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【連載】ファイアーループ足立のライブハウスなんかやめてやる!!/第33回

<毎週日曜日連載>




異次元に行きたい!!

こんにちは!ファイアーループの足立です。

当コラムを書き始めるときは(手なりで)今まで同じ挨拶にしてたんですが、ユーチューバーを意識してるみたいなので今回はやめときます。というわけで、今日は「こんにちは!」

ユーチューバーやるなら最初の挨拶は定型で。なんか暗黙の掟みたいになってますが、あれはキャラクター性を強く印象付ける手法として本当に至高なんでしょうか。他に色々効能があるんでしょうか。もっと良いやり方はないんでしょうか。あんまりユーチューバー(というかタレントの類)をやろうって正座で向き合った事がないので、何かの機会にもうちょっと掘ってみましょう。でもそれはまた今度。

最近、とあるスーパーギタリストのブログを読みました。そこで彼が「ギターを極める(あるいは極めようとする)と全てのことに応用が効く」って言っておられたので、うむ、なるほど、なるほどと言うか僕が常々思っていることとすごく似ていたので、今回はこの「応用力」について書いてみようと思います。氏はこうも言っています。「ビジネス論とか建築とかITとかユーチューバーとか、一見自分の取り組み(この場合、ギター)とかけ離れているようなことでも、それを学ぶことによって自分のギタープレイにフィードバックがある」と。自分の専門分野から色々な分野への応用が効くんだから、逆に自分の専門外のプロフェッショナルな見解からも色々吸収していこうじゃないか、と。いいですね!自分のメインウェポンで迷ったら別の界隈の勉強をしてみればいいのです。そこから共通点を探せばメインにも必ず返ってくるはずです。ぼくがマルチプレイヤーをお勧めする理由です。

宮本武蔵という超有名な剣豪がいます。ぼく全然この人のこと知らないんですけど、なんしか剣めっちゃ強い人のイメージですよね。実はこの人、書道も茶道も絵も文章もめちゃめちゃ上手かったそうですよ!どれ取っても達人レベル。でもこれ単なる「色んな事できちゃうマルチな人」ってわけでもなさそうですね。ふつう「伝説になるくらい剣が上手い人」ってずーーーーっと剣の練習してた人、みたいに考えませんか?でも彼を超多才な、いわゆる天才だから、と言って捨ておくのはちょっと早いんです。

宮本武蔵は剣がべらぼうに上手い。彼は剣を振るう時の自分の心の揺らぎや迷いを知り、自分を見つめ、自分の思ったように体を動かすためにはどうしたらいいだろう、出来てるつもりで出来てないのはなんだろう、なんでだろう、そんなことを考えながら敵と対峙していたんじゃないでしょうか。それは、きっと物を見た時、それに対して敬意を払い、その本質を見抜き、立ち振る舞うという一連の所作という面で「書道」「茶道」「絵」「文章」これら全部に共通す部分がたくさんあるのかもしれません。これは想像ですけど、書道とか茶道とかやってみたらまた剣めちゃめちゃ強くなってた、すると書道とか茶道もさらに上手くなってた、みたいなフィードバックの連鎖祭りで異次元まで行っちゃったのではないでしょうか。

僕はよくPAを「料理」に例えます。料理全然知らないですけど、たぶんちゃんとやったら上手いと思います。この「PA」と「料理」の似ているところ、それは素材を知り、素材に敬意を持ち、素材を生かすために加工を施すという点です。もちろん生で食べてオイシイ魚をあえて(覚悟をもって)煮るでもいいですし、塩をかけるだけで超おいしいモノをわざわざニンニクで炒める必要はあるのかとか、そんなことを考え迷い想いながら料理するのがきっと「料理の達人」なんじゃあないでしょうか。あれ、剣道に似ています。多分だよ。剣道もやったことないからね。そう言えば前にスシロー行った時に私、気付いてしまったんですよ。数の子のお寿司に醤油をかけたらほとんど醤油の味しかしてなかったなと。いつも醤油かけてました。ごめん数の子。これもPAとか音楽、はては「道」に似ている。醤油をかけた数の子のお寿司は別にマズくはなかったんです。数の子どころかスシローのお寿司には漏れなくワサビと醤油をつけて食べていて、どれもこれもいつもオイシイ。つけなかったら生臭いかもしれないから絶対につけてしまう。これで数々の数の子を無駄に食べてしまったことは全く反省すべきでしょう。

せっかくだから、音楽の話もしてみます。ドラマーが「叩いたら音が鳴った」これを時系列に分解して考えてみます。まず叩く前に「こう叩いたら、こういう音が鳴るだろう」と予測します。予測通りに体を動かせるかは練習次第です。この時点ではどんな音が出るか分かりません。で、叩いた結果として思ってた音とちょっと違った。それを聞き分ける「審美眼」がまず必要です。例えば「パァ」という音を出したくて「オラぁ」という叩き方をしたら、今回は残念ながら「まぁ」という音が鳴りました。じゃあ今度は「オラぁ」じゃなくて「オリャぁ」って叩き方をしたら「ばぁ」という音が鳴りました。惜しい。じゃあ今度はどうしますか?予想しますね。その予想は今までの経験を積み重ねたことにより捻出される、いわゆる「勘」かもしれません。もうちょっと手首を固くして「オリャっ」「パァ」オッケー!成功です!これに素早く近づけるかどうか。そもそも「パァ」と「まぁ」の音が聞き分けられなくて気付かずにやっていないか。これを今回「審美眼(審美耳?)」と呼んでいます。そこから何度かの検証を経て今日は「オリャっ」の叩き方が理想の「パァ」だと分かれば、あとは毎回「オリャっ」と叩く。いつもライブで良い音を出している人って、意識的にせよ無意識的にせよ実はこんな過程で音を選んで出しているんです。

これをまた色んな物に応用してみようというわけ。例えばビジネスシーンに置き換えて考えてみます。「A」という宣伝をしたら「X」がすごく売れた。「Y」も売りたくてまたAをやったら今度は全く売れなかったとします。この場合、Aという方法は汎用性のないダメなやり方なんでしょうか?Aという売り方がたまたまXに適していたんでしょうか。それともXとYはそもそもモノとしての魅力や価値が違ったんでしょうか。はたまた時期の違いでしょうか。実はこんなふうに考えれば考えるほどAに「私」は向き合わなくなっていきます。Aを捨てるのではなく、「A’」や「A+」だったらYもバカ売れだったかもしれない。その「’」や「+」に気付けるかどうか。Aの魅力や強さ、届く層、上手く行った理由や謎を分析をして、仮説を立てて、試して、違ったらまた試して分析して、そうこうしているうちにYが売れる方法をAから探し当てるのが上手くなるはずです。

それを乗り越えて、踏まえて、またドラムが上手くなりそうですね!経験は無暗に積むのではなく、その経験に向き合い、その経験を生かすべきで、楽器を上手に鳴らすことと凄く似ている点があったんです。ほらフィードバックの連鎖が始まりそうでしょう?すぐに結果が出いからと言って、くすぶっている場合ではないです。生きて、何かやっていれば無駄になることは一つもありません。この連鎖に乗っかって高次元に行きたいものですね。ではまた来週!

ライブハウス『Fireloop』店長/足立 浩志

プロフィール

足立 浩志

大阪府大阪市のライブハウス

寺田町Fireloop』店長

Twitter:@adatinc

大阪にある、寺田町Fireloopという面白ライブハウスのオーナーで店長です。大喜利が大得意ですが、気の利いた答えを出すまでに1日かかります。

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