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【連載】ファイアーループ足立のライブハウスなんかやめてやる!!/第4回

<毎週日曜日連載>

違和感とクオリティのお話

おはようございます。ファイアーループの足立です。

日夜、ライブハウスの色んな部分のクオリティをあげるべく努力しております。そのことことしか考えてないんじゃないかってくらい考えています。ビバ、クオリティ至上主義。いや、そうでもないな。クオリティはそこそこでいいじゃん次行こうぜ!ってことも多いですから、良く言えばバランス型。悪く言えば中途半端で浅くて器用貧乏で便利なDIYおじさんです。ちょっと悪く言いすぎましたね、泣きそうになるので自分のことを悪く言うのはこれくらいにしておきましょう。みなさん、ハイクオリティ目指してますか?

僕は何をやるにも「そこそこ」以上であるべきだと考えています。全部です。その「そこそこ」ってみなさんどれくらいだと思いますか?例えば楽器、例えば歌、例えば僕の本業であるライブハウスの音響、照明、録音物(CD)、映像、ジャンル違えば音楽や工作、料理、その他制作物、これらが「そこそこの出来映え」って聞いてどれくらいの物を思い浮かべるでしょうか。素人に毛が生えたレベルでしょうか。クラスで真ん中より上くらいのレベルでしょうか。

まず僕が言いたいのは、現在この世の中は凄まじいレベルの作品にあふれていて、しかも僕らが日常的に、当たり前にそういったモノに触れているということです。まじで、まじでヤバいレベルです。神レベルです。それらのことを「そこそこクオリティ」だと思ってのんびり生きてはいませんか?

テレビで見る映像ひとつとっても、どれもこれも非常にクオリティが高い。カメラをはじめとする機材、ライティング、スタッフの技術力、構成、打ち合わせ、どれをとっても超ハイレベル神レベル、それを子供のころから僕たちはほぼ無料で見続けているんです。つまり非常に目が肥えている。そんな目の肥えた人たちが見て「そこそこだな」と感じるレベルって。考えただけでいやになりますね!今書いてて既にちょっといやになってきました。音楽もそうですし、コーナンで売ってるモノひとつひとつが「自分で作れるもの」を超越してるよね!でも「そこそこ」とか言ってしまう。

僕たちはいちいち「これスゴイ!」「これもスゴイ!」と言って生きてるわけじゃない。色んなものに対して「そこそこ」だと言ってしまう。なんででしょうか。

「技術は透明じゃないといけない」と誰かが言ってるのを見ました。まったくその通りだと思います。どういうことかというと、技術力に感心されているようではまだまだ。本当に素晴らしい技術は、受け手にそれを意識すらさせないということですね。何も違和感を感じさせない。コンテンツがそこに「ある」ということを受け手に何の違和感を感じさせることもなく届ける、そのための技術というわけです。

僕は長年ライブハウスのPA(音響)を仕事にしていますが、「いい音のPAってなんだろう?」ということをよく考えます。かっこいい音を出すことに躍起になっていた時代もあったし、上手くても下手でも安定したバスドラムの音を出したくてバスドラムにトリガーを仕込んでエレドラの音を混ぜたりして怒られたこともありました。若気の至りだったと思います。自分の考える「かっこいい音」には(少なくとも僕にとっては)まったく意味のない物でしたね!

あれから10年以上たって、僕も大人になりました。今の僕のPAは、「できるかぎり違和感のないものにしよう」というのがテーマです。なんともパンチないですね!もっと派手なのがいい!って思います?いや、派手なバンドはそれでじゅうぶん派手になるんだよ!派手じゃないバンドを僕の感性で派手にしても、僕以外の人にとっては違和感のある音楽にしかならない、そう考えています。そのためにハウリングしないように頑張って、いかに生音に近づけるか、いかにスピーカーから違和感のない音が出るように調整するか、ということにこだわってこだわって、こだわり続けた先、最終的に「物のことを信用しよう」という域に達してしまいました。どういうことかというと、何もしないPAです。え!何もしないの!?

はい、まじで「今日いいPAできたな!」って大満足な日はぼく何もしてません。本当に何もしてない。息はしてますよ、生きてるからね、そんな小学生みたいなこと言わないでください。息はしてます。あとタバコ吸ってるかな。で、なんかおかしなことになってないか聴いてるだけ。

今日は本当いい音出たな!いい音楽が聴けたな!ってとき、スピーカーの調整を全くしていなかったりします。全く、というと「以前調整したまま、ほったらかし」のように聞こえるかもしれませんが、その調整さえもいったん白紙にして、何も処理せずに、「あれ、いける?もしかしてこれいけるんじゃない!?お、お、いけたーーーー!!」って日があるんですよ。スピーカーとかパワーアンプとか、会場の反響とか、その他もろもろの存在を電気的に補正せず、「あるがままに鳴っている音」これが本当に素晴らしい。

そんな時、音楽は本当に生き生きして聞こえるし、お客さんからの評判もいいし、バンドだって「めっちゃやりやすかった」って言われるんです。それはつまり、みんなにとって「違和感がない」音楽が流れていたということです。

このお話を鵜呑みにして「なるほどシンプルイズベストってことか、じゃあ何もかも外そう」なんて思ってはいけません。さすがに僕も、ハウったり意図しないノイズが出たりというった不具合があったら一瞬で解決しますからね!伊達に20年近くPAやってないです。いろいろ研究して、いろいろ試して、回り道してやっとたどり着いた状態がなんていうか、仙人みたいな状態ということなんです。トラブルシューティングのうまい監視おじさん、それが僕というPAです。

良くない面で言うと、バンドから「今日どうでしたか」と言われた時にも「え、めっちゃよかったで」というだけ、という形で出てしまってるので、そこは改善しようと思います。「おれは問題なかったけど、あなたたちはどうだったの?」と質問を質問で返す始末。いや、すごくよかったんやもん、俺の趣味嗜好とか聞いても仕方なくない?俺、あんま音楽に詳しくないし、売れないバンドを売ったこともなければ自分が売れたこともないし、いや、これは言えば言うほど不毛ですね。僕も相手の目を見て何が欲しいのか言い当てられるくらいにならないとダメですね。

何日かにわけてひとつのブログを書くと自分でもいったい何が言いたかったのか分からなくなってしまいました。途中から自分の話をし始めたからだね。話を戻そうと思っても思いっきり逸れたので戻らない。とりあえず回収しておくと、何に関しても「これスゴイ!」「これもスゴイ!」と言ってみると、世の中がクッキリ見えてくるのでお勧めです。自分の座標と指針が見えてくるはずです。

この件に関しては以上です。まー僕は喋っててもこんな感じですから諦めてお付き合いくださいませ。

ではまた来週!

ライブハウス『Fireloop』店長/足立 浩志

プロフィール

足立 浩志

大阪府大阪市のライブハウス

寺田町Fireloop』店長

Twitter:@adatinc

大阪にある、寺田町Fireloopという面白ライブハウスのオーナーで店長です。大喜利が大得意ですが、気の利いた答えを出すまでに1日かかります。

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