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【連載】ファイアーループ足立のライブハウスなんかやめてやる!!/第21回

<毎週日曜日連載>




スピーカーの位置を変えて、音が良くなった話

明けましておめでとうございます。ファイアーループの足立です。

先週と先々週はお休みをいただいておりましたので、お久しぶりです!

先週1月4日はスタッフ全員が出勤でパワーも足りるので、なんと8年以上も「吊り」だった客席用メインスピーカーを下におろしました!もう去年からずっとやりたいなって思っていたのですが、重さ50キロ以上あるので面倒すぎてちょっと諦めてました。今回、やっと夢がかなったという感じです。

そもそもなんでメインスピーカーを天井からぶら下げていたかというと、スピーカーが低いとお客さんが満員(200人)入った時に音が飛ばなくなるから、というのが大きなひとつ。スピーカーが低いと、密集したお客さんつまり肉の壁に妨げられて音が遠くまで届きにくくなるんです。満員時は最後列でボーカルが聞こえない!そこで、高いところから音を「降らせる」ことで、客席のお客さん全員に均等に音が行き渡るようにしたいというのが狙いでした。これは近年では多くのライブハウス、ホールで採用されている「フライングスピーカー」というやり方ですね。

しかしこのフライングという方法、良いことばかりではなく難しい問題もあります。スピーカーをたくさん並べたり、低音、中音、高音が出力される位置が離れると位相がズレてしまうんです。ちょっとくらいなら大して問題ありませんが、スピーカーの数が増えたり、去年までのファイアーループみたいに低音のスピーカーと高音のスピーカーが離れたりしているとかなり位相が悪くなります。位相が悪くなると何が起きるか、というと、簡単に言うと「スカスカの音になる」というやつ。これを解決するために、一般的には「タイムアラインメント」というデジタルディレイで補正する方法を取りますが、これもまた万能ではありません。

例えば、低い位置に低音用、高い位置に高音用のスピーカーが1つずつあったとしましょう。低い位置のスピーカーはお客さんに近いです。高い位置のスピーカーはお客さんから遠い。その距離の差がピッタリ3.4mあったとします。音は1秒間に340mくらい進みますから、3.4mの距離の差があるということは、(この場合)100分の1秒のズレがあるということです。低音がお客さんに届いてから100分の1秒後に高音がお客さんに届く。あんまり数字で言われてもわかんないと思いますが、これたいへんグッダグダの音。誰が聴いても「良い音」とは言わないレベルでしょう。これの正体が「位相がズレている音」で、さてどうやったら改善できるでしょうか?

これの解決法として提案されるのが、上で挙げた「タイムアラインメント」です。遠いスピーカーの音が届くのが遅いなら、早く届く音(今回は低音)を遅らせればいいじゃん。という理屈で、近いところにある(今回の例でいえば、低い位置に置いている)低音用のスピーカーの音を100分の1秒、ディレイで遅らせれば2つの音はお客さんの耳まで同時に届くことになるよね。これで万事解決!

というわけに行かないのがタイムアラインメントの限界です。お客さんは1人ではありません。さっきの「近い」お客さんから見れば「低音と高音の距離の差=3.4m」だったとしても、隣に立っている人からは微妙に違います。もっと遠くにいるお客さんからしたら、その距離の差はどんどん縮まっていくかもしれないのです。AとA’、BとB’の距離の差を見てみてください。この図の例では遠い方が距離の「差」は縮まっています。

つまりタイムアラインメントをどんなに正確にやっても、この問題を「完璧に」解決することはできないのです。そしてもうひとつ大きな問題があります。スピーカーを挟んで、お客さんと逆の位置に立っている人。そう、バンドマンに聴こえる音です。スピーカーはウラからもたくさん音が出ているんです。

CとC’の距離の差を見てください。あれ、元々ほとんど同じだ!じゃあこの場合、何もしない方がバンドマンにはイイ音で聴こえてたってことになりますよね。なのに今回タイムアラインメントで「近くにいるお客さんに良い音を聴かせるために掛けた低音へのディレイが、演者にとって「低音が遅れて聴こえる」という悪影響を与えたということになります。だからと言って、何もしなかった場合は近くにいるお客さんにとって音が悪い。困ったぞ?

これはものすごく極端に書いていて、実際、大きな会場でやるスゴイプロ現場スタッフはもっと根本的に、ちゃんとスピーカーの置き位置から会場の大きさからなんやかんや測定してコンピューター使ったりなんやかんやしたりして上手くやるもんだと思うんです。低音と高音で3.4mも離れてるなんて、そもそもスピーカーの位置取りが頭悪かったという話になりますよね?つまり、なんちゃってテクノロジーな私がやって良い音になるのは

究極、こういうことなんですよ。ファー

だから、できるだけ低音用と高音用のスピーカーを近づけて(くっつけて)、誰からしても距離の差の小さい「点に近い状態」が好ましいといえるわけですね。

あと、出来立てのファイアーループで反響や壁のコンディションが完成しきっていない間に「位相のあった、良い音」が扱いきれなかった、というのが吊っていたもうひとつの理由です。音が回って回って伸びてハウりまくって上手くいかなかった。つまりスピーカーを下げた方が音が良いのはもともと分っていたのですが、その音でライブをするのは当初、演奏する環境としてすごく悪かったんです。そこで「ガッツリ鳴らないようにする」というある意味ネガティブな方法で我慢していたと言えます。

それが!このたび!移転10周年を記念して!というか10年ですごく音場が良くなったので!ぜんぜんハウらなくなったので!戻しました!ぶっちゃけ、今後いつになったら「キャパ満員のライブ」ができるようになるかわかんないし?ふつーーに良い音になる「置き」に戻してしまいました!!!というわけなんです!!

めちゃめちゃ音が良くなったので、お楽しみに!!もちろん演奏もやりやすくなった!!ぜひ聴きに・演りに来てください。ではまた来週!

ライブハウス『Fireloop』店長/足立 浩志

プロフィール

足立 浩志

大阪府大阪市のライブハウス

寺田町Fireloop』店長

Twitter:@adatinc

大阪にある、寺田町Fireloopという面白ライブハウスのオーナーで店長です。大喜利が大得意ですが、気の利いた答えを出すまでに1日かかります。

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