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【連載】ファイアーループ足立のライブハウスなんかやめてやる!!/第58回

<毎週日曜日連載>




テレビ(民放)クオリティに勝つ方法をまた赤裸々に書く

おはようございます。ファイアーループの足立です。しばらくの間は、くち開いたらこればっかりですよ!「ファイアーループは、クラウドファンディング実施中です!」詳細はコレを読んだあと、リンクを参照してくださいね!

今回は、当クラウドファンディングについての「素人なりの」「映像技術的な」お話。もう散々言っていますが、今回のクラウドファンディングは「ライブ収録、配信、保管を完全なものにしたい!」というテーマでやらせていただいています。いったい何をもって完全なのか。完全ってそもそもなんなのだ。この先は本当に無いのかってことなんですが、ずばり言ってしまいましょう。マジでもうこれで進化は完了です。冷蔵庫や炊飯器やトースターや電子レンジの進歩がとっくに完了したのと同じように、2Dでの収録映像クオリティもそろそろ完了を迎えつつあるのです。

今回のコラムタイトル、また何やらキナ臭いことを書いていますが僕はマジでテレビ(特に民放、特にCM)のクオリティやそれに携わる人達の超技術力に感服しています。尊敬しています。ドシロウトの自分が片手間に練習して、ちょっとネットかじったくらいでは到底追いつけないことを知っています。なのにどうやってテレビ(民放)クオリティに勝つというのか。どうやって15秒のCMに何億円もかける予算感が叩き出すハイパークオリティに対抗するというのか。どうやってMステに勝つというのか。

まず結論から言うと、テレビに出来ないことをやるんです。それが「テレビに勝つ方法」です。実はテレビにもできないことはたくさん有ります。例えばファイアーループがプッシュしている「定点カメラでのライブ映像」もそのひとつ。テレビで定点カメラなんてそもそも有りえません。これは単に「ショボい」と感じる視聴者が多いというのも残念ながらあるかもしれませんが、今さら「この音楽番組は定点カメラでやるから、カメラスタッフもスイッチャーも監督もいりません」ってなかなか難しいし冒険すぎると思う。人に仕事をあげなくちゃいけないからです。

で、仮に思い切って定点映像でやってみようということになったとしても、その合間に色々派手なCM映像が入ってくるもんだから、メインコンテンツの絵面にインパクトが無いのが相当に目立ちます。人間の感覚って、派手なやつを見た後の静かな絵って単に「平和なもの」「退屈なもの」「さぶいもの」にしか映らないんですよね。大きい音を聞いた後に小さい音を聞いたらぜんぜん聞こえない、みたいに。だから、わざわざそれをやる必要も、確約されたニーズもテレビには無いというわけです。X JAPANとかが「オレたちは定点でやるぜ!そのままをお届けダァー!!」とか言ってくれたら面白いんだけどなあ。

そもそも「アップの映像をどんどん切り替えていく」という手法は、家庭のブラウン管テレビが小さくて解像度もぜんぜん低い時代に「でも迫力のある、臨場感のある映像を見せたい」という気持ちから産まれたものだと勝手に解釈しています。現に、テレビがデカく高解像度になった今ではいわゆる「引き」の絵が見直されています。特にドラマの撮り方はここ10年でずいぶん変わったそうです。ただ、デカい会場のデカいステージを1台の定点カメラで収録してもメンバーひとりひとりが豆粒になりますから、コレも面白くありません。表情も手元もなんもわからんかったら流石に何を見てるのやら、というわけです。

ここらへんで「ファイアーループくらいのサイズの会場」が勝つスキマが見えてきます。

テレビは派手じゃないと成り立たない。だから、カメラマンの派手な動きに耐えるシステムが必要になってきます。例えばHDMIという、いかにも家庭用って感じのケーブルありますよね。十分高性能なんですけど引っ張ったら簡単に抜けちゃうし、一回抜けたら復帰に時間がかかるし、ケーブル自体が繊細なのでぶんぶん振り回しているとすぐに断線します。推奨の長さはなんと5m。ブースターとか噛ませて、頑張ってやっと20m。こんなの現場では使えません。だからテレビでは普通「SDI」という規格のケーブルと、SDI出力対応のカメラとスイッチャーを使います。SDIはHDで200メートルも引き回せるし、抜けどめのロック機構も使えるし、構造がシンプルだからすごく丈夫です。ただし音声はナシで、映像のみの転送です。民生用として売られていない(必要ない)から、システムは高額になります。

テレビ収録には他にこんなのも必要です。「トークバック」。これはエライ人が色んなカメラスタッフにマイクで指示を出すのに使います。「3番もっと寄って!」とか「5番もベースの手元狙って!」とかです。こういう機能が内蔵されていたり、別で回線を引き回したりします。

あと、すごい手ブレ補正も必要です。あるいはジンバルとかステディカムとか。カメラの動きを派手にしたいからクレーンとかレールとかドローンとか。で、いくらそいつらが動き回るとはいえやっぱり単焦点レンズでは仕事になりませんから、全てズームレンズ。単焦点レンズと同じ位の明るさのズームレンズなんて1本何十万何百万という世界。でもこういうのを揃えないとMステになりません。それに対して、一眼カメラ用の単焦点レンズなんて超高性能でもせいぜい10万円くらいです。これでも単体の絵としては超十分なクオリティ。おやおや。小さいライブハウスの定点カメラでの映像、勝てるような気がしてきませんか?

最近10年くらい、カメラの性能なんてほぼ止まっています。僕の知る限り、いちばん進化したのはボディ内手ブレ補正かな。OK!定点カメラ収録に手ブレ補正なんか全く必要ありません!次に解像度と色、ダイナミクスですが、一般の人がぱっと見て違いがわかるかな、ってくらいの進化だと思う。メーカーさんごめんなさい!そろそろ他に期待してます!

ピクセルという意味での物理的な解像度は上がりましたが、ぶっちゃけ8Kは映画館くらいデカいか、デカいテレビを間近で見ないとわかりません。ただ、4Kはすごい!あれくらいは欲しいです。80インチくらいの4K映像、電気屋さんとかで見たことあるでしょうか?まじで「目で見るよりキレイ」って感動しますからぜひ見に行ってください。むしろ目のいい少年時代に見ていた景色を思い出したりしてグッと来るレベル!撮る人の技量は大前提ですが、そこらへんで売ってるカメラでも当たり前にそんなのが撮れる、イイ時代になりましたね。もちろん、今回予定しているメラも4K対応です。

色の再現度に関して言えば、正直あんまり(僕には)わかりません。ただし、「Log撮影からのカラーグレーディング」という機能は欲しいところです。これがあれば配信や録画の際、OBSというソフト上で色を調整しても絵が汚くなりませんから、実際にライブハウスで見た色に近いって(たぶんイツキが)思うように調整すればバッチリ!ちなみに、ライブハウスの照明の色なんて自然界に比べたらデタラメもいいとこですから、何が正しいなんて言うのはあんまり無いです。自由にいきましょう。

ただ、演者の表情や手元なんかはハッキリ見たいですよね。残念ながら、今使っているカメラ(GH4)では限界があります。さすがに10年前の機種ですから仕方ないです。まず、動画撮影時はオートISOの上限が決められません。オートISOとは何かと言うと、簡単に言うと「周りが暗いときに受光素子(CCDとかCMOS)の感度を自動的に上げる」という機能です。逆に、明るいときは感度を自動的に下げる。これ、ライブハウスの収録では必須の機能です。なぜかというと、ライブハウスはめちゃめちゃ暗かったり、かと思うと超まぶしかったりするからです。この「明るい」「暗い」の差が激しすぎて、現代のカメラではとてもじゃないけど全て受けきれません。しょっちゅう黒つぶれになったり白飛びしたりします。だから、受光素子の感度を自動的にどんどん変更して「自然に見せる」という、言わばシミュレートをするしかありません。

うちにあるカメラにはその「オートISO」の「暗い時にどれくらいまで感度を上げるか」のマックスを決められないので、例えば暗転したりすると「おっスゲー暗いじゃん!おもっきり上げたろ」っていらんことをします。結果、暗転なら暗転でいいのに超高感度の、ザラッザラの映像を渡してきたりします。ここまで極端にはGH4はやらないけど、例えば青だけとか赤だけの照明の時に「そうじゃねえだろ」っていう絵を平気で出してきたりするんです。これ、次世代機のGH5から改善されました。

「聞かれもしないことをオタクがどんどん喋ってる」みたいになってますが、でもまだまだあるので箇条書きにします。うるさいと思うけど聞いてくださいよ。当クラウドファンディングで導入予定の「Blackmagic Studio Camera 4K Plus 」の何がそんなにイケてて、これにて「完全なクオリティである」と僕が言い切っている裏付けになると思うので!

【Blackmagic Studio Camera 4K Plus のスゴいところ】

・4K60PでHDMIから出力できる(今のカメラでは4K30Pまで)

・そのまま4K60Pで収録・配信してもいいし、それをFHDにダウンコンバートした画質は単に「2×2=4ドット」を1ドットにまとめるだけなのでFHDカメラで収録するより色情報が豊富(普通は省略している)。

・写真撮影を想定しないので、受光素子の解像度が4Kドットバイドットのこのカメラが最適。リサンプリング(カメラ側の処理)が不要だから、そのままのピクセル情報がHDMIから出る。はず。ちなみに今のカメラでFHD出力すると「写真用の解像度」から単純じゃない倍率でリサンプリングされます。

・手ブレ補正機能が無いけど、定点収録なのでそもそも不要。余計な機構は無いほうが固定カメラでは安定するそうです。

・固定カメラなので、SDIじゃなくていい。HDMIで十分

・パソコンで収録するので、本体にSDカードとか入らなくていい。むしろ録画機能もいらない

・4Kキャプチャすると、ツイキャスなどでFHDで配信・収録する際に解像度を犠牲にせず拡大できる

上の話と重複になりますが、

・Log撮影ができるので、色もとことん調整できる

・オートISOの上限が設定できる

・オートISOのスピードを設定できたら嬉しいけど、たぶん速いんじゃないかな。遅いのは遅いで「眩しさ」を表現できるから出来れば調整したい(未確認)

・HDR(ハイダイナミックレンジ)でHDMIから出力できるが、OBSもツイキャスもHDMIキャプチャもまだ非対応なので、これだけは将来に期待

わかってるだけでも、今よりこんなにアドバンテージがありますし、正直言ってこれよりスゴい映像が撮れる状態ってもうなかなか無いと思ってます。どうですか?「完全」ってすぐそこでしょ?今後のカメラの進化って、あとちょこちょこ機能が足されていくだけじゃないかと踏んでいます。重ね重ねごめんなさいカメラメーカーの人。被写界深度がAIで調整できる、とかはいずれ付くかもしれないね。iPhone13のシネマティックモードみたいにさ。でもごめん、当プロジェクトには不要です!

冒頭でも書いたとおり、僕は映像に関してはドシロウトですから、ちょこちょこ間違っているところがあるかもしれません。ただ、今回の企画を受けて、業務映像機器の営業している人と飲みに行く予定が立ちました。プロですよプロ!コレは心強い!!もうめちゃめちゃ楽しみです。聞きたいこと、いっぱい用意しとかないといかんな!

今回は、定点収録であるからこそやれる「超低コストでもテレビに勝つ」をテーマに考えています。部分的にでも勝つことができればそれは立派な価値となり、あとはそれを楽しみたい人を探すだけなんです。僕らにとっては15万円のカメラだってすごく高い買い物ですけど、コレでテレビの数百万円のカメラと対抗するなんて胸熱じゃないですか。もちろん機材だけじゃなくて、テレビは百戦錬磨の技術者がリアルタイムに調整するISOやホワイトバランス、絞り、レンズ選び・レンズさばき、構図選び、スイッチング技術、その他諸々の「僕が一生かかっても絶対勝てない」ものを持っていますから、その土俵では僕は戦いません。勝てません。僕にはそれ以上の価値を安定して提供できません。その代わり、ライブハウスにはライブハウスの戦い方があるということ、それを大事に育てていこうではありませんか、という企画なのです。なんだこの尻すぼみな締め方は。今回、言いたいこと言い切ったので次回はまた違った切り口から当クラウドファンディングのお話をします。しつこくてごめんなさいね!ではでは!

【クラウドファンディングへのリンクです!】
https://camp-fire.jp/projects/view/505628

【おもしろい説明動画】

https://youtu.be/hLfU96bGY-Y

【LIVE STORAGE】
https://fireloop.net/livestorage

ライブハウス『Fireloop』店長/足立 浩志




プロフィール

足立 浩志

大阪府大阪市のライブハウス

寺田町Fireloop』店長

Twitter:@adatinc

大阪にある、寺田町Fireloopという面白ライブハウスのオーナーで店長です。大喜利が大得意ですが、気の利いた答えを出すまでに1日かかります。

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