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【連載】ファイアーループ足立のライブハウスなんかやめてやる!!/第9回

<毎週日曜日連載>

PAのお話シリーズ第3回(シールドとブラインドテストの話)

おはようございます。ファイアーループの足立です。

数回にわたって音の話をしてまいりましたが、どうなんでしょうかコレ。

誰に向けて書いてるかもわからない、一方通行のブログ?コラム?でこういう暴挙はどうなんでしょうか。だって別に音のことに興味ある人この世にどれくらいおるねんから始まって、俺のこと知ってる人そのうちどれくらいおるねんに続き、その中でピンポイントで音響の、しかも深いような浅いような話をしている。しかもだいたいのオチが「諦めよう」ですからもう倉田さん(ミュージックラビッツの偉い人)から諦められてるかもしれませんね!では、音の話をしましょう。3回目!

今日はできるだけ「諦めよう」と言わない話をしたいと思います。シールドとブラインドテストの話です。

皆さん、シールドは何を使っていますか?ああまずシールドが分らない人がいるのか。シールドというのは、エレキギターをギターアンプに繋ぐケーブルのことです。外部からノイズを拾いにくい構造になっているので「シールドケーブル」略してシールドって言います。何がシールド(盾)やねん、って思ってた人は覚えておきましょう。はい、シールドが分かったところで皆さん、シールドは何を使っておられるでしょうか。

基本的なカナレでしょうか。ベルデン?カスタムオーディオジャパン?プロビデンスとかモンスターケーブルなんてものもありますね。すんごい細いジョージエルスなんかもいいですね。お気に入りみたいなの、あるでしょうか。僕はもっぱらカナレです。カナレばっかりです。ギター用もマイク用も、スピーカーケーブルもカナレばっかりです。丈夫で安くて在庫切れの心配が無いからカナレです。20年近く壊れていないカナレのマイクケーブルもあったりするのでたいへん信頼しています。もちろんカナレの回し者ではありません。カナレからお金がもらえるならもらいたいところですが、カナレばっかり買ってますからむしろ僕がカナレにお金を渡しまくっている状況ですね!

しかし安くて丈夫で何の問題もないカナレというメーカーのケーブルがあるのに、なぜ世の中にはいっぱいの種類のケーブルがあるんでしょうか?

それは、作りによって音が違ってくるからです。で、やはり定番のカナレとの差別化を図るためにカナレと違うキャラクターの音質のケーブルをカナレより高い値段で売り、ミュージシャンにとってのアナザー選択肢を提示していくという、これまた基本的なビジネスモデルですね。

で、こういった高額なシールドケーブルなんですが、それってやっぱり「カナレより高額だから、カナレより良い音が出る」んでしょうか。答えをはっきり言っておきます。そうじゃないです。「良い音」ではなくて「違う音」が出ます。しかも差は微々たるものです。しかし、ギタリストやベーシストは足元に何個もエフェクターを置いて、その一個一個を繋げるために短い「シールド」を使うわけですから、その本数はかなり多くなってきます。本数が多ければ多いほど、その「一本あたりの微々たる差」が大きくなってくる。こういったわけで、シールド選びは多くのエレキミュージシャンやエンジニアを悩ませ続けているんですね。「カナレでええやん」とカナレばっかり使っている僕は、早々とその悩みを放棄してしまったに過ぎず、よく言えば「シールド選びで悩む時間やお金を他に使っちゃった」という人、ということになりますね。高級腕時計マウント合戦から逃れるためにアップルウォッチにしたみたいなことです。違うか。

さて、ここで言いたいのは「そんなところにお金や時間を使わない方がいいよ」ということではありません。むかし「シールドなんかなんでもいい」ってツイッターで呟いてちょっぴり叩かれたことがあります。そりゃシールドにこだわっていろいろ研究して悩んでる人からしたら気分の良いもんではなかったと反省しているのですが、今でも同じように思っていることがあります。

「ほんとに??」

いや、音が変わるのは事実なんですよ。僕もたいがい色んなシールドを試してますからね。確かに音はちょっと違います。でもどれが良い音なのかどうかなんか僕にはわからない。ていうか、音が変わったことにすら気付いてるかどうか自分でも怪しいです。いや、音響を仕事にしてるんだろ?音が違うことくらい分かれよ。という人に問いたいのです。

「ほんとに~??」

喧嘩を売ってると思われても仕方ないですね!でも、これからお話しすることがクリアできているか、そこをまず確認してからにしてくださいネ!うわぁすっごいけんか腰だあ

音が変わっているかどうかを調べる方法に、「ブラインドテスト」という方法があります。これは「ブラインド(目隠し)」という言葉からもわかるように「目を閉じて音を聴いてみて、違うかどうかを判断する」というテスト方式です。機材が変わったときに、本当に音として違うことに気付けるか、ということです。音に限らず何でもいいんですが、つまりは「銘柄を知らない状態で本当に違いが分かるか」っていうテストですね。言うなれば利きビールみたいなもんです。芸能人格付けチェックはブラインドテストの番組です。

ブラインドテストのやり方には一応「こういう手順でやるべし」みたいなのがあります。まずAを「Aです」というテイで聴いて、そのあとAとBの音をランダムに聴く。10回聴いてB(Aと違うもの)がどれだったかというテストをする。もちろん10発10中で当たれば「(テスト者にとって)大きな違いがある。1、2回間違っていれば大した違いはなく、3,4回も間違っていればほぼ当てずっぽうみたいなもんです。10回間違っていたらさすがにもう一回やりましょう。最初のAがBと入れ違っていた可能性が高いです。

ここで前提条件として、この「ブラインドテスト」に必要なことをひとつ念を押しておこうと思います。それは「完全に同じ条件である」ということです。これがなかなか難しいんです。前回のコラムでお話したように、音は聴く位置によって全く違います。だから、頭の位置を完全に固定しておく必要があります。ヘッドホン推奨ですね!イヤホンはダメですよ。イヤホンはどれくらい耳に密着してるかで音がぜんぜん違いますから。もう一つは、音っていうのは聴いてるうちにだんだん耳が麻痺してしまうので、ダメージ最小限の小さい音量でやらないとテストの効果も少なくなります。できるだけ静かな場所で。

上で「ほんとに??」と若干あおってしまったのは、こういうことを理解した上で、ブラインドテストとまではいかなくても「低音の出るケーブルだよ!」と言われて渡されたケーブルを「ほんとだ、低音出てる!」と言ってしまったり、「ぬけが良くて温かみがあって、なおかつシャープな切れ味があって、立ち上がりが早く、アンサンブルで埋もれない音が出るケーブルです。有名ギタリストの〇〇愛用」と言われて「ほんとだスゲエ」ってなってないかということです。こういう謳い文句は21世紀になって少しずつ飽きられてきているような気もしますが、まずは外部からの話を断ち切って、できるだけまっさらな心持ちで音を聴き、その上で自分の心が盛り上がる機材を選ぶべきだと考えています。信頼できる人のオススメ、っていうことでまず試すのは良いことですが、「お金を出して買った」ことでもう既に先入観バリバリですから、できれば借りることをお勧めします。

めっぽうロマンに疎い、もぐりエンジニアが言ってることなので「まーたつまんねえこと言い出したなこの頭でっかち!」って思われるかもしれませんが、僕に言わせるならミュージシャンやエンジニア、音楽に携わる全ての人が持つべきは豊富な知識より「審美眼」だと思います。それも、人から評価されるための審美眼ではなく、迷いを断ち切るための「わがまま審美眼」です。幸い僕はその審美眼を持ち合わせているので「シールドはカナレでいい」って言いきれるのです。自画自賛も甚だしいですね!自分が単なる思考停止でないことを祈るばかりです。

最近、コラムでどんどんマニアックかつ笑顔の足りないコラムをつづってしまっていますね。最初に言ったようにどれだけの人がこんな話を面白がってくれるのか心配になってきてるので、音の話はちょっとお休みにしようかな!

では、また来週!

ライブハウス『Fireloop』店長/足立 浩志

プロフィール

足立 浩志

大阪府大阪市のライブハウス

寺田町Fireloop』店長

Twitter:@adatinc

大阪にある、寺田町Fireloopという面白ライブハウスのオーナーで店長です。大喜利が大得意ですが、気の利いた答えを出すまでに1日かかります。

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