【連載】チセツナガラ小唄ぺこのどないせえと?/第22回

<毎週水曜日連載>
放ツ願い
ソウルフードと共演してきました。
大阪でバンドしてるのにソウルフード見たことがなくて。
聴いたこともなかった。
ベースの安井くんにはfireloopで特に世話になってるのに。
バンドマン、関係者しか入場できないワンマンでセカンドライン埋めるような人望を持ってるのに。
というのも共演するまで聴かないでおこうって思ってたからで。
僕はボーカルのふみやんさんとギターのふじむさんがソウルフードの前に活動してた、「放ツ願い」ってバンドのファンだったんです。
今でも聴いてるくらい。
拗らせた痛いファンにありがちで、受け入れらるかどうか心配してた。
は?やろ?
拗らせた気持ちも年々薄くなって、「見に行こうか」って気持ちもあったけど、ここまで意地張ったし共演できないほど遠くにいるわけじゃないでしょうと。
でも多分、昔の僕達の言葉で言うところの、「俺の前田典昭」はもうそこには居ないはず。
めちゃくちゃ朗らかで優しくなってるし、太ったし、なんか僕より下の後輩に打ち上げでタメ口使われたりするし。
それでもステージでふみやんさんが言葉を紡いだ瞬間、俺はそこに、「俺の前田典昭」を見た。
厳密にはきっと違う。
色々とたくさんの物が変わってる。
ただ、ふみやんさんと、「俺の前田典昭」が間違いなく同じ人物であるという証明。
そこにはあの頃の刃物を突きつけられたような感覚はなかったけどそれとは違う温かさがあって、普通にちょっと泣いた。
僕は今、ソウルフードを聴いている。
こういった、「拗らせ」をいくつも持っているので全部成仏させてあげたい。
ふみやんさんと喋るのはすごく緊張するし、藤村さんには挨拶しかできてないけど。
今の僕は放ツにもソウルフードにも力をもらえる。
またソウルフード観に行こう。
チセツナガラ/小唄ぺこ(Vo./Gt.)