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【連載】パーティ日和/第29回

<毎週土曜日連載>




メイクマネーウィズミー

先日、面識のない全国津々浦々のライブハウス関係者とアーティストさんがzoomでトークをする、という企画に参加させていただいた。

ch CAGARI『楽屋でやれッ!!』47都道府県の音楽関係者と繋がるトークバラエティ

僕にとって若いアーティストさんとゆっくりお話しする機会もそうそうないので貴重な体験となったし、主催者の方がとても熱い信念を持ってる方だったので僕自身もなんだか触発され盛り上がってしまった。やはり熱量を持った人は魅力的だ。

さてそのトークの中で「ブッキングの光と闇」みたいな話題になった。闇、と言われたケースは主に都市部のライブハウスやイベンターなどに居る奴らだがなんでもいいからSNSなんかで見つけたバンド全部にブッキングの誘いメールを出す、というやつだ。ライブハウスの空いてるとこを適当に何日か安く借り、バンドを突っ込んでノルマとって儲けるというセコい上にバンドはおろか音楽に対して愛情も何もない仕事をしている人たち。声を掛けるバンドひとつずつ聴いてるようなそぶりもない定型文を見るとおそらくリストに入れた沢山のバンドに一斉送信しているのだろう。

もちろんブッキングされたラインナップに思惑やストーリーなんていうものも無いのでとっ散らかった会場の空気は寒く重く、お客さんも来づらいし面白くないので友達のバンドの出番終わったら帰ってしまう。ブッカーは別にバンドに愛着があるわけでもないのでライブも見ないしイベント自体の空気がそもそもアレな上に打ち上げ行きましょう!とかも無いので横のつながりもできにくい。ロクなことが無いのである。

そういう排泄物みたいなお仕事をされている方々は業界全体に悪影響を与えるお荷物であるということをいい加減わかった上でできるだけ人様に迷惑がかからないところで静かに息を引き取って欲しいところであるが、僕の知っている多くのライブハウスの方々はそうじゃない。彼らはなんだかんだ言いつつ深い深い愛でバンドを包んでいて、君たちの躍進を心から望んでいる。若い子には伝わりにくかったりする場面もあるかもしれないが君たちからの熱意を何倍にも上乗せして返してくれる。そういった人たちもたくさんいるのだと言うことを知って欲しいし彼らを信じて頼って欲しい。

さて話題はひっくり返るがバンドさんたちはどうなんだろう、という話にもなった。客の入らないイベントには出たくない、そらそうだ。いいバンドと一緒にやりたい、それもそうだろう。だけど、与えて欲しいばかりになってはいないだろうか。
雑なブッキングを批判する権利はもちろんあるしチケットノルマに異を唱える権利も当然ある。なんならギャラよこせと言ったって構わない。なんたってギャラありきの出演の方が本来自然な姿なのだから。

とここまで風呂敷を広げたところで考えた人はどれくらいいるだろう。自分のバンドはギャラに見合ったライブができるだろうか、と。
僕が君のバンドの名前とアー写をフライヤーにして1万枚配り歩いたら何人くらいお客さんが入るのか。それでスタッフの給料や電気代や家賃は払えるのだろうか。
入らないのなら僕の店に着いて来てくれてる大切なお客さんに「絶対良いから来て」と声かけて100人200人入れたとしましょう、君たちはその雑多なはじめましてのお客さん達を楽しませられますか。失敗したとき責任をもてますか。

厳しいようだけど、そんなことができるバンドさんはこんな議論をする前に自分で自分のお客さんを増やしていってると思うんだ。ブッキングっていうのは難しいんだ。現代の多くのバンドやシンガーさんはアーティスト性だけが先に出すぎて扱い辛い。人によっては大スターでもないのにハレモノ扱いしなきゃならない。

ブッカーやオーガナイザーの最終的な目的は「お客さんを楽しませること」であって「バンドを育てること」ではないのだから、お客さんを楽しませる努力はアーティストも一緒になってやらないと。どんな種類のお客さんにどうやってアピールするのか、そのためにどんな楽曲や演出が必要か。ブッカーだって一流のベテランばかりではない。ブッカーもバンドも半人前同士だからこそ出来る楽しさはきっとあるし、将来的に価値があるのはきっとそんな荒削りなムーブメントだ。

2月も終わり3月となり、いよいよ春の足音も近づいてきた今日この頃、もうすっかり生活の中にある感染症も話題性を失って政治家の批判ばかりになってきた。ワクチンの接種もようやく始まったことだし、感染症の収束とはいかないまでも人々の恐怖心が妥当なところに落ち着き、正しく感染症を恐れる暮らしを始めて欲しいと願うばかりだ。

去年までの春とは全く違う、新しい暮らしが僕らを待っている。さあ街に出よう、ライブをしよう。

ライブハウス『松山サロンキティ』店長/武花 正太

プロフィール

武花 正太

愛媛県松山市のライブハウス

松山サロンキティ』店長

Twitter:@take87syouta

音楽、アニメ、旅、鉄道、廃墟、階段など、引っ掛かりを覚えた物を節操なく取り込んだボーダーレスなライフスタイルは国内外を問わず広く呆れられている。

自身のバンド「MILDS」では作詞作曲、歌、ギター、ピアノを雰囲気でこなし、さまざまな現場でベースを弾く。

DJとしても活動しており、主な得物はなんとアニソンである。

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