【連載】オ客ハ読ムナ。/第34回

<毎週土曜日連載>
The denkibran/今日の1曲
映画とTVの違いってわかりますか?
こんにちは。倉坂です。
ここ最近はあんまり音楽と関係のないことを書いている気もしますが、
今日もちょっと別の角度から攻めてみます。
突然ですが、「映画」と「TV」の違いってわかりますか?
どちらも「映像」であることには変わりないですが、やっぱりどこか違うもの。
なんとなく違うことは、みんなわかっているとは思うのですが
では、具体的に「映画とTVって何が違うのか?」と言われると、う~ん…となってしまう人が多いかもしれません。
端的に結論から書きますと、このふたつの違いというのは
「写真から進化したものが映画」で
「ラジオから進化したものがTV」
なんです。
なるほど。
僕はこれを知って、めちゃくちゃ納得しました。
そもそも最初期の映画というのは無声映画。
つまり音がありません。
最初は写真なんです。
めちゃくちゃ乱暴にまとめると、映画というのは「動きのついた写真」なんですね。
成り立ちを考えると、絵が先にある。
それが後に、様々なカットをつないで編集されるようになり、音がつくようになり、現在の映画の形になったようです。
では、TVというのものは何か?
映画とは反対に絵が先にあるのではなく、音が先のメディア。
つまり起源はラジオなんです。
これも乱暴にまとめると、ラジオ放送に映像がついたものがTVである。
音が先にあり、それを説明補足する形で映像がついていって、いまのTV番組の形になった。
なるほど。
映像メディアという意味ではすごく似ているようで、この二つは成り立ちがまったく違うわけです。
映像関連にめちゃくちゃ詳しいわけではないのですが、そんな僕でも
「映画的表現」などと比喩された時に、
たしかにアングルや色味にこだわったような映像を連想して、芸術的な印象を持ちますし、
反対に「TV的な表現」と比喩された時は、一般にわかりやすい…というか、嫌な書き方をすれば、大衆的で下世話な印象を持つような気がします。
またこれは別の話ですが、昨今のYoutubeなどのネット映像コンテンツは
スマホサイズで1人で視聴することを前提にして、TVがさらに進化したもの…と考えるのが妥当でしょうか。
さてさて。
ここから映画やTVの歴史をさらに掘り下げて、論じてみるのも面白いのですが、
この連載は基本的に、お客さんにはあまり読んで欲しくないバンドマン向けの活動に役立ちそうなトピックを書く連載です。
あまりに横道にそれてしまっては意味がありません。
この「映画とTVの話」を、バンド活動の話にむりやりこじつけてみましょう。
なんで唐突にこんな話を書いたかというと
この「映画とTVの話」は、なんだかバンドの活動スタンスにも置きかえて考えられるような気がしたんですね。
一般的に「売れ線」や「流行りもの」と言われるようなバンドの活動というのは、
得てして「TV的な印象」がありますし
反対に、流行りものにうまく迎合できない、よく言えばコダワリのつよいバンドの活動というのは「映画的な印象」があります。
「大衆的」と「芸術的」とでも言いますか…。
これ、どっちが正解とか、間違ってるって話ではそももそもないと思うんです。
「そもそも、そのスタンスや成り立ちが違う別モノ」
…というのが、意外に活動している本人もわからないまま、どっちつかずのゴチャゴチャのまま活動しているケースが多いと思うんですよね。
いや、自分のことだからこそ逆に無自覚でわからないのか。
まずは、自分が「映画タイプ」か「TVタイプ」なのか?というのを考えてみても面白いかもしれません。
自分の属性をまずは把握する。
「己を知り敵を知れば百戦危うからず」
って、やつです。
自分の属性を知ることはすごく大事なことで、無自覚なまま活動していると
TV的に活動していて上手くいっているのに、中途半端に映画的な手法を取り入れて意味がわからなくなる…とか。
逆に、映画的なバンドが、流行りものに無理に媚びようとして、すごく中途半端になってしまう…とか。
これ、けっこう「あるある」だったりします。
この二つがゴチャゴチャになると、なんだかあまり幸せな結末をみたことがない。
「餅は餅屋」という諺のとおり、自分の属性を把握して自分の得意なことをやりきるのが実は一番、うまくいく近道なのかもしれません。
それぞれの得意なことをやり切ってがんばりましょう!!
…と、終わってしまうと、あまりにも不親切なので最後に少しだけ補足。
「TV的な表現」が得意なバンドさんは、きっと現時点でお客さんのことを考えて活動/発信ができているはずなので、
その調子で、とにかく自分の考え方をブラッシュアップしてがんばってみてください。
逆に「映画的な表現」を得意としているバンドさん。
まずは自分の信じる表現を追求してみましょう。
それが出来上がってから、売り方や発信の仕方を考えてみるという順序にしましょう。
制作の段階で中途半端にTVに寄せると、良いところがなくなってしまうかもしれません。
もしかしたら、実際の映画のやり方や、宣伝のしかたなんかも活動の参考になるかもしれません。
TVドラマが劇場版で映画になったり
プロモーションでSNSを活用したり…などなど
パクれそうな宣伝や発信のアイデアはそこら中に転がっています。
そんなことを考えながら日常生活を送っていると、意外なところからアイデアが生まれるもんです。
…って、ことで最終的には自分で考えろ!って話なんですが(笑)。
では、また来週。
シーユーネクストウィーク。
The denkibran(Vo./Gt.)&南堀江kanve(ブッカー)/倉坂直樹