【連載】カセットテープに吹き込んで/第12回

<隔週金曜日連載>
PUTAINS/今日の1曲
恐怖のトノサマ / 先住民
PUTAINS(ピュタンズ)、ベースdoy. による更新!
お待たせしました!
恐怖のトノサマ。
tonight/YUKI
今から約17年ほど前のこと、まだ小学生だった頃、当時、虫取りが好きだった僕は友達と学校の裏山やら近所の公園やらでよく虫取りをして遊んでいた。
そんな中1人の友達がある日、巨大トノサマバッタを捕まえた。とにかく大きかった。大きすぎて、純粋に気持ち悪かった。
僕は大きい虫は怖くて、自分では捕まえられなかった。
経緯は全く覚えていないが、なぜかそのトノサマバッタを譲ってもらった。
虫カゴは一つしか持っていなかったため、僕が捕まえたチョウやショウリョウバッタなどと一緒にそいつは入った。
帰り道、そいつがカゴの中で跳ねると、バチンッと力強い音が何度もした。怖かった。
次の日、朝起きて虫カゴを見ると、捕まえたはずのチョウ達がいない。
トノサマバッタだけ悠々と虫カゴライフを送っている。みんな食べられたんだ…。そこで初めて奴が肉食だと気づく。
学校でそのことを話すと、めっちゃ強いねそのバッタ!!と友達は興奮していた。
それから数日の間、虫取りをするたび、翌日にはトノサマだけが虫カゴに残る日々が続いた。恐怖だった。今思えば、逃がせよ!と思うが、逃すのすら恐ろしかった。虫取りではなく、エサ取りだった。
また翌る日の放課後、また虫取りに行く。やつはカゴの中。
そしてまたまた友達が、今度は巨大カマキリを見つけてきた。これも大きかった。
僕はカマキリが好きだった。カマキリは強い。なんにでも勇敢に立ち向かい、獲物にして食べてしまう。
こいつならこのトノサマをやっつけてくれるかもしれない…!!そのカマキリちょうだい!!
翌朝、期待を胸に虫カゴを確認した。いない。足が落ちている。それはカマキリの足。
巨大カマキリの姿はなかった。
勝者はトノサマだった。難攻不落の城はやはり難攻不落だった。
あまりの恐ろしさにすぐ着替えて、近くの公園にそいつを逃した。
その日以来、僕はバッタが大の苦手です。今考えただけでもゾッとします。弱肉強食。
先住民。
Your Song/Elton John
2年前、引っ越しをした。実家を出て、一人暮らしを始めた。
ひとしきり荷解きを終え、好きな物を好きなように配置した。新しい生活にワクワクしながら、次の日仕事に行った。
帰ってきて、部屋の明かりを点けると、茶色いあの子がいた。部屋のど真ん中に。
いや、ここ私の家ですけど、なにか?と言わんばかりに。
いやいやいや、ここは昨日から僕のお家です。退去願い出てましたよね?不法侵入ですよね?
G撃退用のジェットはない。視界から逃さない範囲でかつ、後々ゴミになってもいい、手に取れる武器は…ティッシュ箱しかなかった。
Gの退治ってどうしてこう足がすくむんでしょうね。屁っぴり腰で挑むから、素早い動きについていけないのよね。
それに潰す系の退治ってあとあと片付けが面倒だから嫌なのよね。
一人でなんじゃかんじゃ言いながら、なんとか撃退に成功した。
その日以来ありがたいことにやつは出ていない。正確にはベランダにはたまにいるけど、部屋の侵入は拒否している。
もう来なくていいですよ。G撃退用ジェット持ってないんで。
PUTAINS/doy.(Ba.)
PUTAINS
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