【インタビュー・後編】街鳴り/いつか、素敵な島に辿り着けるように

大阪を拠点に活動する女性ボーカルスリーピースバンド街鳴り。結成間も無く多方面からのオファーを受けるなど、注目度の高さからもその実力が伺える。力強いボーカルとバンドサウンドは要チェックだ。
今回、そんな街鳴りの結成の経緯やレコーディング・MV制作秘話などをインタビューした。
ロングインタビューのため前後編に分けてお届けする、今回はその後編。
みんなに助けられて曲作りができている。本当にありがとう。

ーーちょっと曲の話に戻って……楽曲のクレジットでは「街鳴り」と書いてありましたが、曲作りは全員でされているのでしょうか?
Sorako(Vo./Gt.):そうですね、3人で作ってます。土台のメロディーは私が簡単に弾き語りだけ録って、あとはもう2人にドンって渡すだけ。ベースとドラムのアレンジは、完全にごーちゃんとぞのさんにお任せしてますね。そこからあとで2人にいろいろ「ここ、こうの方がいい」とかって意見もらってどんどん作り込んでいく感じ。
そもそも私、曲作りは街鳴りで初めてやったんですけど、2019年の8月に結成した時点では1曲もなくて。12月にライブ決まったときに「3曲か4曲作らなあかん!」みたいになって。ガーッて、自分で作り始めたんです。それまで自分で作ったことないんで、いろんな人に聞いたりしたんですけど、全然できないから、最初はがんばってGarageBand(音楽ソフト)でギター入れてドラム入れてとかやってたんですよ。
でもやっぱり2人はすごくて、私より知識も腕もあるんで、アドバイスすごいくれるんですよ。そうこうしてるうちに、今のやり方に落ち着きました。結局GarageBandがうまく使いこなせなくて、2人にうまく伝えられなかったんで。
弾き語りを私が録って、2人に「こんなんやりたい」って投げたら、2人がそれに合わせて「じゃあこんなんする?」とかって言うてくれる、みたいな形になってますね。
でもいずれはちゃんと、そういうソフトとかも使えたりできるようになりたいなーって思うんですけど(笑)。
全員:(笑)
Sorako:ただ、今のやり方でバンドらしさが出てるから、「今のままでいいやん」みたいな声をライブハウスの店長とかからもらったりするんですよ。

ーーごうやさんとぞのさん的にはどうなんでしょう?しっかりと作りこまれたものが来て、ほぼコピーから編曲していくよりは、何にもないところから弾き語りで渡される方が、作り手としてはやっぱり楽しいんですか?
ぞの(Dr.):どう?(笑)。
ごうや(Ba.):(笑)。

ぞの:どっちもどっちですよね(笑)。ある程度、8ビートの方針とかも決まってたり、曲構成もガッツリ決まってるのが来たら、それはそれでこっちも噛み砕きやすいじゃないですか。方針がもう決まってるので。
ただ、今の形の方が僕はいいんじゃないかなって思いますけどね。弾き語りの音源もらって、「こういう曲に近づけたい」っていう方が。Sorakoがよそのバンドのことめちゃめちゃ知ってるんで、「こういう感じ!」っていうイメージの音源を出してくれるんですよね、何個か。で、それを聴いてみて、あとは自分の中で噛み砕いて「こういう方向性もあるよ」って出す方がSorako1人で作ってもらうよりも広がりが出るし、3人で一緒に曲に仕上げてる感じもするし、やっぱ、今の方がいいんかなって思ってますね。
Sorako:でもほら、ぞのさんも苦労してると思うけど、一番苦労してるのごーちゃんやと思う(笑)。
ぞの:せやんな(笑)。
Sorako:そうなんですよ。ごーちゃんがすごい!

ごうや:いや、なんか、このコードがいいとかは私もあんまりわかってないんですけど……たぶんSorako、私よりわかってないから(笑)。
全員:(笑)
ごうや:絶対このキーが合ってるとかは言い切れなくて、レコーディングのときにエンジニアの方に言われたキーとこっちが思ってるキーとが違うくて「えっ!?」ってなったりした(笑)。「あーそれが正解なんや」みたいな(笑)。だから、日頃よくこれであのベースライン作ってるな~って思う(笑)。
ぞの:(爆笑)
Sorako:もうね、周りのみんなにも言われますもん。「普通はお前の出したコードじゃできひんから、2人に感謝しなさい」って(笑)。たぶん2人とも「イーッ!」ってなってると思います(笑)。
全員:(爆笑)
Sorako:だから、ちょっとでも早く「成長したね」って言われるようにがんばるのも私の課題かな。2人に感謝。ありがとう。非常に感謝してます!
全員:(微笑み)
いつか、素敵な島に辿り着けるように

ーーこの辺りで原点に返って……そもそもどういう経緯で結成したんですか?
Sorako:誰が話す? 私ばっかりしゃべってる気がする(笑)。
ぞの:別にしゃべったらええやん、みんな知ってることやし(笑)。
Sorako:じゃあ私から(笑)。街鳴りを結成したのは、2019年6月で。私がもともと22歳くらいから、ちょいちょいバンドかじりつつやってて。で、3年前に、ベースのごーちゃんと1回組んだことがあるんです。別のバンドでグッデイルーザーっていうんですけど、ちょっと私の家庭の事情でそのバンドがなくなってしまって。
で、去年の6月に「やっぱり私またバンドしたいな」ってなってバンド募集の掲示板に書き込んだら、ごーちゃんの方から「あれ、もしかしてかなえちゃん?」って来て。「おおー!」ってなって。偶然再開したんですよ。そしたら、ごーちゃんも、バンド……え、なんやったっけ。バンド名。カナタノヒボシ?なんやったっけ?
ぞの:(爆笑)。「彼方の岸に渡る船」!(笑)
Sorako:そう、彼方の岸に渡る船っていう、ごーちゃんがやってたバンドが解散したときで、またバンド探してたらしくて。そんなタイミングで再開したから、「またやろうや」ってなったんです。で、ドラムを探さないとってなったときに、ごーちゃんが「彼方の岸に渡る船でドラムやってた子がいてるから、ちょっと声かけてみるわ」って言ってくれて。
それから7月か8月くらいに居酒屋で3人で会って、「バンドやりましょ」っていうことになって街鳴りが結成されました。で、「よし!今から本格始動するぞ!」ってなったらライブオファー来て、っていう感じの流れですね。

ーーそのライブ、向こうからオファーが来たんですか?
Sorako:そうですね、Twitterのフォロワーさんでバンドやってる人から「初めての主催ライブを12月にやるんで、よかったら出てくれない?」って言われて。ただ、ライブまで時間がないから曲作れるか不安やったんですよ。けど、そうやって声掛けてくれたことと、京都GROWLY(※)っていう自分的に好きなライブハウスだったんで、「やろう!」ってなりました!
※京都GROWLY
京都二条にあるライブハウス
Site:https://growly.net
まぁ、声掛けてくれた主催者のバンドが解散してライブに出ないっていう非常事態もありましたけど(笑)
全員:(爆笑)
Sorako:でも、そこで知り合えた人たちが今つながってるから、大事なライブやったなって思ってます。街鳴りメンバーとの出会いはそんな感じです。
ーー運命的なつながりを感じますね! 1回離れてるのに、また出会って改めてバンド組むっていうのもなかなかないような気がしますし。
Sorako:そうですね、1年後にもう1回、しかも同じ場所で会うっていう……ホント、世間は狭いですよね(笑)。
ーーそういうタイミングとかを引き寄せるチカラを持ってるバンドなんですね。やりたいときにメンバーがポンポンって見つかったり、結成したらすぐライブオファーされたり、初めてライブしたらレコーディングとMVのオファーが来たりとか。
ぞの:たしかに。
Sorako:そうですね!この波からおりないように、ちゃんとしがみついていきたい(笑)。荒波にもまれたり海に流されたりしてでも、素敵な島に辿り着けるように!

インタビュー前編はこちら
アーティスト情報
街鳴りの概要やオフィシャルサイト、ディスコグラフィーなどの情報は、以下の記事で解説している。