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【連載】ファイアーループ足立のライブハウスなんかやめてやる!!/第17回

<毎週日曜日連載>

第一波、第二波のとき、なにやってたっけ

おはようございます。ファイアーループの足立です。

来ましたねコロナ第三波。いや、来たというべきか数字に出てきただけなのか、何が原因でどういう現象が起きているのかは僕には分かりませんが、頑張ってライブハウスの仕事をやっています。仮に現在コロナの第三波が来ているとして、「第一波が来た今年の3月から今まで、一体なにやってたんだよ!」と他人や行政に問う前に「自分がいったい何をやってきたか」をいちど思い返してみようと思って今回、書いております。

暗い話ではないです。なんかすんごい遊んでました。人に胸張って言えるような立派なことはやってないですが、最近遊び過ぎて頭がとっ散らかっているので、その整理もかねて。もし興味を持ってくれたら「ファイアーループの足立が、3月から今まで何をやってたか」を読んでみてほしい。

※ていうか、死ぬほど長いので最後らへんだけでも読んでほしい

もう記憶も定かではないですが、3月に入ったころからちょこちょこ雲行きが怪しくなってきました。人が集まるところは(インフルエンザでも散々言われてきたみたいに)感染の危険が高い、だからキャンセル、だから営業自粛、そういった話を耳にするようになりました。

でもまだまだ世の中は呑気だったと思います。イベントや出演のキャンセルなども特に無く、「ライブハウスは今後どう立ち振る舞うべきか」を各ライブハウスがそれぞれ考えたり悩んだりしていた時期です。

僕らファイアーループも他岸の火事といった調子で、でも他のライブハウスは少しずつ配信を始めたりしてるのを見て「ウチもコレをきっかけに何か面白いこと始めたいぜ」ってくらいでしたね。すぐ終わるだろって思ってたからね。

そこで始めたのが、ライブ音声の生配信でした。

前回のコラムに書いたように僕は移転前にカメラとかスイッチングとか散々凝っていて、もう映像への取り組みには飽きてしまっていたんです。「映像」というメディアの弱さ・過酷さも知っているつもり。映像は、見る側の目と耳を奪いすぎるんです。だから、たとえ無料でも見てもらうのは相当敷居が高い。視聴者のコストが高いということですね。しかも僕たちはテレビやメジャーの超ハイクオリティなライブ映像ですっかり目が肥えてしまっているので、僕ら素人が今から映像をやり始めたところで「何かの勝負」に勝てるとは到底思えませんでした。

だからこその、あえてラジオ配信。スマホをいじっている間、みなさん何か音を流しているでしょうか?家にいるときはスマホから音を流している人も多いかもしれませんが、LINEもSNSもインターネットもゲームも基本的には無音で楽しめますから、その間の「耳」を拝借する権利くらいは取れるんではなかろうかと。iPhoneとAndroid両方でバックグラウンド再生(例えばLINEとかSNSとかいじっても音が止まらない)ができるのはLINE LIVEとツイキャス(あと有料のYouTubePremium)くらいで、ツイキャスは30分、LINE LIVEは3時間で配信がいったん途切れるとか。

で、もちろん音にこだわって「既存メディアでは聴いたことのない、ライブ会場にいるみたいな質感の音」をリアルタイムにお届けしようという取り組みを始めました。4月くらいには納得のいく音で収録できるようになっていたと思います。

並行して、出演者サイドから「やっぱり配信には映像が欲しい」という声が上がるようになって、もう避けては通れないと思い映像配信もやるようになっていきました。たまたま僕が映像配信に適したカメラ(GH3)を趣味で持っていたので、HDMIキャプチャを買ってちょっとOBSの勉強をするだけで固定カメラの配信はできるようになりました。そういえば、配信配信と言われはじめた頃だったのでHDMIキャプチャはすごく品薄になっていましたね。売れ残りの、バッタモンみたいなHDMIキャプチャを買ったのですがぜんぜん当たりで、これは今でも元気で動いています。GH3は先日お亡くなりになりましたが。しかしこのときにさんざんOBSや配信、音、映像などの勉強をしたのが今でも役に立っています!もう配信のことだったらなんでも僕に聞いてください。何屋だこれ。

思い返せば今年の3月末に志村けんが亡くなりました。あんな超大物が死ぬんだ?ものすごいお金持ってそうなのに?やべえコロナやべえやっぱ死ぬんだ、って日本中がゾワってなったのは記憶に新しいところです。僕も超ビビってました。「えらいことになるぞ」と。僕はカトちゃんケンちゃんごきげんテレビ世代なので、もちろん訃報に心を痛める傍ら、しかし自分の店のことばっかり心配していました。案の定、その日にホールレンタルキャンセルの電話が5件くらい鳴りました。

そこらへんから突然めちゃめちゃヒマになったので「せっかくだからヒマじゃないとできないことをやろうぜ」みたいにお店の改装・改善をスタッフとやっておりました。ハコの空き日じゃないと出来ないような実験もたくさん。「できました」というべきなのだろうか……こういった機会が無かったら、ずっと同じことを続けていたのかもしれない。実はこの時期けっこう楽しかったです。

お店の取り組みとして面白かったのは、ライブラジオですね!コロナが来る前のライブ録画を6か月分くらい残してあったので、ミュージシャンたちにSNSで呼びかけたり、連絡したりしてライブ音源を使わせていただきました!ライブの録音なんてだいたい自分たちがミスとかプレイをチェックするために録るものなので、あんまり喜んで人に聴かせるようなもんではないんですが、そこが「ライブのおもしろいところ」と考えて、あえてラジオで流すという、、、たいへん無茶な取り組みでしたが、苦しいライブハウスに力を貸してやろうと言ってくれるミュージシャンが数多くいて、とても面白い取り組みになったと思います。

残念ながらこのラジオ音源、編集にものすごい時間と労力がかかるので少し忙しさが戻った今では続ける(増やす)ことができません。そこでもう一回、システムを練り直して仕切り直しということで今年いっぱいでいったん終了することにしました。参加してくれたミュージシャンの方々、ラジオを楽しんでくれた方々、この場を借りてもう一度お礼を言いたいと思います。ありがとうございました!

5月に入るころには「なんとかライブ営業してもいいっていう形を作ってくれ」という雰囲気が出てまいりました。そりゃそうだ。。。コロナが始まる前はホールレンタルの1件キャンセルや不払いが出ただけで大事件だったんですよ。それがドッカンドッカン空き日になって、こんな状況でライブハウスが存続できるわけがない。でもコロナは別に収まっていないんだからどこかで「しっかり予防するなら営業していいよ」という話になるのは間違いなかった。コンビニでちょこちょこ飛沫防止のビニールカーテンがぶら下がるのを見かけるようになったので、「ほなアクリル板をステージの前にぶら下げようぜ!」って勢いで買ったのはよかったですね!これは先見の明があるとかそういう自慢じゃなくて、実はPAとして前々から興味があったんです。ステージと客席をアクリル板で仕切ったらどんな音になるのかなって。

そもそも客席にはステージの生音が思いっきり聴こえるのは当然の自然現象で、これも「ライブ」ではあるんですが音としては弊害も多いんです。簡単な例で言うと、ギターアンプの前に立っているお客さんには「ギターばっかりデカい音楽を聴かせてしまう」などです。ライブサウンドの醍醐味といえば醍醐味なんですが、僕は「できるだけ会場全体のどこに立っていても良いバランスで音楽を聴かせたい」と思っている側のPAなので、いちどアクリル板で仕切って「ステージからの直接音があんまり客席に突き刺さらない」という状況でPAしてみたいな、なんて常々うっすら思っていたのです。もちろんそれが理想のライブハウスだと思っていたわけではありませんが、どんな風になるのかは知っておきたかった。でもアクリル板は高いし、実験って言ったっていつ実験するねん。だいたい毎日ライブはあるし、お客さんからチケット代を貰って実験するとかあり得ないし、まず賛同者を探すのもたいへんです。つまり飛沫感染防止という言わば「大義名分」をいただいてめでたく実験することができたというわけです。どうです悪いでしょう。

アクリル板で仕切っても影響あるのはミッドハイ~ハイくらいで、ライブとしての迫力はあまり損なわれずに「耳に突き刺さらない音」になったのは大きな収穫でした。結果として、客席での音バランスはかなり安定しましたが、残念ながらハウりやすくなったし、ハウるポイントは変わったし、センター定位があいまいになったので良いことばっかりではないです。これも「やらなきゃわからん」ことだったのでやってよかったです。僕的には別のライブハウスのPAやってるみたいで楽しいんですが。

でもアクリル板を買う際に真っ先に思ったのは「アクリル板にプロジェクターの映像を投影できたらスゴいんじゃね!?」でした。そこで色々調べたのですが、やっぱり知らないことだらけ。最初僕は「アクリル板に特殊な塗料とかフィルムとか貼る方法があるんだろ」とナメてたのですが、まず塗料。これはすぐにハゲるらしいです。しかもまあまあ乳白色になる。次にフィルム。高い。すごく高いです。有名なディラッドスクリーンというのがあるんですが、まず値段がとんでもなく高い。無色透明ではなく、やはり乳白色。乳白色はまあいいんですが、これだと「アクリル板は必要だけど映像はイラナイ」っていうときに「なにをいらんことしてるんだよ俺たち映像ないのにオイ乳白色」って叱られそうですよね。だから却下……ムキになってポリッドスクリーン、アミッドスクリーン、いろいろ試して試して今、立派に完成しております。電動のアミッドスクリーン!電動だから使わないときには何もないです。当初、誤解を招く言い方になってしまっていたのか、ウチのアレは「アクリル板に映像を映している」のではありません。アクリル板の前に電動のアミッドスクリーンがぶら下がっているんです。アクリル板が不要になった時代でも使えるように、使いたいときだけ、というわけです。従来のアミッドスクリーンよりだんぜんキレイなやつを頑張って作ったのでマジでいっかい見てほしい。(12月2日にVJバーやります。ぜひ見に来てください!※宣伝)

それに付随して、VJ(映像をいろいろリアルタイムに出したりエフェクトかけたりすること)の勉強もだいぶやりました。バ美肉(3D美少女になって配信とかZOOMに現れる)に挑戦したのもその一環です。そのうちまたvTuberでもやろうかと思っています。しばらく触ってなかったらバ美肉アプリ(3tene)が超進化してたので楽しいです。iPhone連動でZ軸でも動くようになってる!そう言えばビデオ通話の相手をもバ美肉化・バ美声化するシステムを作って「匿名の美少女達(ライブハウスの店長とか)が本音を言いまくる」っていう企画を考えたのにあんまりシステムが安定しなかったので1人しか誘えてません。NDIをちゃんと動かすのにルーターを買いなおさなきゃいけない。ブレンダーはやる前から挫折しました。タッチデザイナーやプロセッシングも時間的にムリ。レゾリュームは超かんたん。ネットデュエット~シンクルームは良い感じだからそのうちやりたい。そのためには光回線をもう一本引かなくちゃ。もうめちゃくちゃです。とにかく面白そうって思うものにはとにかく今、手あたり次第です。

なんかぜんぜん書ききれない!また長くなってしまいそうなのでもうこの辺にしておきますね。

いや、すでに超長いです。すみません。

しかし大事なのはここから。

なんで僕がこんなことやってるかというと、(楽しんでやっているのも半分ですが)とにかくライブハウスを生き残らせたいからです。ファイアーループではなく、ライブハウスを、です。

ライブハウスは今後コロナが完全に沈静化したとしても、コロナ前と同等もしくはコロナ前よりも盛り上がることが「コロナ前と同じことをしていても絶対に無い」とイヤな確信を持っているからです。辛い時代を乗り越えて良い音楽が生まれることにすごく期待しています。でもそこはライブハウスの仕事じゃない。

このたび、コロナの影響で甚大な被害を受け、莫大な借金を背負ったライブハウスがほとんどだと思います。かく言うウチもそうで、それは紛れもない「借金」なんです。返す必要のあるお金。繰り返しますが暗い話ではないです。コロナ前ですら自転車操業ギリギリだったこのライブハウス業界がその借金を返すためには、コロナ前よりも飛躍的に盛り上がっていないとダメではないですか?「はやく終わってくれ」「前より盛り上がってくれ」と祈っていてはダメではないですか?

そこで僕が考えているのが、世にごまんといる(バンド以外の)クリエイターやアーティストをライブハウスに招くということなんです。絵を描く人、映像を撮る人作る人、VJ、CGデザイナー、AIエンジニア、プログラマー、vTuber、音楽で言えば曲を作ってボーカロイドに歌わせるP、「ライブハウスのブッキングマネージャーに散々求められる派手なステージパフォーマンス」が肌に合わない優れたミュージシャンなどなど、、、今までライブハウスに来たこともなかった、興味もなかった人たちもいるでしょう。そしてその表現の場は、数字でしか報われないYouTubeが今は主流なんです。有能な彼らがライブハウスを新たな表現の場として住処にすれば、ライブハウスは新しい遊び場として進化を遂げそうではないですか?そして彼らがバンドと出会う場を作ることができれば、今までのライブハウスの延長線上にある上位互換のライブハウスとして人から求められ続けることができるのではないでしょうか。

ライブハウスが何十年ものあいだ同じことをやって盛り上がり続けてきたことに僕は全く疑問を持っていません。だから、革命を起こして別物にしてやろうというわけではありません。ライブハウスと音楽は生き物の遺伝子レベルで必要なことだから続いてきたんだと思っています。その部分をもう一度見つめなおし大切にした上で、テクノロジーと融合させてどんどん新しいショーができていく、そんな未来が見てみたくていろいろ遊んだり試したりしているところです。

なんだか説教臭いような、アツ苦しいようなことを言ってしまいましたが、いかがでしょうか。僕はライブハウスが無いとなーんにもできないのでまだまだライブハウスにいます。しかし早くなんとかしなくちゃ、形にしなくちゃと毎日毎日あせっています。あせっているけどもっと面白いモノが見たいです。圧倒的に、もうめちゃくちゃ涙が出て死ぬほど面白いモノじゃないとこの世の中はきっと動きません。「こんなことできないかな」って何か思いついたらぜひ教えてくださいね。

最後に、僕のこんな考えに賛同して今まで文句も言わず付いてきてくれる奥さんとスタッフに感謝しています。なんかヘンなもんにお金を使うくらいなら給料上げてくれって言われそうでまだ言われてないので非常に助かっています。サンキューな!

では、また来週!

ライブハウス『Fireloop』店長/足立 浩志

プロフィール

足立 浩志

大阪府大阪市のライブハウス

寺田町Fireloop』店長

Twitter:@adatinc

大阪にある、寺田町Fireloopという面白ライブハウスのオーナーで店長です。大喜利が大得意ですが、気の利いた答えを出すまでに1日かかります。

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