【連載】パーティ日和/第33回

<毎週土曜日連載>
自分リスタート
4月になった。ツイッターのエイプリルフールネタ合戦をにっこりと眺めていたらふと去年の四月は何やってたっけと気になった。丁度コロナウイルスの蔓延により営業自粛を余儀なくされた頃である。
試しにツイッタで自分の2020年4月30日までのツイートを検索してみたところ、めちゃくちゃに足掻いている僕がいた。ライブ配信環境を練磨したり中止になった僕渾身のDJパーティ「Enough!![#イナフ04]」の代わりにリレー配信やってエモくなったり、どうぶつの森にハマったりライブハウスに対する否定的なツイートにキレ散らかしたり自粛警察のクレームお電話にしょんぼりしたり店を守る為クラウドファンディング立ち上げたり一晩で達成したりそれに感謝しすぎて泣いたりしていた。
このあとぼくは店のロビーでたこ焼き屋を始め、営業再開に向けて愛媛版ガイドライン作成に乗り出し、マッドマガジンレコードオムニバス発売に向けてレコーディングをやり、コロナ禍での夏フェス開催に向かって走り出した。


完全に迷走してるな……と思わなくもない出来事も多いけど、なんかやらないと、なんとかしないとと無我夢中だった。熱い熱い春夏だった。


ブッキング台帳を開いてみると22本のイベントが予定され、内21本が中止となっている。まじでやばい。
ライブハウスのブッカーを経験すると一度は「スケジュールを開いてみると真っ白で一本もイベントが入っていない夢」を見て汗びっしょりかいて飛び起きるものだと思うんだけど、これはそれを上回る悪夢だ。
それでもなんて言えばいいんだろう、変な言い方だと思うんだけど、楽しそうなのである。お客様やアーティスト様たちに支えていただき、我々のアクション一つ一つに反応があり、もちろん失敗も多いけれどその度にきちんと成長している。
そしてライブ配信は有料無料問わず自力でできるようになり、慌てて立ち上げた店のYouTubeチャンネルはアカウント収益化に成功し、フェスも開催した上でただのひとりも感染者を出さず、愛媛版ガイドラインは様々な県内の音楽箱のご協力も得られて完成、知事への提出までこぎつけ、やがて自分たちの力で営業再開を勝ち取った。

手探りながら自分たちでめちゃくちゃ考えて自分たちで動いて、一定の成果を出して何より喜んでいただき、それがまた次の何かにつながっていく、という一種の成功体験をしていたのかと思う。
結果一年経った今まだ店が有る、少ないながらもイベントを開催し、ライブハウスの体を保っている。コロナ終息はおそらくしないのだろう、ということもわかってきた。アーティスト達も動き出した。失ったものも多いけれど、後悔は無い。むしろこれから生まれるものの方が楽しみだ。
なので僕も次のステージに進もうと思います。
4月いっぱいで長く務めたサロンキティを退社し、自分の店を持つ事になりました。バンドは扱わないけど音楽のハコです。DJをメインに弾き語り、トークライブなど、既存の枠に収まらない自由な小箱を作りたい、という僕の夢に向かって走り出す事になりました!
なんとまだ編集長に相談もしてないのでこの連載はどうなるかまだわかりませんがミューラビがもっともっと盛り上がるよう、これからもサポートしていけたらいいなと思っております。
みなさま、どうか応援よろしくお願い致します。
ライブハウス『松山サロンキティ』店長/武花 正太
プロフィール

音楽、アニメ、旅、鉄道、廃墟、階段など、引っ掛かりを覚えた物を節操なく取り込んだボーダーレスなライフスタイルは国内外を問わず広く呆れられている。
自身のバンド「MILDS」では作詞作曲、歌、ギター、ピアノを雰囲気でこなし、さまざまな現場でベースを弾く。
DJとしても活動しており、主な得物はなんとアニソンである。