【連載】白航・了の名盤紹介「見た目が良ければ中身もいい」/第3回

<隔週木曜日連載>
Gabor Szabo – Dreams (1968)
今回は、ハンガリーのジャズギタリスト、「ガボール・ザボ」の「Dreams」をご紹介。
正直に白状してしまうと筆者は、このギタリストより先に、音より先に、ジャケットに目を惹かれてこのアルバムに触れた経緯がありまして・・・所謂「ジャケ買い」ですね。
ガボール・ザボは1936年、ハンガリー生まれ。バークリー音楽院を卒業後、チコ・ハミルトン楽団に所属、のちに代表作の一つ「Gypsy Queen」を発表。この曲はサンタナの「天の守護神」でカバーされています。
このアルバムは、彼自身が立ち上げたSkyeレーベルから1968年にリリースされました。
印象的なこのジャケットのイラストは、イギリスのイラストレーター、ジョン・オースティン(1886-1948)によるもの。
題名は「ビジョン」。一見しただけでデカダンで繊細な印象を受けます。
このイラストレーターについては、情報を多く入手することができず、詳しく紹介できない歯がゆさもありますが、
広告制作やポスター、絵本の挿絵などの分野で幅広く活躍したとの事。
特に有名なのは「ハムレット」の挿絵。こちらは言葉で説明するのも無粋なので、是非ご自身で確かめていただきたいです。
曲調に関しては、アートワークから想像されるほどのダークなものではなく、ジャズギタリストらしい(?)穏やかなものが多い印象。しかし管楽器や弦楽器、パーカッションを含む大編成で、非常にバラエティ豊かな佳作ぞろい。
どこか幻想的で東洋的とでもいうのか、サイケデリックな一面もあり・・・。
このブログタイトルを見事に反映したこの一枚、是非お手元に。
白航/了(Ba.)