」という歩くだけで15ポイントもダメージを受けるマスの音と同じ。つまりここに来るまでにこの音は「イヤな音」として聞かされ続けてるんです。それだけで、もう強キャラ感しかない!これはマジで「工夫」の産物です。限られたデータ容量内でいかに演出するか、そこに痺れますね!ピシャア!

名前もいいですよ。アトラス、バズズ、ベリアル。うーん不穏です。特に「バズズ」とか不吉な匂いしかしません。メガンテ(自爆して一瞬で全滅させる魔法)してくるし。

そして3匹を倒したらついに大神官ハーゴンです。しかしながらこのハーゴン、ラスボスだというのにBGMはザコと同じだし、思ってたより小さいです。まぁお坊さんですからね、こんなもんでしょう。まぁまぁ強いですが倒せないほどではありません。でも、今までずっと「ハーゴンが」「ハーゴンが」って聞かされ続けてきたのでちょっと拍子抜けです。あれ、こんなもんか?いやさすがにもうちょっと何かあるだろ。ドラクエ1もラスボスは最初ただのコスプレおじさんです。それが変身して巨大な竜になる。ハーゴン倒しても絶対なにかあるよね?バレバレでーす!そう、そこまでは。

倒れたハーゴンは、自分の身体と3人の主人公たちを生贄に、遂に破壊神シドーを復活させます。えっシドーって誰?初めて出てくる名前ですね?「シドー」という名前は作中、なんと、ここで初めて出てきます。社外秘中の社外秘、ハーゴンしか知らない破壊神の名前。シドーの登場です。これがゲロヤバなんです。

そのゲロヤバの一つはですね、あろうことかファミコンカセットのパッケージの、鳥山明が書いた「イラスト」。「ファミコン版 ドラクエ2 パッケージ画」でググってみてください。彼方に灰色の、巨大な化け物の姿がありますね?これがシドー。僕たちはパッケージの絵を見て知っているから、「たぶんこれ(左のデカいやつ)がハーゴンだろう」「その後ろにいる灰色のデカいやつが(名前はわかんないけど)破壊神なんだろう」くらいは想像ついてます。しかし問題は色です。ごりごりの、毒々しいキミドリイロ!?いやいやいや、灰色だと思ってるじゃないですか。まじでキモい。神っていうよりグロい化け物です。ビビりました。生理的にくるキモさです。手も4本あるし。

「しっかり想像させておいて、がっつり意表を突く」

これめちゃめちゃ大事なことなんで覚えておいてください。バンドやってる人、エンターテイメントでなんかやる人、テストに出ますよ!30年も40年も前から「紙パッケージの、鳥山明のイラスト」っていう外の世界(いわゆるメタ)でさえゲームの大事な演出に使ってしまう。この心意気、まじで参考にしかなりません。シナリオ担当の堀井雄二氏はドラクエ2以前に「ポートピア連続殺人事件」でもこの手を使ってるので、興味があったら調べてみてください。

「意表を突く」はまだまだあります。とんでもなくデカいです。デカすぎて仲間のパラメーターが隠れるくらいはみ出てます。今までの敵は、「デカい」がウリのアトラスでさえパラメーターにははみ出てなかったし、最大のベリアルでも尻尾がちょろっと被ってる(それでも驚く)くらいだったのが、なんと!仲間のMPが見えなくなるくらいデカい!これも「メタ」ってやつなのですが、ここにきて「ゲーム」にまで侵略してくる恐ろしさ!「規格外のバケモノ」をすごく上手に表現してますね!

もちろん性能も規格外で、見たことのない数字のダメージを誰よりも先にぶつけてきます。それも二回攻撃です。初めてここまでたどり着いた人は、99%負けたんではないでしょうか?ちなみに調べてないので憶測ですが、1回目や2回目の遭遇では倒せない、みたいな仕掛け(演出)がコッソリあるかもしれません。

そんな僕は1回目に瞬殺された恐ろしさでそのあと暫くはレベル上げばっかりしてました。延々とザコ戦を繰り返して1時間に1レベルくらいしか上がらないので、もはや苦行のようですが、それが存外楽しい。「レベルが1個上がったくらいじゃ到底かなわない」と思わせる、もはやトラウマレベルの圧倒的な強さ。アレを倒さないと今までの苦労も水の泡、世界を平和にするために、名曲と言われるエンディングを見るために毎日レベル上げ。これはジャンプ漫画でいう「修行パート」です。

で、いくつかレベルを上げたら再挑戦しますね。そこでもう一回、とんでもない絶望に突き落とされます。

シドーね、ベホマ使うんですよ!ハァーーーーー!!!????

ベホマっていうのは、体力が完全に回復する魔法です。つまりリセットですね。しかも何回も使ってくる。実はこのシドーのベホマ、全回復ではなくプログラムの限界だった「256ポイント」回復する、というものだったみたいですが、ゲームやってる子供にはそんなことわかるはずもない。「死ぬ気で与えたダメージがぜーんぶベホマでチャラ!」っていう恐怖、これもまじでトラウマです。すごいぞシドー!強すぎィ!!

知っていれば、敵の防御力を下げる魔法「ルカナン」を使ってアッサリ勝ててしまうのですが、いや、ルカナンなんて今までほとんど使ったこと無いよ!これはこれでゲームらしい「謎解き」だったというわけです。うーん、どこまでも素晴らしい。

そんなこんなで、僕のドラクエ2(ほとんどラストばっかり)のお話は以上です。僕がドラクエ2大好きだという話はマジでどうでもいいんですが、35年も前の、言っちゃなんですが子供用のゲームでこんなに上質なエンターテイメントがあっていいんでしょうか?今、「おもしろさ」「たのしさ」をこんなに考えつくした取り組みがあるでしょうか?楽しさにグラフィックの綺麗さとかクオリティなんか関係ないんです。クオリティが高いなら、その高いクオリティをどういう風に使って「おもしろさ」「たのしさ」を作るべきか。クオリティはただの道具であり武器なんです。どれだけ使いこなすか、が大事なんです。だから、「クオリティさえ上がれば何もかもうまくいく」なんて妄想は描かないように。優れたものはサービス精神とエンターテイナーの魂で作られている。そんなおもしろくてたのしいものを一緒に考えていきましょうというお話でした。

ではまた来週!

※サムネイル画像は本文とは関係ありません

ライブハウス『Fireloop』店長/足立 浩志

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プロフィール

足立 浩志

大阪府大阪市のライブハウス

寺田町Fireloop』店長

Twitter:@adatinc

大阪にある、寺田町Fireloopという面白ライブハウスのオーナーで店長です。大喜利が大得意ですが、気の利いた答えを出すまでに1日かかります。

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