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【新春企画】ミューラビライターおすすめアーティスト/曽我美なつめ編

ミューラビのレギュラーライターの中からランダムに担当する新春特別企画、『ミューラビライターおすすめアーティスト』。
さまざまなアーティストのインタビューやライブレポートなどを担当するミューラビライターは、普段どんな音楽に触れ、どんな感性を持っているのかを、おすすめアーティストを通して紐解いていこうというこの企画。
ぜひミューラビライターたちの奥深さを感じてみてください!
今回はbootleg verrollsというバンドでDr.を務め、ミューラビでは中国・四国エリアを中心に地域問わず担当してくださっている、副編集長の曽我美なつめさんです!

新型コロナの終息はまだまだ見えない中、それでも音楽を絶やすまいと、自分達のできることを粛々と続けるアーティストが全国にはたくさん。今回はそんな全国各地のアーティストの中でも特に、日夜さまざまな音楽に触れているミューラビライター陣が注目する方々をご紹介しよう。

ミューラビライター/曽我美なつめ

四国在住のフリーライター。音楽・カルチャーライターとしての活動と並行して、自身もバンドマンとして活動を続けている。大都市から少し離れたここ中四国の土地にも、日々多彩なジャンルの音楽を鳴らす音楽家たちがたくさん。今回はその中でも音楽ファンのみならずミュージシャンズミュージシャンとしても愛されるエモーショナル、ハードコアジャンルのバンドを5つピックアップしてお届けしたい。





 

look at moment/身体の奥を揺する獰猛な激情型エモーショナル

香川を拠点として活動しているlook at moment。結成から約10年、四国のハードコア界隈を先頭で牽引し続けてきた、まさに四国のバンドシーンの雄とも呼べる存在だ。彼らの最たる魅力は何よりも3ピースという質素な編成に似合わない、膨大な質量を伴うかのような熱く激情迸るその音圧だろう。鳩尾の殴打を錯覚するかの如く、体の中の臓物をびりびりと振動させる轟音。それは一定の音楽好きにとっては、これ以上ないくらいに堪らないスリリングさと興奮を呼び覚ますサウンドとなっている。

2020年6月には、これまたハードコア・エモーショナル界隈では評価の高い東京のsans visageとのスプリット7インチレコードを発売。各種サブスクでも収録曲を視聴できるので、ぜひチェックしていただきたい。

 

kinderwalls/それでもまた明日を歩いていくための唄と言葉を

同じく香川を拠点とする3ピースバンド、kinderwalls。哀愁や寂寥感の漂うジャパニーズオルタナを背景に感じさせつつも、曲中に散りばめられたどこか耳に残るユニークなフレーズやメロディが印象的なバンドだ。確かなバックグラウンドが感じられる一方で、彼らにしかないその唯一無二のサウンド。四国のみならず他エリアからの注目度も、徐々に上昇の兆しを見せ始めている。

また楽曲の中で紡がれる歌詞も、決して背伸びした理想ではなくどこまでも今日と地続きの日々の情景。辛いことも苦しいことも、忙しい毎日の中で置き去りにしそうになる感情も。1つひとつを丁寧に拾い集めて携えながら歩く。そんな何気ない日々の営みを、彼らは慈しむように歌ってくれている。

 

Gremlin/ポップで軽やかなメロディに漂う焦燥感と疾走感

Gremilinは、徳島を拠点に活動している3ピースロックバンドだ。シンプルな編成から紡がれるその音楽に感じるのは、ポップさと共存する軽やかな疾走感。からりと乾いた心地よい風を思わせながらも、その中にはどこか明るさ一辺倒だけでないアンニュイさをごく仄かに漂わせている。それこそが大勢の音楽好きを、現在進行形で今も尚次々と虜にし続けているバンドの魅力の1つのようにも思う。

一方で単純なポップロックという枠に収まることなく、時折挟み込まれるトリッキーなフレーズもリスナーの心を掴んで離さない。日本という狭い島国だけの価値観に留まらない、万国共通のサウンドの吸引力。それらは実際に少しずつ、海を越えた先の人々にも評価されるものとなりつつあるようだ。

 

Turncoat/遠く海を越えた地でも鳴り響くディストーション

愛媛を拠点とする3ピースバンド、Turncoatは名実ともに界隈では知る人ぞ知るエモーショナル、オルタナティブバンドだろう。彼らもまた10年をゆうに超える活動の中で、時にその活躍は日本を飛び越え遠く海外にも及んでいる。

ストレートな歪みの利いたバンドサウンドと、目の覚めるような張りのある男女ツインボーカル。身も蓋もない話なのだけれど、このバンドの音楽を評価する際に過剰で余計な日本語なんか使う必要はなくて。只々格好いいという単純明快な言葉と自ずと力の入る握り拳、それが何より彼らの音の魅力を物語る材料たり得るのだ。その素晴らしさは音楽をたくさん聴いているリスナーだけに飽き足らず、同じステージに立つミュージシャンこそ痛感するようなものでもあるのかもしれない。

 

elephant/静の哀愁と動の轟音を併せ持つ変幻自在のバンドサウンド

西日本有数の夏フェス「WILD BUNCH」の開催地でもある山口。都市部の人々から見れば一見地味な地域かもしれないが、その実は非常に多彩なアーティストが切磋琢磨し合う県でもある。そんな山口のelephantと言えば、中四国のみならず全国に散らばるエモーショナル、オルタナティブ界隈のドープな音楽好きなら間違いなく知っているバンドだろう。

間もなく15年を迎えるその長い活動の歴史に裏打ちされた安定感のあるサウンドは勿論、特筆すべきは静と動を併せ持つダイナミクスだ。ある種の美しさやカタルシスすら感じさせる、圧巻の迫力を持つエモーショナルな音。世界情勢はまだまだ予断を許さない状況ではあるものの、叶うのであればその生音はぜひ一聴するべき価値のある音楽だと自信を持って断言しよう。

 


 

まとめ

ここ数年のオンライン環境の技術向上のおかげで、今やメインストリームで鳴る音楽は東京・大阪の都市部のものだけではない。アナログの時代からは考えられないほどに、今や各地方で鳴る良い音楽を探す、ということも、方法さえ知っていれば非常に容易いものとなっている。アフターコロナの時代、これまでに以上に全国各地からさまざまな面白い音楽が鳴り響く時代が来ることが、今からとても楽しみだ。

 

(Text by 曽我美なつめ




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