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【連載】ファイアーループ足立のライブハウスなんかやめてやる!!/第67回

<毎週日曜日連載>




オルタナティブな話

おはようございます。寺田町のオルタナおじさんことファイアーループの足立です。今回は「オルタナティブ」な話をしようと思います。そもそもあんまりよくわかんないオルタナ。いちおう僕の解釈としてはその昔、商業主義に走り過ぎ(と揶揄される)なメジャー音楽に対して「売れセンばっかりじゃなくてさ、こんなイイ音楽あるんやで?どやぁ!」ってイギリスの若者たちが盛り上げた音楽文化が「オルタナティブ(代案)ミュージック」。しかしalternativeには「代替」という意味もあるようで、それはなーんかダメな感じです。僕ずっとウワゴトみたいに「何かの代替品はイヤじゃ」といい続けてきたし、オルタナティブを「代替」なんて訳してしまっては完全に支離滅裂なんです。つくづく英語・日本語って難しいですね!

「今どきロックバンドなんかやってる時点でオルタナなんだよ!」とはイヌガヨのじゃっく氏(@inugayojack)が放った大名言です。確かに今となっては「ライブハウス」っていう存在自体がオルタナティブなのかもしれません。You TubeとかNetflixとかじゃなくてさ、Appple Musicじゃなくてソシャゲじゃなくてライブハウスやで、エンターテイメント現場やで、というわけ。なんか時代とともに立場が逆転しちゃったようで非常に口惜しいですが、今現在はこんなとこでしょう。

そんなオルタナティブなおじさん達が集まって2019年に開催し大好評だった「オルタナおじさん」というイベントが、ほぼ同じ形で大復活!まずは手始めに3月20日岡山ペパーランド、3月21日京都木屋町DEWEYに加齢臭一歩手前のおじさん達が大勢乗り込みます。僕の大好きなバンドばっかり出ます。先のイヌガヨ、ドブロク、than、雨市。木屋町DEWEYでは夜ハ短シも参戦!最悪です!僕も両日、全バンドのPAとしてうっかり参戦する予定なので、ぜひ見に来てくださいね!で、ツアーファイナルのFireloopは全く未定。うーん、オルタナティブ!!

さて、今回の「オルタナティブ」は「こういうのもよくない?」「むしろ、こういうのがよくない!?」って、言いまくってる僕の最近の活動についてです。僕のツイッターでしょっちゅうごちゃごちゃ言ってるので察しのいい人は分かるでしょうか。「VRのオルタナ」のお話。代替ではなく、代案という意味の「オルタナティブ」です。

世の中メタバースメタバースって騒いでいますね。いまいち馴染みのない言葉だったので調べたところ、この言葉、どうやらぜんぜん新しいものではないようです。NINTENDO 3DSを久しぶりに起動してみたら、中に「Miiverse(ミーバース)」というのがあってこれは明らかにメタバースを意識したネーミングだし、これ以外にも仮想空間の中でみんなと会ったり話したり遊んだり、はては売ったり買ったりできるよ、というのがだいたいなんでもメタバース。今アツいVRChat とかケータイアプリのZEPETO、Robloxなんかもメタバースの一種ですし、古くは2003年リリースの「セカンド・ライフ」という3Dプラットフォーム、もっと古くはMMOのハシリである「ウルティマ・オンライン」「ラグナロク・オンライン」でさえもメタバースと言われます。Facebookが社名を「Meta」に変えてまで「ワイらはこれからメタバースで天下取るんやあ!!」って言いまくったおかげでまたメタバースという言葉が盛り上がっている、というわけですね。

VR(ヴァーチャル・リアリティ)っていう言葉はもっと古くて、世の中に浸透してからずいぶん長い年月が経ちました。SEGAのバーチャレーシング、バーチャファイターなんて「バーチャル・リアリティ」が取り沙汰される流れで生まれた30年以上も昔の古いゲームです。バーチャレーシングはポリゴンでできたF1のドライバー目線で運転できたからバーチャ(ル)なのは良いとして、ポリゴンでキャラクターを作ったからといって横から眺めて戦うバーチャファイターにヴァーチャルな要素なんて全くありません。そこらへんの逃げ道か、汎用性か、コトをよくわかっているからなのか「ヴァーチャルファイター」じゃなく「バーチャファイター」ってタイトルになったんじゃないかと勘ぐってしまいますが、これは単に語感かな?

また横道にそれましたが、この「VR」というやつ。あの頃からはずいぶん定義・解釈が変わったようで、今ではオキュラスクエスト2とかのHMD(ヘッドマウントディスプレイ)で周りを見回せる立体映像のことを指します。オキュラスクエストには専用のYouTubeアプリがあって、その名も「YouTube VR」。みんなが投稿したVR映像を見まくろうぜ!という気合の入ったタイトルではありますが、ここで「VR」を検索しようもんなら出るわ出るわ「思ってたのと違うやつ」

ううーんこれまた苦言になってしまって申し訳ないんですが、まず立体じゃないやつが大半です。で、180°ないし360°で「平面を」見渡せる動画がほぼ9割。立体映像が見たいのに本当に少ない。前回コラムで挙げたエルトンジョンの「今回のワールドツアーでオシマイにします記念動画・死ぬほど金かけて作ったやつ」かちょいエロコスプレくらいしか見当たりません。CGのVRはまあまああります。一般のクリエイター様が作った初音ミクのVR-MVとか物凄いクオリティで、そういえばエルトンジョンも大半がCGですね!つまり、リアルを収録したVR映像がぜんぜん少ないんです!!ドローンで飛び回る平面360°映像は凄くイイですけどね。だいたい20メートル離れたらもう人間の目には立体か平面かどうでもよくなるらしく、主流なディスプレイの解像度で「景色を見る」分にはバッチリ楽しめます。しかしながらYouTube VRの公式でも「360°動画やヴァーチャル・リアリティコンテンツ」と明記されていますから、立体視でない360°動画は少なくともGoogleの提唱する「VR」と定義が違う。そして、いつまでたっても一般層からVR動画が投稿されない。

なぜこんなに「立体映像の、正当な」VR収録映像が少ないんでしょうか?これにはきっと色んな理由があって、まず作るのがものすごく面倒くさいです。既に高画質で180°や360°の2眼映像が撮影できるVRカメラがいくつも発売されていますが、これ、頑張って買った人全員が思ってるんじゃないかな?えっ撮った後、VRにするのこんなに面倒くさいの!?って。まじで信じられないレベルで面倒くさい。

魚眼レンズで広い範囲を撮影した映像をVRで見るためには、エクイレクタングラー(正距円筒図法)っていう世界地図でよく見るメルカトル図法みたいな形に画像を再配置する必要があります。この処理にわけわらんくらい時間がかかる。高性能なパソコンでやっても30分の動画変換に丸1日かかるらしいです。ぼくも配信用のパソコンでやってみましたが、理想的な画質にしようとすると1分の動画変換に1時間かかりました。変換ソフトによると思いますが、i7-11700KとRTX3060と決して悪くないスペックでコレなので有り得ないキツさ。GPU最適化でたとえ10倍早くなっても30分映像のレンダリング3時間はキツイ。到底やってられません。LIVESTORAGEの自動録画が失敗した際の「予備録画から切り出し>レンダリング(6倍速)」でも結構手間なんだから。

カメラ内でエクイレクタングラーにリアルタイムで再配置しながら撮影できるスゴイやつは100万円とか200万円とかするし巨大。これはこれで撮影したVR映像を編集したりテロップ入れとかするのにCGとか3Dの技術、やっぱりマシンスペックとレンダリング時間を要しますからVRコンテンツの制作ってマジで信じられないくらい敷居が高いんです。(僕含め)素人には全くおすすめできない。

あとVRコンテンツが少ない理由に「撮影しにくい」っていうのがあります。すごく撮影しにくいです。VR撮影っていうのは「そこで見てるような映像」を撮るのが目的・趣旨ですから遠くからズームとかできません。てゆうかそもそも、VRカメラに望遠レンズという概念がありません。一眼みたいにレンズも変えられません。とにかく「そこ」に置きましょう。つまり「まるで憧れのアイドルが目の前で歌ってるみたい!!」っていうVR映像を収録したかったら、その憧れのアイドルの目の前にデカいVRカメラを設置するしかないんです。無観客ならいいんだけど有観客だったらカメラが邪魔で仕方ない、こういうのも世の中にVRコンテンツが少ない理由のうちのひとつなんじゃないでしょうか。

まだまだ困ったことに、VR映像はデータがクソデカいです。想像がつくと思いますが、180°ないし360°分の広ーい絵を用意しなきゃならんのですから普通の映像より断然デカくなります。立体視じゃない360°動画で普通の約16倍のデータ量が必要になると言われておりますし、立体視の360°動画となると2枚分用意しなくちゃなので単純に2倍、つまり普通のフルハイビジョンの32倍のデータ量。ツイキャス画質で1時間2ギガですから、360°の立体映像はその32倍の64ギガ。圧縮率がツイキャス(H.264)の2倍のH.265で16倍、ふつうの端末でまだまだ再生できたもんじゃないH.266でもやっと8倍ですから、1時間で最低でも16ギガって計算になります。ポスプロ前提でキレイに撮りたかったら余裕でその10倍いきます。1時間160ギガ!?こんなもん扱ってられませんよ!あと、こんなデカい容量の映像を沢山の人に同時に見せたら間違いなく動画サーバーに怒られてたくさんお金を請求されます。てか請求する前に動画サーバーが息絶えます。平気な顔をしてられるのはそれこそGoogle / YouTube みたいな超マンモスサーバーくらいでしょう。

もうどこからかシロウトの推測になっちゃてるのでアレなんですが、あながち間違ってないと思う。だって、本当に「ちゃんとしたVR」が無いんだから。こんなに面白くて、魅力的なコンテンツなのに、です。もうコレ、誰がやれるんだってくらい莫大なお金がかかる。今のところは、ですけどね。

というわけで、件の「オルタナティブ」です。まずは「ちゃんとしたHMDで見てほしいな~ちゃんとしたHMDで見てもらったら最高なんだけどなあ~」なんて言って、視聴者が「ええ!?一番安いのでオキュラスクエスト2?37800円もするのかい!うぅーん高いなあ!」とか言われるんじゃなくてさ、ダイソーで500円で売ってたり、ドンキで2000円で売ってたりする「スマホ用のVRゴーグル」で見てください!!って胸張って言うやつ。それに最適化してるから、むしろコレはオキュラスクエストとかハイソなやつで見ないでくださいってやつ。で、ちゃんと立体視でさ、ちょっと見回せて視界が充分でさ、撮るのも編集するのも超簡単でデータ量もツイキャスのせいぜい2倍くらい、ってイケてるワークフローを作ったんだよ1ヶ月以上かかっちゃったけど。

こういうバカみたいなことをことやるのはVRカメラとか光学とかCG、3Dに関わる尊敬すべき技術者たち、VR配信業者、VR制作会社にツバを吐く行為なんじゃないかって悩んでた時期もありましたが、もう吹っ切れました。ウチは彼らに比べて零細で弱小でローテクだけど、面白いコンテンツに満ちあふれている。日々ライブをやっているライブハウスだからね?これをもっと生かさないと勿体ない!で、ここから生まれたオモシロを入り口にして、VR業界を盛り上げたいです。で、盛り上がったらすぐ超技術者たちにバトンタッチします。その頃には俺も仲間に入れてくれたら嬉しい。というスケベゴコロ満載ですけどね!

結局また宣伝してしまいました。ちなみに例のFacebookは社名を「Meta」に変えてメタバース構築に毎年1兆円使うぞ!って言ったら株価がめっちゃ下がったらしい。まだまだVRとかメタバースに世界は期待していないようです。だってこのままじゃどう考えても盛り上がりそうにないもの。いやそろそろいこうぜVR、そろそろいこうぜメタバース。応援してるぜ!大好きだ!少なくとも俺はVRが大好きだ!だって面白いもんな!頑張れ、META!いい感じで毎年1兆円使ってくれ!こっちはDIYで応戦・応援するよ!ほなまた!

【LIVE STORAGE】

https://fireloop.net/livestorage

ライブハウス『Fireloop』店長/足立 浩志




プロフィール

足立 浩志

大阪府大阪市のライブハウス

寺田町Fireloop』店長

Twitter:@adatinc

大阪にある、寺田町Fireloopという面白ライブハウスのオーナーで店長です。大喜利が大得意ですが、気の利いた答えを出すまでに1日かかります。

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