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【連載】ファイアーループ足立のライブハウスなんかやめてやる!!/第37回

<毎週日曜日連載>




未来のライブハウスについて語ってみた

おはようございます。ファイアーループの足立です。最近、ツイッターの機能に「スペース」というものが追加されたので早速やってみました!これぶっちゃけ例の「クラブハ〇ス」のパクリみたいなもんなんですが、「ツイッターアカウントそのままでやれる」「(謎の)招待制じゃない」「iPhoneでもandroidでもいける」「日本語」とか色々ポップな感じなので助かります。招待制なのがクラブハ〇スの特徴というか、クローズドな、秘密のお話をする場所、的なワクワク感があるのでビジネス界ではまだクラ〇ハウスも現役らしいのですが、僕のお喋りにそんな機密性があるわけではないのでオープンでいいんです。

さて、記念すべき第一回目は「未来のライブハウスについて語ろう!」というテーマです。「ライブハウスの未来」と言うとなんかご時世的に暗い雰囲気が漂うじゃないですか。対して「未来のライブハウス」っていうだけでワクワク感が出ますから日本語とは不思議なもんですね。で、奥さんと、友達のキムケンと3人で喋ることにしました。喋る人数はホスト(開始者)含めて最大11人ですが、まずは最小限で!キムケンは僕が喋りすぎた時のストッパー役とか、いわゆる舞台回しとして大変有能なのでこれまた助かります。彼がいなかったら恐らく3時間くらい喋ってしまっていたでしょう。

で、軽く挨拶を終えてすぐ本題です。本題と言いながらも全くノープランで喋り始めたもんですから案の定グダグダ。テーマを決めておきながら「未来のライブハウス」にまったくビジョンが無いことを早々に露呈してしまう始末。そこでまずは奥さんに振ってみることにしました。

奥さん曰く「受付が自動改札!」いいですね!たいへん未来っぽいです。ネットで予約して、スマホでキャッシュレス決済して、対面も無いから昨今の感染症対策にも良さそうです。なるほど良い未来のような気がします。ただ、こうやって労働者=人件費をやみくもに削るのが良いかというとそうでもなく、ウチのスタッフの食い扶持がそれだけ減るということですから諸手を挙げて最高というわけにもいきません。受付スタッフに新たな「人間じゃないとできない仕事」を用意しないといけないんですが、仕事を作る仕事はとにかく疲れるのであんまり僕にとってうれしくない未来です。

加えて、ライブハウスの魅力ってスタッフの愛嬌みたいなところあるじゃないですか。イレズミバッキバキの鼻ピアスのモヒカンが受付で座っていて、仕方なく喋ってみると案外優しかったりするのがライブハウスの楽しさの一つでもあるわけで、そういうのを排除して電車の改札みたいにするとツマンナイ感じになるんじゃないか、など折角アイデアを出してくれた奥さんを否定しまくるという暴挙。とても上司の立ち振る舞いとは思えません。でもいいんです。奥さんは対等だからです。いやすみません。しかしながらまた一つ「ライブハウスの楽しさ」の謎をひとつ解いた気がしますね。つまり「人件費より導入費や維持費が安いなら、それに越したことないじゃん」みたいな短絡的な考えはライブハウスを始めとするエンターテイメント業界では大抵スベるのです。散々な言いようですが、ひとつテーマがあるだけでたくさん考えることができるので助かりました。

僕が考えた「未来のライブハウス」は、3D映像とのコラボです。子供みたいなアイデアですが、裸眼でクッキリ見える3D映像が舞台上に投影されるシステムがもしあればライブショーはめちゃめちゃ凄くなりますね!この曲は花畑、この曲は宇宙、この曲は浜辺、とかやれたら音楽のみならず演劇なんかにも良さそうです。照明機材もいらないし、どんな演出でもできてしまう、これめちゃめちゃアツいんではないでしょうか!3D映像は現状、メーカーが諦めた感があるのでめちゃめちゃ遠そうですけどね、費用もヤバそうですが、見たいですねそんな未来!

あとはAIの導入です。といっても、AIがPAとか照明をやるのはなんかイヤだし、向こう100年くらい機械がPAなんてやれる気がしないのでいらん心配をするのはやめときましょう。どっちかというとAIが人間のアシスタントをしてくれるとすんごい助かるというお話。例えばリハーサルで「ここだけリバーブを強くしてください」とか「ここはギターソロがヌケにくいのでPAで上げる」とか「ここで一瞬だけストロボ入れてください」とかたくさんあるんですが、ぜったい覚えられないので現状はセットリストに手書きです。で、書いてても本番中はドキドキしながら「もうすぐリバーブ上げるところだ」みたいにめっちゃ脳内リソースを食う。これをAIがやってくれるとめちゃめちゃ助かります。リハーサルも聞いてるから、本番中に「そろそろリバーブっすよ」「そろそろギターソロっす」「次のキメでストロボって言ってたで」みたいに横から教えてくれるヤツがいると超イイ仕事ができますという提案。しかも、AIは事前にもらった音資料とか要望書とかも知ってるので「次の曲、リハでやらなかったけど資料によるとバラードっす、ドラムのフィルから入るっすよ」みたいに言ってくれる。ワーイ超有能!そんな未来、イイですね!でも、実際に音や照明をいじるのは人間だぜ!そこんとこ、ヨロシク!

みたいにべらべら喋ってはいたのですが、喋っているうちに気付きました。これは単なる大喜利で、夢見ることは悪いことじゃないけど非現実的な話ばっかりです。いま色々考えたり勉強したり頑張ってることの延長上にそういった未来があるのは間違いないのですが、大事なのはこういうのがどれもこれも「エンターテイメントの活性化」にガッチリ直結するとは思えないということです。どんなにスゴイことをやったところで、その「スゴサ」は1年もすればコンテンツとしての魅力が薄れていくもんです。だからどんどん新しい技術を取り入れて、どんどん「誰も見たことのないもの」を提供していくべきでしょうか。これ、実はSF映画が既にそのイバラの道を辿っています。最新のCGを使って、どんなにキレイな映像を作っても既に頭打ち感は否めません。今見てもターミネーター2(1991)やマトリックス(1999)の映像は超面白いのです。あれを今のCG技術で完全にリメイクしたところで「あれより面白い映画」になるとは思えません。すげー!ってなるとは思うけど、別に面白さは変わらず単に「さいこう!」なんです。つまり面白さ嬉しさはテクノロジーと比例しないということです。

ここまで言って、またライブハウス最高みたいになってそろそろ恥ずかしいのですが、はっきり言ってここ20年でライブハウスで聴くバンド音楽(つまりコンテンツ)はそんなに変わっていません。簡単に情報が手に入るから、平均的にちょっと上手くなったかな。その代わり「とんでもなくヘンテコなもの」もあまり出てこなくなりました。悪く言えばどれもこれも普通っぽくなった。まぁそれはさておき、テクノロジーが上がったところで面白さの根源は変わらないわけで、進化していくべきなのはその「面白さの根源」をいかに純度高くノンストレスで届けるかという点なのかと考えるわけです。綺麗ごとではなく音楽や楽器にテクノロジーなど関係ないのです。もっと人間の根底にあるところを研ぎ澄ましていくべきなんじゃないでしょうか。そしてそれこそがエンターテイメントのメインウェポンだと言えるわけです。そこをはき違えると「なんか最新型だけどスベってる」みたいになるだけなんですよね。

いろいろブーブー言いましたが、「未来のライブハウス」の話をすればするほど「いつものライブハウス」の話をしていることに喋ってるうちに気付いてました。現在と未来のライブハウスが「過去のライブハウス」に比べて本当に有利な点は、過去のライブハウスがたまたまうまくいって生き残ってきた謎を解く機会が与えられていることだけです。僕はけっこう解いた自信があります。その時その時の時代背景ももちろんありますが、「娯楽の少なかった当時は」なんて枕詞をつけて考えるのを辞めてる場合じゃないんですよね。表面上はどんな形を取ってもいいから、その根底の部分に向き合っていればエンターテイメントは安泰です。

去年はいろいろ僕なりに面白い(かもしれないという)ことを提案してきましたが、実はどれもこれも頑張ってるうちに「これの何がオモロイねん」ってなってふてくされる日々も続いておりました。今はそこを乗り越えてたいへん爽やかです。「面白い」「楽しい」は「すごい」と別のところにあるんです。それが分かっただけで私は控えめに言って無敵になったといえるでしょう。引き続きファイアーループ、及び関わるすべての人たちの活躍にご期待くださいませ。ではまた来週!

ライブハウス『Fireloop』店長/足立 浩志

プロフィール

足立 浩志

大阪府大阪市のライブハウス

寺田町Fireloop』店長

Twitter:@adatinc

大阪にある、寺田町Fireloopという面白ライブハウスのオーナーで店長です。大喜利が大得意ですが、気の利いた答えを出すまでに1日かかります。

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