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【連載】ファイアーループ足立のライブハウスなんかやめてやる!!/第7回

<毎週日曜日連載>

PAのお話シリーズ第1回目

おはようございます。ファイアーループの足立です。

2度にわたって音の話をしてきましたが、えらいもんで音のことならどんどん行ってしまいますね!とっても書きやすいのでしばらくはこんな感じで続けましょう。

というわけで、今回は「PA講座」です。

えー!ついにPAの技術までペラペラ話しちゃうの!?そこ商売道具だからペラペラしない方がいいんじゃない?大丈夫!?

心配してくれてありがとう!大丈夫です。なんなら僕の「PA技術」なんて無料でいいです。技術っていうか、知識とかは誰に聞いても同じようなもんですからね!ただし約束してください。ここで読んだことを偉い人に言うと叱られるので言わないようにしましょう。あくまで参考程度に、師匠の教えをまずは守って勉強して、現場に出たときに全部ひっくるめて応用していきましょうという感じ!

ではいってみよう

まず、PAのコツを喋ってしまいましょう。

何もいらんことしない状態で音を出してみてください。

例えば、バスドラムの低音をEQで上げるとか、ボーカルのローはポップノイズを取るために〇〇ヘルツ以降は切るとか、そういったことを全くしないで音を出してみましょう。「この楽器はこういうイコライジングで」なんてものはまず捨てちまいましょう。そんなの時短用の考え方でしかないです。

で、モニターからは何も返さない。声をちょっとかな。んー無くてもいいです。客席用のスピーカーからもボーカリストにはけっこう声が届いていますああもう突っ走ってるのでどんな人を対象に話しているのかわからなくなってきました。んーと、「PAやったことはあるけど、自分で自分のことを初心者だと思う人」にしておきましょう。謙虚で勉強熱心で実は経験者豊富な人を含む。

いきなりノープランで話し始めたのでヘンなところから話してしまいましたが、たぶん僕はプランを立てて喋ってもだいたい途中からダメになってノープラン状態になって、ノープラン状態からの方がだんぜん評判がいいので安心してください。結婚式の祝辞の時に、頑張って書いて徹夜で覚えていったお話を途中であきらめて適当にしゃべったらそこからがとても良かったです。ブーケ取ったし。いやその話はいいや。

ではPAの話に戻りましょう。

PAの精神論はともかくとして、PAというのはアーティストの出している音楽の音量を大きくして、会場内の遠いところにいるお客さんにも良い音楽として伝わる、ということを目的の第1におきます。

その過程で色々とイタズラができてしまうので、その「イタズラ」に夢中になってしまうのですが、ちょちょい待ち。それは第1の目的が十分果たせてからにしようぜ!で、その第1の目的を果たすのがいかに難しいかということ。そのお話をもちまして、PAのお話シリーズ第1回目としましょうか。本ブログの小見出しが決まった瞬間です。

まず、マイクやスピーカーというやつは実は耳が求めているものなんかよりだんぜん性能が悪いということを覚えておきましょう。もちろん技術の進歩とともに音質はどんどん上がっています。でも、スピーカーから生音を再現するなんて言うのはとうてい不可能だということも念頭に置いてみましょう。

いやいやそんなことはないよ、馬鹿じゃないの、と思われる方も多いでしょうが、ひとつ例に出しますと、超高性能なスピーカーがあったとしてください。めちゃめちゃ高いやつです。1発でランボルギーニが買えるくらいのやつを思い浮かべましょう。そこから声が出ている。目をつぶったとき本当に、目の前に、その人がいるのかどうかわからないでしょうか?いや、スピーカーから出る音は「スピーカーから出る音」だから一瞬で区別がつきます。生音にはほど遠い、というか、生の声や楽器と同じ音が「出るはずない」のは想像に難くないのではないでしょうか。

つまり、そこはあきらめよう!!ドン!!

次に、リアルな音を追い求めてイコライザーやコンプその他もろもろでいろいろいじくったとしましょう。めっちゃ高いコンプで、設定を詰めて詰めて詰めまくる。で、イコライザーも何バンドやねんそれすげえなパラメトリックイコライザーで詰めて詰めて、詰めまくりましょう。果たして、生の音が本当にスピーカーから出ているように聴こえるでしょうか?

無理です!!ドォン!!

だからなんなんだって話ですか?いやいや、違うんです。スピーカーとかPA機器っていうのは、単に「そういう音の出る機械」なんです。だから、そういう音を尊重することが大切です。

ラッパからバイオリンの音は出ないですし、どんなに頑張ってデジタル機器を駆使しても、今の技術ではエレキギターからエレキベースの音さえ出せない。そういう物、なのです。また仙人じみたことを言っていますね。でも僕はずいぶん前からこの考え方ですし、評判は良いので大丈夫です。けっきょく人の評判かよ。いやいや、確信もってやってますんでもうちょっと聞いてやってください。

つまり、エレクトロボイスからターボサウンドの音は出ないし、ミスチルからスピッツの音が出ないし、渡辺満里奈はどんなにメイクしたって工藤静香にならない。だから、「アレに似せようとして」もがいてもがいて、お化粧まみれの音にしても音楽の素晴らしさからは離れていくばっかりなのです。たぶん何もせずにPAブースで踊っているほうが良い音が出ると思います。

だから、まずはマイクでもスピーカーでも、無調整で音を出してみてください。で、とんでもなくヒドイ音が出るなら可能性の高い原因の第1位として「メーカー想定外の使い方をしている(≒間違った使い方をしている)」、第2位として「機材の性能以上にデカい音を出そうとしている」、第3位として「部屋の響きとの相性が悪い」です。1位2位は残念ながら論外として、「部屋の響きと相性が悪い」これもけっこうどうしようもないです。どうしようもないなら、その部屋の響きを愛した方が前向きではありませんか?体育館でライブやってるのに「もっと響かないようにしたい!」って機械をいじってるのとあまりかわらない。音は自然現象ですから、なかなか神の領域です。僕たちPAはそれを捻じ曲げることはできない。やれたとして「ほんのちょっとの抵抗」くらいなんです。

作り変えようと思うな!受け入れろ!

これが極意です。受け入れるためには勉強も経験も必要ですから、手軽にできる技ではありません。やっきになって今出ている音を良くしようと考えるよりも先に、今出ている音と対面し、まずはそれを面白がる、そんなスタンスが必要だというお話です。

あれっ、第1の目的(客席の遠くにいる人に音を届けること)に全く触れないまま、いつの間にか2000字超えていました。だめだこりゃ。今回は特にひどかったですね!でも続きはまた今度!

ではでは!

ライブハウス『Fireloop』店長/足立 浩志

プロフィール

足立 浩志

大阪府大阪市のライブハウス

寺田町Fireloop』店長

Twitter:@adatinc

大阪にある、寺田町Fireloopという面白ライブハウスのオーナーで店長です。大喜利が大得意ですが、気の利いた答えを出すまでに1日かかります。

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