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【連載】ファイアーループ足立のライブハウスなんかやめてやる!!/第8回

<毎週日曜日連載>

PAのお話シリーズ第2回(位相と定在波の話)

おはようございます。ファイアーループの足立です。

タイトルに「PAのお話シリーズ第2回」って書こうかと思ったけど、それもまた何の話か読み終わるまでのお楽しみ!みたいになって無責任なので、とりあえず「よし今回はこういう話を書こう」という意気込みをタイトルに含んでみました。今回は位相と定在波のお話です。ハァーですか?おけ、ハァーな人は今回は読まないでください。読まなくてもいい話をします。おっ?ちょっと気が楽になったぞ。じゃあどんどんいってみよう。

音に詳しい人は位相の話が好きなので今回は位相の話をしてみようと思います。よく「位相が合ってる」とか言いますよね。位相が合ってるってどゆこと?って思うことが僕もよくあるんですが、まず位相って何でしょうか。ウィキペディアで調べてみよう。はい。何を言ってるのかまったくわかりませんね。簡単にいきましょう。音のタイミング、みたいなもんです。まだよくわかりませんか?やっぱりわかりませんね。位相って何?って思う層にはチンプンカンプン、位相マニアからは何バカなこと言ってんだコイツ的な、全くターゲット層が見えてこない話をしようとしていますね。でもいいんです。ここは自由なんです。

音の位相の話をするにはまず「音の仕組み」から知ってもらう必要があるのですが、ツッコミシロを恐れるとこういう話はすぐさっきのウィキペディアみたいな感じになるので、そういうのは気にせず酔っ払いみたいな説明でいきましょう。音は空気の「押し」と「引き」の繰り返しです。これを「密」と「疎」と言います。「密」はギュッと空気を押しつぶしている状態。「疎」はグッと引っ張って空気が薄くなってる状態ですね。これがどれくらいの周期で起きているかで音程となり、「密」と「疎」にどれくらいの圧力の差があるかで音量となります。よくある「音波」を表現するナミナミあるじゃないですか。ふにゃふにゃのやつ。あれは密と疎をグラフ化しているだけで、実際に空気がああいう動きをしているわけじゃないです。注意してください。

この図によって音の仕組みを完璧に理解したところで「位相」のお話をしましょう。位相というのは、そのナミナミがどんな感じで始まっているかを指す言葉です。つまり「位相が合っている」というのは、ひとつの音で起きる状態ではありません。2つ以上の音を見比べて「同じタイミングで発生している」という状態を「位相が合っている」と表現されます。わかりやすく「同じ音を2つ」にしときましょう。その2つの音のタイミングがずれて例えば1つ目が「密」の時にもう1つの音が「疎」の場合これを「逆相」と呼び、プラスマイナスゼロ。合わせた音は消えます。タイミングが完全に同じことを「正相」と呼び、足し算になって音が大きくなる、という具合ですね。つまりこれら2つの音の位相は「あっている」「逆である」の2種類ではなく、「あっている」「ずれている」「逆である」の3種類。で、殆どの場合が「ずれていて」実際のところ良くて「ほとんどあっている」という状態です。

なので、ミュージシャンから「位相あってますか」と聞かれたときに「あってる」ではなく僕は「イケてる」とか言います。何と何の位相が合ってるか合ってないかは考えれば考えるほど分からなくなっていくので、ほんとなら胸を張って「あってないよ!」と言うべきなのかもしれませんが、それでは始まらないので「イケてる」みたいな表現になるのはご容赦願いたい。

位相の話はだいたいベーシストから言われるのですが、マイクと持ち込みDIがあるときは調べる方法はあるとは言え、あっごめん今日はベースアンプにマイク立ててないんだ。DIだけなんだ。DIの音とPAスピーカーから出てる音は聴く位置によって位相が合ってたり合ってないときがあるからわかんないけど、位相スイッチ押したときに(PAブースから聴いたら)音量が下がってるように聞こえる方が逆相?でも客席で聴くと違ったりするからPAスピーカーとベースアンプの位相をどこで聴いても合っているように届けるのは物理的に無理だし、えーと、ウン、わかんねえ!!カッコイイ!よっしゃイケてる!みたいな話になってしまうのです。ヒドイ話ですね!位相は「あっている」「あってない」とか「正相」「逆相」じゃなくて「イケてる」か「イケテナイ」だと本気で思ってるおじさんです!すみません!

つまり、ミュージシャンの皆さんはもう、位相のことを考えすぎるのはやめときましょう。

ライブでは位相を合わせるのは無理です。ドォン!(2週目)

先週お話できなかった「PAの仕事は主にバンドの音を遠くに届けることです」みたいな所に少しずつ近づいてまいりました。PAっていうのは、音のこういう仕組みとか性質とかを知ったうえで「できること」「できないこと」をぱっと判断して、できるだけ「アーティストの出す音楽に近い音楽」を会場中のみんなに届けるのが大事な仕事で、それだけでめちゃめちゃ難しいという話。ライブハウスの音響に物理的な完璧なんか無くて、言わば「最高の妥協点を探す」仕事だなんて話、なんとなく伝わりますでしょうか。あやしいウンチクをどんどん語っていって「ホレホレこんな難しいことしてるんだぞホレ」「だから尊敬しろホラ」みたいなのが趣旨ではないです。みんな「いい音が出ない」の理由を理論で解明しようとしすぎてるんだよね。その結果、不可能の領域にまで思い・悩みが及んでいるように思えます。考えすぎて頭使いまくってお金も使いまくって、なのに良い音からどんどん遠ざかっているなんて例をよく見るからミュージシャンにはすぐこんな話をしてしまう。

最高の妥協点。いかがでしょうか。次に回してもよかったんですが「定在波」の話をまたグダグダ言っても仕方ないことに気付いたので、ここで短くまとめて言っときます。

・音は壁とか天井とか床とかの反射で位相なんか変わりまくってる

・低音は波がデカいので疎・密がズレたり逆になったりピッタリになったりしやすい

・そのせいで、聴く位置によって低音の音圧が違うのが普通

・だから諦めよう!(4回目)

ウワァもう僕のPAって諦めてばっかりですね!いや、諦める部分と諦めない部分が明確であると好意的に受け取っていただければ幸いです。「最高の妥協点」を底上げするためには、知識と経験のエビデンス(笑)を以て部屋の響きから改善していくしかありません。とはいえ、若い皆さんはまずは何でも諦めずに頑張ってください。経験を積んで、物知りっぽいおじさんの話を鵜呑みにせず勉強してください。それによって「諦めるべきライン」も見えてくるはずです。「諦める」じゃ後ろ向きなら「受け入れる」に読み替えてください。受け入れよう!オチなんだこりゃ。PA遺書かコレ。今日もまた集中力に欠けた散文でしたね。重ね重ねすいません!!

ではまた来週!

ライブハウス『Fireloop』店長/足立 浩志

プロフィール

足立 浩志

大阪府大阪市のライブハウス

寺田町Fireloop』店長

Twitter:@adatinc

大阪にある、寺田町Fireloopという面白ライブハウスのオーナーで店長です。大喜利が大得意ですが、気の利いた答えを出すまでに1日かかります。

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