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【ライブレポ】“DISCO INFERNO 2020” -SALONKITTY 26th Anniversary-コロナ禍での開催への工夫と希望

まだまだ衰えを見せることのない、新型コロナウイルスの猛威。

けれど今世界は少しずつ、ウイルスと共存するためのフェーズへと転換を始めている。

これまでと同じように、場合によってはこれまで以上にウイルス対策を取りながら。

仕事や生活、日々の営みを続けていく方向に、大勢が舵を切り始めた。

これは音楽業界に関しても、もちろん同じことが言える。

流行病によって世界中で様々なイベントが相次いで中止・延期となり、かつてない窮地に立たされた音楽業界。

けれどこのまま音楽が終わっていく様を、指を咥えて見ているわけにはいかない

配信ライブや人数限定ライブ、オンラインフェス、リモート作業でのレコーディングなど。

以前とは形を変えながら音楽業界も少しずつ、新型コロナウイルスの中で再び歩みを進め始めている。

そんな中で、愛媛県松山市にあるライブハウス・松山サロンキティが8月1日に開業26周年を迎えた。

本来であれば、これまで25年間松山の地でライブを愛し続けてきた多くのバンドや音楽ファンと、ライブハウスという空間でこの日を迎えるはずだった。

けれどそれが叶わない今、それでもここ松山の地で音楽を止めない為に。

サロンキティはこの日「屋根のないライブハウス」と銘打った屋外イベント「DISCO INFERNO 2020」で、26周年の歴史を祝うこととなった。

今回、一地方のライブハウスがまだまだ新型コロナウイルスの終息が見えない中どのような形で周年イベントを開催したのか。

ライブレポートという形を持って、多くの地方の音楽シーンを担う人々の後学ともなるよう発信したいと思う。

三密を避けるため……選んだのは野外ロケーションでのイベント開催

まず今回このイベントが開催されたのは、愛媛県伊予市にある栗の里公園多目的広場野外音楽堂。

本来松山サロンキティがある松山市の中心地街からは、車で約1時間半ほどの場所となっている。

大きな自然公園の中に野外ステージが設置されている緑豊かなロケーションでの開催で、ライブハウス特有の密室空間を回避する形となった。

また以前からこの周年イベントに出演するアーティストは、ライブハウスに縁の深い地元のバンドのみとなっている。

例年とは違う野外開催となった今年も、そのスタンスは継続のまま。

むしろ県境を越える移動が推奨されない現在の社会情勢とも、図らずしも非常にマッチしたスタイルとなったのではないだろうか。

出演アーティストはここ松山の地で20年近く活動を続けるバンドから、松山の街を活性化させようと活動するアイドル。

そしてまだまだ日が浅いながらもエネルギッシュさを放つ大学生バンドや、全国シーンで活躍する日もそう遠くないと言われる期待の注目バンドまで。

計15組のアーティストが、松山サロンキティの26周年を祝うために駆けつけていた。

会場の随所にガイドラインを遵守した対策ポイントが満載!

会場はライブパフォーマンスを見られる着席エリアと、ウェルカムスペースの2つのエリアに分けられている。

ウェルカムスペースでは、地元で活躍するオールジャンルのDJ陣がパフォーマンスで観客をお出迎え。

また屋外イベントの楽しみともいえる飲食店のキッチンカーや、各アーティストの物販スペースがずらりと並んでいた。

もちろん購入のやり取りの際も密を避けるため、物販コーナーにはコンビニのレジよろしくビニールシートがしっかり貼られた状態だ。

着席エリアに入るための入場ゲートには除菌グッズも完備され、ここでチケットが確認される。

その際に今や多くのエンターテインメント施設では見慣れた光景となった、体温チェックももちろん欠かさない。

万が一、クラスターが発生した際に全員の足取りを追えるよう個人情報の提示もここで実施していた。

非常に印象的だったのは、このような取り組みを演者・観客含め全員が笑顔で気軽に応じていたこと。

それはひとえに、皆音楽が大好きだからこそ、この会場でコロナを出したくない、という共通の強い思いからくる行動だったようにも思う。

それでも音楽は楽しめる!観客も演者も一体となった野外イベント

また、バンドのライブを楽しめる着席エリアには、ソーシャルディスタンスを保つための目印が。

久しぶりの生音となる地元バンドの音楽を楽しむため、あるいは今年は軒並み中止となってしまった夏フェスの雰囲気を少しでも楽しむため。

観客席のオーディエンスの多くが、この目印に沿っての着席を忠実に守っていた。

さらにパフォーマンスを行うアーティスト側からも、適宜MCで「大声で歓声を出さないこと」という注意事項の呼びかけが。

その代わり、「普通の声量ならOKだからね!」「声がダメな分、拳を上げろー!」というような、ガイドラインに沿った楽しみ方を呼びかけるMCで心が温まるようなワンシーンも散見された。

もちろん盛り上がれば、その場でのスタンディングや手拍子はOK。

ライブが最高潮の盛り上がりを見せたトリのバンドのステージでは、演奏が始まった瞬間多くの観客が立ち上がり、拳を掲げていたのも非常に印象深いシーンだった。

正解が分からないからこそ、自分で自分の行動を正解にしていこう

この日松山サロンキティの周年を祝い、数ヶ月ぶりの生音でのライブを楽しむために、多くの人がここ栗の里公園多目的広場野外音楽堂に足を運んでいた。

そして観客だけでなく、イベントに出演したアーティスト勢。

彼らもまた皆一様に、多くのオーディエンスの前でパフォーマンスができる喜びを噛み締めていたようにも思う。

皆もれなく実際に音楽を肌身で感じながら楽しめる空間や、久しぶりの屋外で夏を感じながら過ごす野外イベントの雰囲気を、全身で楽しんでいたようだった。

とあるバンドのMCで、ステージに立つボーカリストがこう言葉を紡いだ。

先が見えない未来が真っ暗な今の状況で、何が正しくて何が正しくないのか、誰もわからないし絶対の正解なんてない。

だからこそ、自分で自分の選択を正しいものにしていこう

あのときの自分の選択は間違っていなかったと、数年後に笑えるように。

その言葉に、思わず胸の奥が熱くなる。

現状、世界情勢を鑑みてもまだまだ新型コロナウイルスは終息の気配を見せない。

その中でもひとつずつ確かな意思を持って自分の選択を選び取りながら、これからの毎日を過ごしていきたい。

そんな事を思わせてくれるような、素晴らしい音楽イベントとなったのではないかと思う。

最後に、このイベントを主催した松山サロンキティの武花正太店長から、このイベントを終えてみての率直な感想を貰うことができた。

(この日自身のバンドMILDSとして、裏方としてだけでなく演者としても武花店長はステージに立っていた。)

その言葉を以て、このライブレポートを締め括らせてもらおうと思う。

感染症対策として止むを得ずの屋外開催だったのですが、改めて来場者と対面で音楽表現をする、ということの重要性に気付きました。

あえて他人事のように言えば、当たり前だったことができなくなるというのは原点に帰れて良いのかもしれません。

結果的に黒字ではなかったですが、この時期に出演者もスタッフもお客様も一致団結して感染症対策をしっかりとしながら音楽を楽しめた、という実績の方に価値があったと思います。

音楽を愛する人たちが、音楽の地位を貶めるようなこと無く感染症流行下でできる楽しみ方を自分たちでやって見せた。

自治体の方々にも手厚いご協力をいただき、そして評価いただき感謝しています。

また、地元の音楽シーンそのものをもっと掘り返す必要があるなと思いましたね。

良いものが、あまりにインディペンデントすぎる活動形態のせいで埋もれてしまっている。

今後はライブの空気感だけで満足せず、地元メディアなどへのアピールも視野に入れていこうと思います。

松山サロンキティ店長 武花正太

ライブハウス情報

松山サロンキティ

愛媛県松山市にあるライブハウス。

公式サイトhttp://salonkitty.co.jp
公式Twitter@salonkitty_myc

武花正太店長はミュージックラビッツでも連載をしていただいており、記事は以下から確認できる。

(Text & Photo by 曽我美なつめ

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