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【連載】パーティ日和/第25回

<毎週土曜日連載>




バンドブーム考察

ぼくだってライブハウス店員のはしくれ、ここのところずっと減少傾向なわが街のバンド数に歯止めをかけ、バンドシーンを活性化させたい想いは持っている。いつもアニメ見てヘラヘラしているわけではないのだ。

「バンドブーム」というのを僕は人生で2度ほど経験した。1回目はBOØWYやユニコーン、パーソンズなど90年代。2回目は2000年代、青春パンク全盛期だ。2回目はブームの渦中にいた訳ではないがバンドをやっていたのでシーンの中から見ていた。
「バンドをやるとモテる」とまでは行かないがそういう幻想を抱いても仕方ないかなーと思う程度には注目される事も多かったし、今よりリハーサルスタジオも楽器屋も沢山あったしライブハウスはいつも人で賑わっていた、今思えば本当にいい時代であった。

いい時代であった、などといっている場合ではない。現在僕の暮らす愛媛県松山市はリハーサルスタジオも楽器屋さんも減ってしまい、バンドやろうぜ!と友達にキラキラした目で訴えかける若者もめっきりいなくなり、昔見かけた「メンバー募集 当方18歳Gt歴1年 vo.Ba.Dr求む 週2~3回スタジオ入れる方 初心者× 完全プロ志向」みたいな張り紙を持ってくる奴も居なくなってしまった。由々しき事態である。

バンドブームの頃と今とでバンドシーンを取り巻く状況はどう違うのだろうか。思いつく限りではあるが考えてみたい。

・動画文化
これはデカい。現代の人々は休日あまり外へ出ない。学校帰りなんとなく街に繰り出しレコード屋を物色したりしていると先輩にバッタリ会ってちょっとワルい大人が集まってるショップに連れて行かれ馴染みになってその後出入りするようになったりしない。
ましてその先輩がやってるバンドに誘われて初めてライブハウスを体験し音圧と迫力に圧倒されてその足で楽器屋へ行ってお年玉全部おろして安物のエレキギター買ったりしないのである。
家で動画を見るのだ。面白いものが無料でいくらでも掘れる、そんな時代に冒険は似合わないのかもしれない。

・興味の多様性
その昔、流行はテレビをはじめとするメディアが作るものだった。ほとんどの人は彼らが報じる物の中から選ぶ、まるでカタログから自分の好きな物を選ぶような感覚で音楽を聴いていたものだ。だから月9ドラマの主題歌は必ず大ヒットしたし、本当に一握りのスターダムが存在した。セールス100万枚のCDが沢山あった。ミリオンセラーなんて言葉、現在はもう死んでしまった。
メディアの影響力はインターネットに取って代わられ、多種多様な情報を人々が自ら取捨選択し取り入れる時代になった。その結果どうなったかというとこれはいい側面も大いにあるのだけど、みんなが同じものを見る、聞く、といった事がなくなった。
様々な界隈で小規模に人気者が生まれ、そのクラスターのみで消費されていく。だから所変わればトレンドは全く変わるのである。
自分と全く違う趣味を持った、交友関係の薄い人のSNSを見る機会があったなら、自分のタイムラインとは全く違い、異世界といっても差し支えないくらい情報に乖離があることがわかると思う。
メディア一強時代が終わり自分で様々な情報を閲覧することができるようになった結果、知らない間に自分の情報網にバイアスをかけてしまってはいないだろうか。

バンドブームの頃、必ず「御三家」なんてのが居たものだ。個性というのは大体三当分できるのである。
LAUGHIN’ NOSE、THE WILLARD、有頂天。もしくはBOØWY、UNICORN、TMN。またはGOING STEADY、ガガガSP、175R…といった感じだろうか。違ってたらごめん
今、そんな代名詞と言えるバンドが居ない事がやっぱり決定的にセンセーショナルじゃないんであろう。パッとしないんであろう。バーチャルユーチューバーの方がよっぽどセンセーショナルなのだ。

・アーティスト性がわかりにくい
これ。パッと見ド派手な衣装着てメイクしてカッコつけてたり、めっちゃおもしろいPV撮ってたりすごいバカそうな振る舞いやコメントしてたり、そういったわかりやすいバンドが少ない。フツーの男女が普段着で明後日の方向むいてるアー写見せられても物語が見えてこない。どんな曲やるんだろう…という興味がわかない。
バンドって物語だ。ファンは音楽そのものを楽しむというよりはバンドというストーリーを楽しんでいるのである。もっと魅せて良いのではないだろうか、君たちだけのストーリーを。

まだ思うことや考えていることはあるんだけど、少し真面目に掘り下げすぎてしまったかもしれない。らしくないかもしれない。
もっと街の音楽を活性化しよう、と口で言うのは簡単だけど根っこにはなかなか手が届かないものである。

ライブハウス『松山サロンキティ』店長/武花 正太

プロフィール

武花 正太

愛媛県松山市のライブハウス

松山サロンキティ』店長

Twitter:@take87syouta

音楽、アニメ、旅、鉄道、廃墟、階段など、引っ掛かりを覚えた物を節操なく取り込んだボーダーレスなライフスタイルは国内外を問わず広く呆れられている。

自身のバンド「MILDS」では作詞作曲、歌、ギター、ピアノを雰囲気でこなし、さまざまな現場でベースを弾く。

DJとしても活動しており、主な得物はなんとアニソンである。

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