【ライブレポ】Jessica/1st mini album『Good Time』リリースツアーファイナル!

3/21(日)に松山サロンキティ( @salonkitty_myc )にて開催された、Jessicaによる1st mini album『Good Time』リリースツアー「素敵な時間旅行」ファイナル。
バンド初となるアルバムをリリース後中四国5ヶ所を巡った、彼らにとっても1つの大きな挑戦となった今回のツアー。そのフィナーレを飾る形となった本公演の模様を今回はレポートした。
なお、今回の公演を開催した松山サロンキティは新型コロナウイルスに関する感染症対策を各種行っている。
検温、マスク、ソーシャルディスタンスの確保など。万全の対策の元で、本公演は開催された。
地元・県外の様々な先輩バンドがJessicaの晴れ舞台に華を添える!

今回のイベントは地元からの出演バンド2組、県外からのゲスト1バンド、そしてJessicaという対バンイベント形式で構成された。
開演時間となりトップバッターを務めたのは、愛媛松山を中心として活動するスリーピースバンド、LADALES(@LADALESdayone)だ。
骨太の轟音で観客の内側を揺さぶるような、パワーに満ち溢れたステージング。
アルバムのリリース、そしてツアー巡回。着実にバンドとして成長を遂げてきたJessicaへ、地元バンドの先輩として少しだけ前を行く彼らなりに、全力で花道を作るかのような。
不器用なバンドマンらしい、それでも愛の籠められたパフォーマンスを披露していく。

続いて地元は愛媛今治発、これまで十数年以上に渡り松山の音楽シーンを支え続けてきた、勃起★銃(@botsukigun)。
長年のステージを経て確かに積み上げられてきたいぶし銀のブルーズ・ロックンロール節を炸裂させ、バンドはフロアを着実に盛り上げていった。
一回り、二回りは下の世代であろう後輩・Jessicaへ、往年の大先輩である彼らから。
こちらも愛あるバトンパスがうかがえるような、そんなステージを披露していく。

さらにその後は今回唯一の県外勢である、広島尾道のcity lights(@city_lights_3)。
先程迄の前者2バンドとは全く異なる世界観を以て、たちまちフロアの雰囲気をがらりと彼女たちだけのものへと変えていってしまった。
Jessicaとは幾度かの対バン経験を経て、今回こうしてゲストとして呼ばれることとなった彼女たち。
自信を持って彼女たちを招致したJessicaの選択を、いい意味でも大きく裏切るほどの確かな実力で、自分たちだけのポップで唯一無二の世界観を繰り広げてくれた。
アルバム曲をメインに観客をどこまでも楽しませる演奏を披露!

そうしていよいよ訪れた、トリのJessicaによるステージ。
いつもと変わらない普段通りの、ともすればどこか少しユルい雰囲気すら纏って4人は舞台の上に現れる。
準備を終え、ステージも暗転。1曲目として彼らが選んだのは、アルバム『GOOD TIME』より “ スローバラード ” 。
作品の中でも随一のムーディーなナンバーで、あっという間に観客を自分たちの世界へと引き込んでいった。

そしてそのままミドルテンポでメロウな雰囲気をそのままに、アルバムのラストソングである “ Have a Good Time ” でバンドは会場全体を巻き込んでいく。
ゆったりとしたルードな空気はそのままに、跳ねるようなリズムと賑やかなコーラス。終始楽しそうに演奏をするステージの4人の表情に、次第に観客にも少しずつ笑顔が広がっていく。

「今日この日のために、新しい曲を作ってきました!」というVo./Gt.児島 凌の一言で、続いての楽曲は今回のライブが初の披露となる新曲へ。
まだタイトルも決まっていないというニューフェイスを、それでも既存の曲と遜色ない程のクオリティで演奏していく。
楽曲はこれまでのJessicaらしいどこか懐かしさやレトロさを感じさせつつも、同時にこれまでの彼らとは確かに違うロックバンドらしいフレーズが散りばめられた1曲。
そのサウンドは今回のツアーファイナルが、彼らのこれまでの活動の総集編であると同時に、これからバンドが踏み出す新たな一歩を示唆するものである。
そういった旨の4人の強い意志が込められているかのような、そんな気概を感じさせるような演目であることを感じさせた。
等身大の彼らだからこその魅力が光るツアーファイナル

3曲の演奏を終え、MCでは今回のツアーの事や、今このような社会状況の中でそれでもここに足を運んでくれたことへの御礼をVo./Gt.の児島 凌が語る。
自分たちを大きく見せる事も、華美に見せる事もない、非常にシンプルで素朴な彼の言葉。しかしそこには、今回のツアーを無事に完走できたことへの喜びや、バンドを支えてくれた観客を始め大勢の人々への感謝が、強い意志を持って確かに込められていた。

この日の観客の多くは、彼らと同世代の学生や社会人と見受けられる人々が多数。
どこまでも着飾らず等身大に、それでいて明るく朗らかに。
音楽が大好きな年相応の男の子としてバンドを楽しんでいる、そんなJessicaの面々に強く親しみを持っているであろうオーディエンスが多く見受けられたのも非常に印象的だった。

MCを挟んで、ライブはいよいよ後半戦へ。
ボーカルのメロディックなフレーズラインが随所で光るポップバラード “ 素敵な暇つぶし ” 。「僕たちの歌です」との言葉通り、彼ら自身も、そして多くの人々が通ってきたであろう青い若さによる感情の機微。それらを端的かつ瑞々しいフレーズで鮮明に描いた歌詞が魅力の “ セブンティーン ” 。
そして疾走感のあるストレートなバンドサウンドの中に、変幻自在のリズムパターンが耳に残る “ 夢見る夜 ” を以て、ライブ本編はあっという間に無事終演を迎えることとなった。
バンドが目指す景色への偉大なる一歩を

その後客席からのアンコールの手拍子を受け、間もなくメンバーは再びステージへ。
上半身裸で再度登場したりょうがオーディエンスの観客の笑いを誘うも、今回のツアーから発売開始となった物販のTシャツのアピールをするなど宣伝にも余念がない。
そのままフロア全体が和やかなムードのまま、今回のツアーファイナルのラストを飾る “ 君を愛した唄 ” の演奏が始まった。

バンドの活動を続ける中で、独りよがりな音楽ではなく、大勢を巻き込むバンドへ成長したい、という旨の発言を繰り返していたJessica。
そんな彼らが理想とするバンドへの大きな第一歩が着実に踏み出されていることが、アンコールを演奏するその光景からは如実に感じ取ることができたように思う。
物理的なディスタンスが取られながらも、ステージ上のメンバーの歌唱にあわせ、大きく両手や拳を突き上げ音楽を楽しむオーディエンス。
共に声を出してコーラスをすることこそ禁じられているものの、発声NGという制約を補って余りある会場の一体感が、確かにそこには存在していた。

アンコールもつつがなく終了し、無事大団円を迎えたツアーファイナル。
楽し気な余韻を噛み締めながら会場を後にする観客たちの中には、「Jessicaの4人が羨ましい」という声を聴き受けることもできた。
自分達のやりたい音楽を大勢に届けることができ、何より4人が全員皆揃って同じ未来を見据え、足並みを揃え楽しそうに歩んでいる。
きっと彼らはこれからもこうして、誰よりもバンドを、音楽を、自分達が楽しみながら進んで行くのだろう、と。
何よりもそれを感じさせるライブを目にしたことで、彼らが非常に羨ましくなった、と語る人もいた。

この春でメンバーの生活環境が変わり、今回のライブ以降は活動のペースの維持が難しい、と語っていたJessica。
だが、それでも彼らの歩みが止まることはないに違いない。
どこまでも純粋に自分たちの音楽を楽しみながら、これからも終わりのないバンドという道を歩み続けること。
それが何よりも難しく、同時に尊く、そして意義のあることだと、きっと彼らは知っているだろうから。
SET LIST
<2021年3月21日/1st mini album『Good Time』リリースツアー「素敵な時間旅行」ツアーファイナル>
- スローバラード
- Have a Good Time
- 新曲(タイトル未定)
- 素敵な暇つぶし
- セブンティーン
- 夢見る夜に
En. 君を愛した唄
1st mini album『Good Time』/Traller
アーティスト情報
(Photo & Text by 曽我美なつめ)