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【連載】ファイアーループ足立のライブハウスなんかやめてやる!!/第36回

<毎週日曜日連載>




資本主義と音楽について考えてみる

おはようございます。ファイアーループの足立です。

最近、資本主義のことばっかり考えています。いや、資本主義のことなーんにも知らないし勉強したこともないし調べてもいないので胸を張って「資本主義のこと考えてるで」と言うのもなんかヘンですね。資本主義のことは考えてません。いや違うな。ああそうだお金のことばっかり考えてるんだ。笑

そんなに考えてるなら本とか読んで勉強すればいいじゃんとか思うでしょうが、ちょっと違います。僕が今さら件の勉強をしたって仕方ないんです。そこで生まれるものは残念ながらほぼ皆無でしょう。それより、既にたくさん見て知って、自分の人生に照らし合わせて考えて、自分で編み出したことのほうが僕にとってずっと価値があります。今回はその備忘録みたいになるんでしょうか。ていうかみなさんにとって意義のあるコラムになるかすら不安になってきたし物凄い稚拙な結論に着地しそうで怖いですが、もういいや書いてしまいましょう。今さら幼稚なヤツだと思われてもそんなに僕は困りません。むしろ、それを踏まえて誰かに助けてもらえるかもしれないのでお得です。

さて、冒頭で資本主義って言い過ぎましたが、これそもそも何なんでしょうか。みんながお金をかせぐ権利を持っている、みたいな感じでしょうか。うっすら実現しているような気もしますが、最近よく若い子に言っちゃってるのは「資本主義ってとっくに限界じゃねえの?」なんです。怖いですね。食うや食わずの地獄みたいな日々がやってくるんでしょうか。いや大丈夫。そんなんじゃないです。でも、もうアカン感じはしている。それは僕たちにとって「ほんとうに欲しい物が無くなっちゃった」からです。満たされてます。とても!

僕らの数世代前くらいには、人々に純粋な「欲しい物」があったと思います。例えば冷蔵庫。いつでも冷たい飲み物が飲めるようになる。食べ物が腐らなくなる。ぜったい欲しいじゃないですか。宣伝なんか必要なし。煽るもへったくれもない。誰もが欲しいです冷蔵庫。欲しくないって言う人は「欲しくない」んじゃなくてきっと別の理由です。こういう物がどんどん生まれていた時代が確かにあった。

ここですぐ売る側の話になります。ぜったい欲しい物は売れるに決まってるから、早い者勝ちで作って売りましょう。次に「欲しいけど高いから買えない」というパイが残っているのが分かるから、そこのニーズを取るために価格競争が始まります。これが落ち着くと今度は性能で勝負したりします。色んな機能がついて、勝手に氷が出来たりします。新しい魅力的な機能をどんどん付けて「壊れてもいないのに買い替える富裕層」をまたかっさらおうとします。すんげえざっくりですけど、企業のこういった努力・競争によって世のテクノロジーはどんどんどんどん伸びていくし、そこそこの物は手に入りやすくなるし、みんなにとってイイトコばっかりでした。「2015年には車も空を飛ぶ」と言われて「まあそうでしょうネ」と言っていた時代だったんですよ。それくらい勢いがあった。いや大丈夫、今の時代に「希望がない」なんて悲しい話をしたいわけじゃないんです。

資本主義がですね、みんなの思うより早く限界に来てしまっただけなんですよ。資本主義というか、人間の物欲が、です。「車が飛ぶ意味ある?」世界はすっかり冷静になってしまいました。

本当はもうこれ以上、特に何も欲しくないです。どうですか?あれも欲しい、これも欲しい、ですか?もしそうなら僕はあなたが本当に羨ましい。欲しい物なんてもうあんまり思いつかないです。これは僕がおっさんになったのが原因なのならまだマシです。冷蔵庫を持ってない人が欲しい「冷蔵庫」くらいのテンション感で欲しいもの、今の日本に存在するんでしょうか?いや、あるよ、あるにきまってんじゃん。って?いいなあ。でもそう思った人はちょっとだけ待って。何か(資本主義の)地縛霊みたいなもんの力を疑ってみてください。疑ってみるだけでいいです。

大して欲しくもないものを「欲しいでしょ?これがあったらアナタの人生は良くなりますよ」これをあの手この手で「煽る」のが最終手段であり、最終段階であります。それが今。上の冷蔵庫の例を考えてみてください。テレビで新製品のCMやってますか?やってません。もう家電メーカーは冷蔵庫を諦めたんです。これ以上なんもないんです。冷蔵庫に無いと困るorあったら嬉しい機能なんてもう誰も思いつかないんですよね。後から入れた冷えてないモノだけガッと集中的に冷やすとか?GPS使って帰宅直前から急激に冷やすとか?うーーんもう大喜利レベルしかないですね!これにて冷蔵庫は「定期的に売れるけど別にそれ以上、あんまりなんもない」に落ち着きました。残されたビジネスモデルは「世界中の冷蔵庫が世界的に、少しずつ壊れやすくなって」「買い直してもらう」「製造コストが低けりゃ儲かる」だけ。薄い。僕が言いたいこと、分かっていただけるでしょうか。世の「欲しい物」は遅かれ早かれ、全部この道を歩んでいきます。これが資本主義、というか物売りの限界です。

あとはどれだけ架空の物欲を煽るかの泥仕合になっていきます。メディアは一生懸命に次の流行をプロデュースするし、ぶら下げたら蚊が来なくなるとか、洗剤なしで洗濯物がキレイになるマグネシウムとか首からぶら下げてウイルスシャットアウトとかトンデモ製品が平気で売り出されます。無意味な物を買わせる心理的なテクノロジーばっかり着実にこの30~40年で上がったみたいです。くだらないとしか言いようがない。でも仕方ないんです。儲かること前提に出来た企業は儲け続けないと滅びるし、それが資本主義の宿命なんです。

ぼやいてるだけになってきたので気を取り直して本当に言いたいことを言いましょう。音楽です。芸術です。現場のエンターテイメントです。これを今後は「こんな残念な資本主義」からちゃんと切り離して考えるべきだというのが僕の考えなんです。

ライブハウスには行きたい人だけ行きます。で、行って楽しかったらまた行きます。今日いちにちを楽しく過ごすために行って、良い記憶を刻んで、また行きたいとなる。たいへん純粋な気持ちです。これは「冷蔵庫を持ってない人の、冷蔵庫が欲しいテンション感」が永遠に続くようなもんじゃないですか。クオリティやディスカウントや宣伝や煽り文句ではその心は操れません。タダでも来ない人は来ないし、音がどんなに良くても照明が豪華でも、内装がオシャレでも老舗でも有名店でも好きな人が出なかったら行かないでしょ?逆ももちろんしかり。これ、もしかしたら行き詰った経済を打開する、大きなヒントになるんじゃないかと思えます。人間最高、現場最高、ライブハウス最高。こんなこと言い出して、足立はほんとライブハウス好きだなあって思いますか?残念!ぶっちゃけそんなに好きじゃない。音でかいし3時間立ってるのキツイ。きっとこれを読んでいるあなたの方がよっぽどライブハウスが好きだ。なのにそう思える、実に俯瞰的な考えだと自負しています。

商材として扱いやすい「レコード」や「CD」が生まれたことで音楽は100年くらい資本主義の船に半身を乗せられましたが、音楽の最も強い武器は「商材として」とはどうやら違うところにあるみたいです。実際CDも売れなくなったしサブスクで何万回再生されて数百円とか、その方法だけでは飯が食えないのも既に明らかじゃないですか。音楽は資本主義とは別の世界線に(も)いる。芸術は資本主義とは別の世界線に(も)いる。単に2本のレールがあるだけなんですが、そこをごちゃまぜにしたら上の例みたいに「いずれ滅んでいくモノのうちの一つ」に成り下がってしまうでしょうね。そんなもんに人生賭けるわけにはいかない。ワンチャンあると思って僕はまだライブハウスをやっているんです。今後ともよろしくお願いします。OKではまた来週!

ライブハウス『Fireloop』店長/足立 浩志

プロフィール

足立 浩志

大阪府大阪市のライブハウス

寺田町Fireloop』店長

Twitter:@adatinc

大阪にある、寺田町Fireloopという面白ライブハウスのオーナーで店長です。大喜利が大得意ですが、気の利いた答えを出すまでに1日かかります。

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