1. HOME
  2. ブログ
  3. 【連載】パーティ日和/第21回

【連載】パーティ日和/第21回

<毎週土曜日連載>




年越しの思い出

2021年最初の記事が第21回というのも縁起がいい。

みなさま2020年はいかがだっただろうか。なんとかいう感染症のせいでハッキリ言ってロクな年ではなかったけど、ほとんど全ての人が非常事態に陥ることで近しい方々の本質も透けて見え、ぼんやりしていた自分の身の回りにピタッとピントが合ったように感じる今日この頃だ。
なので僕にとったら苦しかったけれど得るものは多かった、ということになるのかもしれない。これは今後の僕の動きに期待が持てる。人間万事塞翁が馬、というやつである。

さて未だ感染症の脅威に満ちたこの我々の世界線は、年末の空気感というものまで変えてしまった。忘年会はことごとく中止となり、繁華街から人々の喧騒は消え、私共ライブハウスも静かなものだ。
近所の居酒屋の大将は予約が全て無くなったと力なく笑うし、ニュースは1日の新規感染者が過去最高になったと嬉しそうに報じる。GoToナントカで消費を煽りながら集まっての会食に注意喚起をし、一貫性の無くなった一連の感染症対策はもはや力を失って楽観的な者と過度に恐れヒステリックに騒ぐ者が現れ、これは、我が国は失敗したんだろうなあとぼんやり感じる今日この頃である。夜の街やライブハウスが感染しやすいから行くなと口を揃えて仰っていた専門家様がたは今どこでどうしているのでしょうか……一度ゆっくり語り合ってみたいものだ。

年越し、というと私のようなバンドマンはどこかのライブハウスでカウントダウンライブ、というのが王道の過ごし方である。私共サロンキティもかつては松山じゅうのバンドが集まって年越しをやったものだ。
12月も半ばになってくるとサロンキティの事務所には廃棄ポスターを裏返しにして貼り合わせた長い長いタイムテーブルが貼られ、各バンドが早い者勝ちで自分のバンド名を記入していくのである。

椅子やテーブルがすっかり片付けられた楽屋の真ん中にビールサーバーが置かれ、出演バンドは飲み放題となっていた。当然当時のバンドマン、酒はあればあるほど良いということでもう阿鼻叫喚の泥酔者パーティであった。
なにせ時間が経つほどどんどん酔っ払っていくので演奏時間も守らなくなってきて、みんなが押しまくるものだからなぜか最後の方に回されるヴィジュアル系のバンド達が出てくる頃には朝になり、すっかり酔いつぶれ階段から落ちて血だらけでステージに這い上がったりしていた。迫真のリアルなゾンビメイクにドン引きしたりしたものである。

あの頃は良かった、などとは全く思わないのだけれど、あの混沌とした空気の中に一年を締めくくるという説得力があったのは確かだ。ジャンルの壁を超えてホームグラウンドであるライブハウスに集まり年を越す。先輩に挨拶をし、仲間と酒を飲み交わし、ライブをしていくうちに人と空間が溶けあってひとつの時間を共有している実感が湧いてくる。時間が深くなってくると1人、また1人と姿を消しやがて初日の出も初夢もうやむやのうちにパーティは終わり、気がつくとひどい格好で家で寝ていたものだ。
そうやって二日酔いで迎える元旦の夕方、何故か最高の気分だったし次の一年が楽しみで仕方なかった。一年の計は元旦にあり、である。

2020年、僕にとってただひたすら耐える一年となったので2021年は動こうと思っている。
次の一年が大きな節目になることは明らかだ。頭を柔らかくして、失敗を恐れず、楽しく挑戦していきたい。
関係者、読者のみなさま、どうかよろしくお願いいたします。

ライブハウス『松山サロンキティ』店長/武花 正太

プロフィール

武花 正太

愛媛県松山市のライブハウス

松山サロンキティ』店長

Twitter:@take87syouta

音楽、アニメ、旅、鉄道、廃墟、階段など、引っ掛かりを覚えた物を節操なく取り込んだボーダーレスなライフスタイルは国内外を問わず広く呆れられている。

自身のバンド「MILDS」では作詞作曲、歌、ギター、ピアノを雰囲気でこなし、さまざまな現場でベースを弾く。

DJとしても活動しており、主な得物はなんとアニソンである。

過去の連載記事




関連記事