【連載】音楽と僕らの共存論/第1回

<隔週木曜日連載>
バンドをはじめた話。
バンドを続ける話。
オリジナルっていいよね。
とかくなんでもオリジナルにしたい子供だった。
やれマンガだゲームだホームページだライトノベルだって、物心ついてからというものずっと何かしら作ってみようとしていて、
その殆どは未完だったり構想5年の企画倒れで、中身にしたってまあ時の売れセンの丸パクリのツギハギで、殆どごっこ遊びのようなものだったけど、
けれど楽しかったんだと思う。だって自分の好きなものばかり集めていたから。
一方僕の経験ってファンタジーに大部分補ってもらっていたんだなとも思う。
身近な人からは背中で学ぶ事が多いけど、フィクションからはきっと思想を拝借した。それはきっと直接相対するよりも、作り手の心象が剥き出しなのだろう。
さて、結局なんで僕は今音楽に打ち込んでいるのか。
誤解を恐れずに言うのなら、
きっと、音楽が持つ「雑を許す包容力」に魅せられたのだろう。さらにいうと、バンドという形態も非常に具合が良かった。
例えば小説だと、アイデアを出して、プロットを決めて、実際に書き起こして、推敲して、発表するというプロセスを殆ど自分一人でやらないといけない(と想像する)。プロなら編集者がいて内容を相談したりするのだろうが、結局作品の血となり肉となる肝心の文字は自分で書かねばならない。
ところがバンドだとどうだろう。僕が歌メロと簡単なベースラインとギターコード、ドラムのリズムをいれた”デモトラック”をメンバーに聴かせれば、数日後には見違える様になった各パートの録音データと歌詞が送られてきて、想像だにしなかったストーリーをもって意味付けられていくのだ。(実際には半年~数年間眠るアイデアもあるが)
なので、僕はアイデアに集中する事が出来る。自分の経験を、自分の好きなモノからの引用で味付けしたアイデアは、メンバーの解釈で正しく”アレンジ”されて、「僕の好きの寄せ集め」から、新しい(と信じている)何かに変わっていく。こだわりをもってすればある程度の「雑」は許容され、光る核が磨かれていく。
だから、バンドでいる限り、自分はオリジナルでいられるのだと思う。
そして音楽には余白がある。
とりわけその余白が広い。
僕らのオリジナルも、あなたがきいたらあなたのオリジナルなストーリーになれたらと思う。
オリジナルっていいよね。
Endless宵道/伊藤 翔(Dr.)
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