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【インタビュー・後編】YISKA/「あなたの唄になりますように」と澄んだ声が、青く降り注ぐ祈りのようだ

2020年に再録された “ 街と怪物 ” を皮切りにして、YISKA(イスカ)は再スタートをきった。

私達をまだ見ぬ街へ、YISKAは運んで行くのだろうと、確信が持てるインタビューとなっている。楽曲の魅力を紐解きつつ、“ 街と怪物 ” が生んだ物語と、YISKAのこれからについておはなみ(Vo.)が語る。

時間を忘れるほどのインタビューとなったため、前後編に分けてお届けする。

今回はその、後編である。

「贈り物は秘密」

――アニメーションを制作した、ゐたみさんとはもう長い付き合いなんですか?

おはなみ:今回初めてなんです。 “ 街と怪物 ” のMVは、とことん凝ったものを作りたかったんですね。予算も時間も限られた中で本当に、100%満足したものにしたいなって。だから、もう探し回って。

そのときに偶然、Twitterでゐたみさん(@itami_gomi)を見つけて、もうなんといっても、私、ゐたみさんの描く背景がめーーーちゃくちゃ好きで!器物といいますか、船の感じとか、使い古されたものを描くのがすごく上手いと思って。

漫画っぽさもあり、どこか懐かしさもあって、見た瞬間すごく好きになってしまって。ゐたみさん当時は、お仕事を応募してなかったんですけど、もう勢いで「初めまして!めちゃめちゃ好きなんですけど!描いてもらえませんか!!」と、DMで口説きに行った感じで。そしたら、快く受けてくださったんです。

――なるほど、ゐたみさんに一目惚れからの、猛烈アプローチだったんですね!

おはなみ:もう本当に、猛烈アプローチでした(笑) ちょっと引いてると思います、ゐたみさんは。それぐらい本当にゴリゴリに押させてもらいました。最終的にあれだけ良いものを作ってくださったので、感無量です。

――MVものすごく、動いてましたよね。

おはなみ:そうなんです。思ってた以上に動かしてくださって。ちょっと感動しちゃいました。それと実は、あまりこの話は表に出してないんですけど、ゐたみさんはあの5分弱の中にすごい素敵な設定を入れてくれてて。私だけが知っている秘密のストーリーがあるんです。ちょっと「へへッ」と、にやけるんですけど、すごく愛情をもって作ってくださって本当に感謝してます。

お話の内容は聴いてくれる方の解釈もあるので秘密です(笑)

――気になる~!想像します!

「育つということ」

―― “ 街と怪物 ” は昔からある曲ですよね。 MV 含め、撮り直した理由はあるんですか?

おはなみ:名刺代わりにちゃんと一曲仕上げたものを出したいねということで、“ 街と怪物 ” を選びました。私の中でははじめ、この曲はアルバム曲かなと思ってたんです。シングルで前にどんって出す子ではなく、まとめて出したときに、役割を果たしてくれるような曲と思ってたんですね。でも、思いのほか聴いてくださった方々が、すごく好きだって言ってくれて。“ 街と怪物 ” を早く音源にしてくださいってお声を頂いて、すごくびっくりしたんです。

私一人でやっていたら間違いなく、この結末にはなってなかったので、聴いてくれた人のおかげでここまで育った曲ですね。これは明確にそうだと思います。

――“ 街と怪物 ”は聴いてくださった方の思いも、たくさん詰まっているんですね。

おはなみ:本当にそうです。こんなに反響をいただけると思っていなかったので。なんというか、“ 街と怪物 ” は我が強すぎるかなと思っていて。私すぎる、個性が強いって言い方したらいいのかな。

――確かに丸くはなく、尖ってはいますもんね。歌詞では「届かなくていい」って終わっているのに、届いちゃうんですよ(涙)

おはなみ:「届かなくていい」って結末にたどり着いたとき、自分では「結局こんなに考えたのに、諦めちゃったか」って思ったんです。出てくるままに書いて、この結末になったので、それはもうしょうがないかと。 でも、「届いた」と思ってもらえるなら、それは本当に嬉しいことです。

「あなたの唄になりますように」

――ありがとうございます。それでは、最後にYISKAの2021年、これからを教えてください。

おはなみ:まだちょっと表には出せないのですが、今後新たなお知らせがあるかと思います。“ 街と怪物 ”の MVを観てもらえたら、YISKAが何やりたいバンドかわかるんじゃないかなと思うんです。なので是非、MVを観てください。よろしくお願いします。何がやりたいかっていうのはもう 、MVの中に全て詰まっているので。

あとは、これはちゃんと言おうと思ってたことがあります。YISKAのキャッチコピーは「あなたの唄になりますように」なんですね。

私自身音楽が好きで、音楽に励まされて、生きてきました。私もそういう力のある曲が作りたいと思って始めたはずでした。でも、音楽活動をやればやるほど、結局エゴでしかないってことに気づいちゃって。誰かのために曲を作ろうとか、誰かのために歌うっていっても、結局エゴなんですね。

「誰かのために」と最初にやりたかったことと現実との違いに、四苦八苦してるところがあるんです。それでも、「誰かがちょっとでも、元気が出てくれたら嬉しいな」とか「共感してもらえたら嬉しいな」とかってところが、手放せなくてここまで来ていて。

だからそれを、ずらしてしまったらYISKAじゃなくなっちゃうと思ってやってきています。キャッチコピーというより、恥ずかしいんですけど、祈りに近いというか。「そうであってくれよ」っていう気持ちでやっているんですね。

なので、その気持ちがちょっとでも伝わってくれていたら嬉しい。そういうことも、 MVから感じ取ってもらえたら嬉しいと思います。

最終的にYISKAが着地するところは、「あなたの唄になりますように」であって欲しいと思います。

「番外編:これはきっと、走馬灯」

おはなみは、音楽係コミュニティメディアGodokan(https://godokan.net)にて『これはきっと、走馬灯』という連載を持っている。ここで綴られる彼女の文章は、おはなみ自身をより際立たせているようだ。直球な言葉の裏にある、彼女の込めた思いに触れたい。

――折角なので、インタビューで触れられなかった、おはなみさんの連載についてお話しをうかがいたいです。

おはなみ:『走馬灯』については、私が普段どんなことを思って、音楽をやっているのかっていうのが分かればいいなと思って書いてます。手記のように書いていて、内容を練っているわけでもないんです。思っていることを、書けるだけ書いています。

――文章の勢いを、とても感じていました。

おはなみ:書いててわかったんですけど、私の中には音楽に対する執着みたいなのがあって。言葉にすることによって、自分と向き合う場所にさせてもらっていますね。YISKAは言葉を本当に大切にしていますし、その分歌にならないところはいっぱいあって。曲にするところは、人と共感できたり、「私だけじゃないだろうな、これ」っていうのを、歌にしたいんですね。

――曲を書くにも、感情の取捨選択をなさっていたんですね。

おはなみ:私個人が思ってるごちゃごちゃの感情に関しては、ちょっと整理をしておいて、後から見直したいなとも思ってるんです。見直したときに、そこから引っ張り出す出せるものも、あるかもしれないなと。あとは、曲にできる気持ちって、整理がついてからのことなんです。 気持ちを着地させるための、前段階というか、ツールとして使わせてもらっています。

――なるほど、言葉の倉庫といったところでしょうか。

おはなみ:そうですね。『走馬灯』を書きはじめて、自分の中で整理がついてきたこともあって、書く曲も変わってきたなと思います。

――それはとても興味深いです。

おはなみ: “ 街と怪物 ” にも「あなた」と出てくるんですけど、あの曲もメッセージはずっと内向きだと思っているんです。今までも、内向きな目線で、他人を見てない曲がすごく多くて。でも最近になって、「明確な他者」がいる曲が書けるようになったなと気がつきました。

“ 明晰夢 ” って曲なんですけど、あそこらへんから、「私ちょっと変わってきたなー」というのがあって。それが丁度、連載を始めた頃なんです。

――きっかけをくれた場所なんですね。

おはなみ: そうですね。おかげで外を見ることができるようになりました。今はだから、そういう曲を書きたいなって思います。

インタビュー前編はこちら

アーティスト情報

(Photo & Interview & Text by ソラ / Edit by 倉田航仁郎




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