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【連載】ポルネオ倉庫〜コラム編〜/第17回

<毎週金曜日連載>




大スター

Portoneon(ポルトネオン)うえでぃーです。
先日あるバンドの解散ライブを観に行った。

10年前、右も左も分からないライブハウスという世界に足を踏み入れて間もない頃。
まだ今のバンドPortoneonを結成する随分前の話。

とにかく友達は愚か、知り合いもほとんどいなかった頃に出会ったバンドだった。
歳は全員1歳下で初めて気兼ねなく話せるやつらだった記憶がある。

今みたいにサブスクだってないし、頻繁にミュージックビデオを作るお金もないし、とにかくCDを自主製作してあれやこれやでタワレコに置いてもらうことに躍起になった時代だった気がする。
CDを出したらレコ発→ツアー→ツアーファイナルで新作発表、これを繰り返すわけだ。

音楽業界だけじゃないかもしれないけれどこういったエンタメ業界の進歩は目覚ましいものがある。

2年もすれば簡単に「とりあえずこうしとけば間違いない」みたいな概念は崩れ去るし、大体年末にもなれば解散するバンドが増えて、春にまた新しいバンドが増えていく。

悪い意味でネット社会の現代は叩かれがちだが、実際のところ最近の22歳くらいのバンドマンってすごくクレバーで、いい意味で自分たちとしっかり向き合える子たちが多い。
反対に僕らの時は(まあ言ってもTwitterとかはあったけど)、もう少しこう……なんというか結局蹴落とし合いの世界なんだから表面上笑顔だけど必ず勝ってやるからなみたいな闘争本能剥き出しの同期も多かった。

ちなみに昔の方がいいみたいな話では全然ない。そういうのは好きじゃない。

悔しいけど絶対に売れるに決まってると思っていたバンドはほとんど解散した。
パパになったり、金髪の長髪を切り落として清潔感たっぷりで営業マンをやってるやつもいる。
もちろん売れたバンドもいる。でもほとんどはそこにたどり着けなかった。

あんなに身を削って、あんなに大真面目に音楽で喧嘩してたやつらにとって “ いい思い出 ” になっていった。

数え切れないほどの “ 夢 ” が “ 思い出 ” に変わっていく瞬間を横目で見てきた。
もちろん全員が後悔の念があるかと言われれば、音楽よりもやりたいことを見つけて一生懸命頑張ってるやつもいるから全てがそういうわけではないとも思う。

サラリーマン安泰の時代から、少しずつ先は不透明でもやりたいことをやっていくみたいな風潮に風向きが変わったように音楽業界なんてそもそも足を踏み入れた時点で大博打なわけだ。

ある先輩が言っていた。
当時人気だったその先輩のバンドがサーキットフェスで入場規制をかける中、隣の会場でステージ上の人間の方が多いバンドがいた。
それが今や国民的バンドのRADWIMPSだ。本当に何があるかわからない。

でもきっと肌感覚でここにいるから学べたことがある。

言い方に語弊があればそれは申し訳ないが、時には逃げるが勝ちな場合もある。
引き際を有終の美に持っていくなら今だ。という瞬間は確実にある。

そして環境がその人を変える可能性は結構低い。
その人が変われば環境が変わるわけだ。よく言うベタなフレーズとは逆な気がする。

もちろん業界に差は必ずそこにあるが、音楽業界ではこれが当てはまる気がする。

こんな記事、書き出したら何文字でも書けるからそれこそ引き際を大切にした方がいい。

話をグッと引き戻して先日言った解散ライブの中で、ギターのやつが言ってた言葉がすごく脳裏に残っている。

「僕たちは売れるという戦いで負けました。」

潔くて、あまりにも格好良く感じた。僕にはない強さが彼らの中に確かにあった。

左斜め前の女の子が泣いていた。
彼らはあの子を含め、ちゃんと誰かの人生の支えになっていた。
美しい光景だった。

あんなに愛される彼らが羨ましくも思えた。

例えばPortoneonが同じ境遇になった時、泣いてくれる人っているのかなとか考えたりもした。
そんな内にアンコール最後の1音が鳴り止んだ時、ひとつの時代が幕を閉じた気がした。大袈裟じゃなんかじゃない。
命をかけて10年を歩んだ彼らは、拍手喝采の中ろうそくの火を消した。

あの日、ライブハウスで大スターを目にした。

Portoneon/うえでぃー(Gt.)




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Portoneon/今日の1曲

https://youtu.be/pU9hcs4KzJI

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