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【連載】ファイアーループ足立のライブハウスなんかやめてやる!!/第10回

<毎週日曜日連載>

トラブルシューティング講座

おはようございます。ファイアーループの足立です。

前回、音の話をするのはしばらくお休みにしようと言ったばかりですが、油断するとすぐに音の話になってしまいそうです。今回はトラブルシューティングのお話にしようかな!これは音の話ばっかりではないですね。みなさま最近、トラブってますか?シューティングできてますでしょうか。

まずは何件か例を挙げながら見ていきたいと思います。ちなみに僕は自他ともに認める「トラブルシューティングうまいおじさん」で、困ったときに頼もしい、なんでも壊れたら直してくれる、ゆえに休みの日でも「あだちさぁんあばばばばばば」とスタッフから電話がかかってくるという何とも金持ちになりそうにない星のもとに生まれた人でもあります。もう今年で44歳になるんだから、現場はもっと人に任せていかなきゃならんよね。

というわけで先日のミーティングでもスタッフ達に熱弁しておったのですが、トラブルシューティングというのは「仕組みに対する興味と理解」が秘訣であります。「こんな場合はどうやったら直る」みたいな一問一答式の、単語帳みたいなやつを暗記しても無理なんです。本当に作ろうと思ったら辞書みたいになりますし、探すのも大変です。大昔に流行ったゲームブックみたいなのを作る必要がある。「洞窟に入るなら118ページへ」みたいなやつですね。あーもう無理無理そんなの書けなぁい!!そんなのに頼るより仕組みを理解していれば、今どこがどう壊れていて、何が問題で、どうやれば解決に至るかを想像することができる。あーだめだこりゃ交換しかない買いなおすしかない、お金払って業者に頼むしかない、そんな判断にも素早くたどり着けます。結果的に無駄なお金もかかりません。例をいくつか挙げていきましょう。

突然トイレが詰まったとします。

どうしますか?スッポンでガッポガッポやるっていうのはご存じですか?じゃあスッポンが無かったら?何か代わりになる物を探しますよね。じゃあ何がスッポンのかわりになるんでしょうか。

そこで「仕組みの話」です。

スッポンでガッポガッポやると詰まりが解消するのはいったい何故なのか。考えてみましょう。

ガッポガッポすると詰まりが消えるんでしょうか?ぜったい違いますね。消えるはずがないです。詰まりが粉砕するんでしょうか?さすがにそんなパワーは無さそう。

ガッポガッポすると、トイレの奥の、長ーい排水パイプの中の水が行ったり来たりしますね多分。で、今は排水パイプの曲がっているところに何かが引っかかっているか詰まっているんじゃないかな。そこまで想像できれば、あとはどうやってその「引っかかり」にちょっかいをかけられるか考えましょう。要はツンツンしたいだけです。

長い棒を突っ込んだらいけますか?いやつっかえてしまう。では硬くて長くてちょうどいい感じに曲がるやつ?うーん、そんなものは家には無いな。遠いと届かないし、じゃあ掃除機で吸う?うーん、家庭用の奴じゃ掃除機が壊れそう。アッでも凄い勢いで水を流したらイケそうじゃないですか!?

でも、下手したら逆流してきそうで怖いですね。押し出すばっかりじゃなくて「ツンツンしたい」のだからスッポンでガッポガッポして、その前後の水流で引っかかりを動かして流すんですよね。じゃあペットボトルの底を切って、蓋は締めたやつを突っ込んで、スコスコスコスコスコ!ってやったらどうかな!?

僕はこれで見事、トイレの詰まりをスッポン無しで解消し、それを見ていた奥さんが「この男は何でもなんとかする」と結婚を決めたそうです。でもこれは単なる「考え方のコツ」なんです。

こういう脳みその使い方は全てのトラブルに応用が効きます。今回の「トイレ詰まり事件」に関しては、トイレの向こう側がどうなってるか想像して、じゃあどうすればいいのか考える、というプロセスではありましたが、もし僕が「トイレの向こう側はこういう仕組みになっている」ということを知っていればもっと良い方法があったかもしれないし、もっと早く解決していたかもしれない。トイレの床をびっちゃびちゃにすることもなかったかもしれません。

そのための「仕組みに対しての知識と理解と想像力」これがトラブルシューティングの唯一の武器といっても過言ではないでしょう。そして、それらに対する「興味」が大切です。

例えば、エレキギターが突然鳴らなくなった!こんな時、どうしますか?

エレキギターは、弦を揺らして、その揺れをピックアップで電気に変換して、その電気をシールドケーブルを使ってエフェクターに回して、そこからまたシールドケーブルを使ってギターアンプに渡して、そこで大きい電気に増幅して、スピーカーを鳴らしてデカい音を鳴らしている、みたいな大まかな「仕組み」「流れ」を知り、理解しているとしましょう。すると、音が出なくなったときにチェックすべき部分が見えてきます。ぜんぜん見当が付かないときは総当たりでチェックをしていくしかありませんが、その「総当たり」にもちゃんと一つひとつ目的を持って行うべきですし、仕組みが分かれば目的もはっきり見えてくる。しかもまるで「絵」のように見えるから判断は一瞬です。

エフェクターをすっ飛ばして、ギターをアンプ直で繋いでみる

正常に音が出たら逆に「エフェクター周りに原因がある」ということになりますから、エフェクター周りをチェックしますね。これは「エフェクターまわりは配線が多くてトラブルの原因が最も多い」と心から理解しているからこそ最初にやってしまいます。

そうやってもやっぱり音が出ないのなら、おそらくエフェクターが原因ではありません(トラブルが同時に発生している場合もありますが。)ギター本体か、シールドか、アンプにきっと原因がある。ギターからシールドを抜いた時に「ブッ」って音が鳴ったらアンプにもシールドにも問題はなさそうです。おっ、ギターか?(悲)

ここで「いや、ボリューム上げっぱなしでギターからシールド抜いたらダメだろ」って思った人、あなたはOK、まじめな中級者です。偉そうでごめんなさい。たぶん若い時に先輩から怒られた経験をずっと引きずっておられるのかと思いますが、正直言ってあの程度の「ブッ」ではギターアンプなんて壊れません。むしろダメージもありません。ダメージがありそうな音がするから怖いけどね、ギターアンプがどうやって壊れるか、どうやったらダメージを受けるか、ここで「仕組みを理解しているか」の違いがあります。雑な物言いに聞こえるかもしれませんが、あんな「ブッ」でギーアンが壊れるなら毎日ギターアンプは壊れます。大丈夫大丈夫。

こんな勘があるかないかだけでも、トラブル解決までの時間がものすごく早くなりますね。あと余談ですが、ジャズコーラスを始めとしたギターアンプのインプットへのシールドの抜き差しは「ブッ」すら鳴りませんから、もう気にせず電源を入れたまま抜いちまいましょう。トラブル解決が早いほうが100倍いいですね!!

でも、DIからおもむろ引っこ抜いたらダメですよ。ブッじゃなくて「ブバァ!!!ボカーン!!!」ってヤバい音が鳴ります。しかもリミッターで止められないくらい音が早いです。コイツは逆に色んな機材にダメージがある。だからPAさんに合図を送って抜きましょう。こういったことも知っていてほしいです。つまり知識が浅い段階で無茶をやると思わぬところで機材を壊してしまうから、十把一からげに「抜き差しの際はボリュームを落としてね、慎重にね、PAさんに抜きますって毎回伝えてね」と指導されるわけです。少し話を戻して、もうちょっと掘りましょう。

ギターアンプが壊れやすいのはむしろ、電源のON・OFF時です。あの時のショックの方がぜんぜんデカいです。パッチンパッチン電源を入れたり切ったりする方がよっぽど故障に近づきますから、これもこの機会に覚えておいてくださいね。スイッチは「パアン」って入れるんじゃなくて「んにゅー」でお願いします。激しくやるとスイッチの中の部品が割れちゃう。火花が散るからまわりの部品にもダメージがある。ここでも仕組みの話が出てきました。つまり世の中の全ての注意事項は「仕組み」を土台としているのです。

ここまで読んでいただいた方。お気づきでしょうか。僕もいま気づきました。トラブルシューティングを語りだすと、たかが「ギターアンプの音が鳴らないときはどうしたらいい?」だけでものすごい長文になるんですね!これはとうてい書ききれたもんじゃない。いま僕、途中でこの話を諦めました。つまり、「トラブルシューティングのやり方」を人に教えるなんて無理なんです。そう思えるレベルで情報量が多くなってしまう。だから諦めよう!ドン!ってやつなのです。

パソコンの電源が入らないときは?とかでも、ものすごい情報量になりそうです。1例だけ、最近あったことを書きましょう。

パソコンの仕組みを知っていれば早い段階で原因にたどり着くことは可能です。大まかで大丈夫です。電源ユニットがあって、そこに繋げたマザーボードの上にCPUとかメモリとかがくっついてる。記憶媒体としてHDDやSSDがあって、電源トラブルにはあんまり関係なさそう、CPUが壊れているだけなら電源は入るんじゃないか、マザーボードが壊れていても電源くらいは入るんじゃないか。おや、電源ユニットについているファンが回ってないぞ?電源ユニットが壊れた?スイッチを入れた瞬間にいっしゅん頑張ろうとしている挙動がある。ファンを見ると埃が詰まっていてファンが回っていない。ファンが回らないから安全装置が効いて(熱くなると火事になるから)電源ユニットが「やべぇ」って一瞬で自ら電源を落としているんじゃないかと想像する。じゃあファンを掃除してちゃんと回るようにしてやろう。ファンが回って電源ユニットが動くようになって、めでたくパソコン復活!とスタッフがたどり着いたのを見て感動したと同時に「やはり仕組みを知っていて、理解していて、想像力がある」がトラブルシューティングの唯一、有効な武器であり方法であると確信したのでした。

そんなめちゃくちゃ深い知識や理解が無くても大丈夫なんです。「仕組み」に対する興味と、腑に落ちたときの「なるほど」「おもしろ」を大事にする習慣さえ持っておけば、あなたも少しずつトラブルシューティングが上手な人になっていきますからね。そんな絶望的な顔をしないでください!

では、また来週!

ライブハウス『Fireloop』店長/足立 浩志

プロフィール

足立 浩志

大阪府大阪市のライブハウス

寺田町Fireloop』店長

Twitter:@adatinc

大阪にある、寺田町Fireloopという面白ライブハウスのオーナーで店長です。大喜利が大得意ですが、気の利いた答えを出すまでに1日かかります。

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