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【連載】ファイアーループ足立のライブハウスなんかやめてやる!!/第24回

<毎週日曜日連載>




自分が死んだときのことを考えてみよう

おはようございます。ファイアーループの足立です。今回はタイトルにあるように「自分が死んだときのことを考えてみよう」ってお話ですが、決して暗い話でも病んでる話でもありません。人は遅かれ早かれいずれ死ぬんです。自分が死んだ後の世界なんて知ったこっちゃないと言えばそれまでですが、これを考えることで「組織論」が多少は見えてくるのではないでしょうか。

そもそもなんでこんなこと考えることになったかというきっかけは、今まで無かった冷え性(笑)に今年の冬いきなり悩まされたり、寝る前に「ぞんぞんぞんぞん」って耳鳴りがするようになって、なんとなく血圧を計ってみた時のビックリ数字です。上が170、下が128!!!上はちょっとした高血圧くらいの数値なのですが、とにかく下がヤバい。健康な人の血圧が上140、下90以下らしくて、とにかく下の「128」がモリモリヤバい!!血圧の表からはみ出るレベル!お風呂に入ったら死ぬレベルです。怖い!実は家の血圧計と僕の腕筋の相性がすこぶる悪かったというだけで、病院でちゃんと測ってもらったら「健康」と言われてすごすご帰ってきたってオチなのですが、やっぱり「死ぬかもしれない」っていう状況で考えることにはいつもと違う感触がある。

自分が死ぬと言ったって、ピンと来る人は少ないのではないでしょうか。かくいう僕も「いやぁ死ぬときは死ぬんだよ」って呑気に言いながら、隕石が降ってきて地球が滅びる夢を見たときは汚い手を使ってでも生き残ろうとしてましたからね。シェルターに入る順番をふわっと抜かしてました。最悪です。でもそれくらい「死ぬ」ということは生きている間ピンと来ていない。(寝てるとき見る方の)夢はとってもリアルですね!

さてこんなこと(高血圧)でも「死」を感じてまず僕が思ったのは、自分が本当に周りの人を信頼していないということ。信頼できていないということ。信頼できるほどの組織作りができていないということです。前回のスタッフミーティングで「血圧が異常に高いので俺は突然死ぬかもしれないんだけど、俺が死んだら6か月で店をたたんでくれ」と言って新年早々暗い雰囲気にする始末。なんで6か月かというと、ウチのテナントは退去6か月にオーナーに伝えないといかんというヒデェ契約だからです。「5か月後にファイアーループ閉店!」ってアナウンスして、なんか祭りやって、片付けとか原状復帰に1か月かかるとして、その1か月間で売れる物をぜんぶ売り払って、スタッフは次の身の振り方を考えてもらって、渡せるものは渡して、融資は僕が死んだら返済チャラになる保険がかかっているのでイイ感じ、なんとか店の運営を続けてくれというのはちょっと現状では無理があるかなとか、これ全部、周りの人のことを「俺がいなくてもなんとかやっていけるだろう」と思えていないからの話であるわけです。「オレ無しでやれるわけない!」という慢心より、ファイアーループに僕がいなくなるメリットが今ほとんど無いという感じです。いや、どうなんだろうか。あ、どうなんやろ。

皆さまご存じのとおり、ライブハウスおよびエンターテイメント界隈はコロナコロナで虫の息、いつ終わるのか全然わからないし、キレイに終わったところで(簡単には)前より盛り上がったり儲かったりすることはないと思っているので、いま「ちからが減る」のははっきり言って致命的です。

しかし、そこから「前向きに」考えるべきことが3つあります。ひとつは僕がいなくても大丈夫な組織作り。例えば今ファイアーループの何かが壊れても修理したりシステムを組みなおしたりできる人が現状ウチにはいません。これを少しずつでも改善していくという取り組みです。「いいよいいよ!俺やっとくから」って言って、マメに動いてると見せかけてその裏にあるのは「教えるのが面倒くさい」「教えるより自分がやった方が早い」っていう(組織作りとしては)単なる手抜きなんですよね。周りのスタッフも、間違えたらイヤだし、足立がやった方が早いし、みたいな感じでいつまでたっても「足立さーん分かんないーあばばばばばば」の悪循環から抜け出せない。これは1人1人の特性以上に就労環境による原因がきっと大きいです。こんなこと続けていると組織の技術力や自立心はいつまで経っても育ちません。僕と同じようにできなくても面倒くさがらずに教えて、仕組みや理屈に興味を持ってもらって、あとは「考えたらなんとかなる」あわよくば「足立がやるよりイケてる」を期待するべきなんですよね。

現に、僕がちょっと入院して不在の時はみんなしっかりやっていたと聞いていますし、僕が近場にいない方が組織の伸びシロを生かすことができるんではないかと考えています。これの奇策?として、歩いて2分の所に小さい事務所を借りました。「いつもいる便利なオジサン」じゃなくて、「ちょっと呼ぶのが面倒くさいオジサン」に僕がなることで、伸びる部分があるんではなかろうかと。僕個人はマルチタスクが超苦手で「人に声かけられるかもしれない」状況だとパフォーマンスが半分以下になる性質なので、タコ部屋モードの自分がどんなことやれるかにすごく期待しています。

考えるべきことの2つ目は、こだわりを少しずつ捨てていくこと。フレキシブルであること。僕の考えとちょっと違っても「これはこれでヨシ」と思える懐の深さを持つことでしょうか。これは年齢を重ねるにつれ良くなっている気がします。トップのオッサンが「俺の思った通りになってないとヤだ~」って駄々こねるより「それいいじゃん」「それもいいじゃん」って認めていける大らかさというか、「GOODの幅が広い人間」であるかという点、これも上司に必要なことではないかと考えています。結果的に僕が思っているライブハウスや取り組みとちょっと違うものになっていくかもしれませんが、現場で色んな人たちと直接かかわっている若い人たちが「正解」を叩き出す可能性の方が高いかも知れません。

最後に3つ目ですが、これは頼れる人、能力のある人、賢い人と付き合うことです。どうしても自分たちで出来ないことが世の中にはたくさんありますから、イケてる人たちと信頼関係を深めていくことは今まで以上に意識していくべきです。ただし、こういうイケてる人は人を見極めるのも上手なので、自分たちのレベルを上げていかないことにはレベルの高い人と付き合うことはできません。そのセンスをどれくらい身に着けることができるか。外部から信頼に足る組織になるか。正直言って僕自身が大したもんじゃないと思っているので、組織の1人ひとりより先に自分がまず上がっていかないとイケナイなんて思っています。つまり、なかなか「安心して放置する」というのは難しいということですし、結局は自分がやらなくちゃという考え方からは抜け出せていませんね。

人間っていうのはみんな、自分の存在価値が高いかどうかすごく気にしていると思います。特に若いときはそうです。自分がいなかったら困る組織、多くの人から尊敬され、頼られる、いいですね!これって「全知全能の神の化身である俺を追い出したパーティがこれに気付いた途端に助けを求めてきたが、もうすでに遅い件」みたいなウレシイ状況・モテる状況みたいですが、実際これをどう考えますか?自分がいなかったらこの店はオシマイだ、だから辞めてほしくないでしょう?だから給料上げてください。待遇良くしてください。こんなのはハッキリ言って交渉にもならない三流の考え方です。一人ひとりが「自分がいないと回らない脆弱な組織に所属している」という危機感を常に持つべきだし、それを改善するにはどうしたらいいかと考えることができれば、もっと高いレベルで評価されるんじゃないでしょうか。

さて、これは冒頭で言ったみたいに暗い話ではないんです。組織を強固にするために考えるべきことを書いてみたに過ぎません。今は安心してぜんぶ任せられなくても、とつぜん死んだときに「でもまあファイアーループは大丈夫だろ」って思える組織に育っていることを目指すべきだと思っています。正直まだまだ無理なので、俺がいま死んだら半年で畳んでくれとか言っていますが、来年の今頃にはどうでしょうか。そういったこともテーマにして生きていきたいと思っています。でもまあ健康第一。塩分糖分ちょっと意識するだけで体脂肪率とか代謝率とか改善しましたから、まずは前提として慎重に生きていかないとアカンですね。

人間なんて生きてたら一言一言が遺言みたいなもんですから、それを日々イイ感じに更新していければ幸いです。ではまた来週!

ライブハウス『Fireloop』店長/足立 浩志

プロフィール

足立 浩志

大阪府大阪市のライブハウス

寺田町Fireloop』店長

Twitter:@adatinc

大阪にある、寺田町Fireloopという面白ライブハウスのオーナーで店長です。大喜利が大得意ですが、気の利いた答えを出すまでに1日かかります。

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