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【連載】オ客ハ読ムナ。/第16回

<毎週土曜日連載>




QLIPの話

ハロー!倉坂です。

今日は当初の予定を変更して、QLIP(@QLIP_official)というバンドのことについて書いてみようと思います。

QLIP というバンド。

https://youtu.be/ZdJTVD3H0ak

実は芸歴はかなり長い。

たぶん10年選手。

数年前に突如として音楽性を方向転換。

「え?別のバンドやん?」

「え?もうバンド名も変えたらいいやん?」

ってぐらい曲調が変わりました(笑)。

簡単に言うと

以前は、いわゆる邦ロック調な楽曲に、ひねくれた悪口ばかりの歌詞(笑)という、いかにも大学の軽音にいそうなバンドだったのですが(曲とアレンジのクオリティ自体は高かったけど)

現在は、新旧問わず洋楽から影響を受けたような、サウンド/アレンジに一気にシフトチェンジ。

2000年初期頃の雰囲気というか。

PhoenixやNew Order、80’sな匂いもしつつ

本人達は意識してないとは思うけど、すっとぼけてひねくれつつもポップなこの質感は

実はXTCあたりに近いんじゃないかな?と個人的には思ってます。

QLIPがいきなり方向転換した最初のライブで、新曲を聴いた時

「うわ!めちゃかっこいいやん!クオリティ高い!」

と興奮したのを覚えています。

基本的に、Vo小椋くん(@Kunichika_Ogura)がアレンジの大枠を手掛けていると思うのですが、彼のコンポーザー能力はけっこうすごいと思っている。

しかし

しかし

しかし

そんな風にQLIPがかっこよくなっていけばなるほど

素朴で恐ろしい疑問が僕の頭に浮上します。

「めちゃくちゃかっこいいけど、このサウンドって今の邦ロックシーン/ライブハウスシーンで需要ある?」

ああ、なんとも恐ろしい。

そんなことを考えちゃいけない。

考えちゃいけないんだけど。

これだけ、楽曲のクオリティも上がってるし

本人達もきちんとやりたいことができてるのに

このバンド/サウンドを受け入れる器自体がシーンにはたしてあるのか?

どうやったら、QLIPの良さを受け入れてもらえるのだろうか?

そんな長い旅がはじまってしまいました (もちろん今も旅の途中…)

▼洋楽っぽさってなんだろうか?

洋楽っぽい=なんか雰囲気オシャレ!

みたいな需要は一定数はある。

ニッチかもしれないけど確実にある。

しかし

QLIPの音はたしかに洋楽感はあるけど、そこの需要にはかみ合わない気がなんとなくする。

この場合、リスナーさんが求めているのはあくまで「雰囲気オシャレ」。

本質的な洋楽っぽさというのは別に求めていない。

極端な話、この需要に対しては

①楽曲の構造が”邦ロック”で
②メロディの譜割りが日本人的でも、
③なんとなくカタカナ英語で、それっぽい雰囲気をだせているバンド

の方が確実に需要がある。

その点、QLIPの場合は

①洋楽感を咀嚼して自分達の血肉にし
②きちんと脱力日本語ポップスに昇華しているので、

この「雰囲気オシャレ」の需要には、まったくかみ合わない。

なんなら「洋楽、洋楽」と倉坂は連呼してるけど、QLIPってそんな洋楽っぽい?と思われている方もいるかもしれない。

コンポ―ザー目線で考えたら、これ上手くいってるんですけどね、

「雰囲気オシャレ需要」を狙うとしたら、まったく上手いっていない。

残念。

まぁ、本人たちはそもそも、そんなとこ狙ってもいないとは思いますが。

▼QLIPの歌詞の話

さてさて、そうなると一般層に届かせるために「歌詞をわかりやすくしてみよう」という発想になる。

あんまり歌詞の話を深く小椋くんとしたことはないんですが、

基本的に小椋君は「歌いたいこと別にないっす…」タイプだと思うんですね。

意外に思われるかもしれませんが、サウンド/アレンジ重視の曲書きにこのタイプは多い。
(手前みそですが、僕もこのタイプです)

そう、当たり前のように言葉として

歌いたいことや伝えたいことが、みんなにあるわけではないんです。

そんな小椋くんが歌詞として選ぶ言葉というのは、

以前は、他人へのひがみや悪口だったのですが(笑)

今は、どちらかというと「日常」にシフトしているような印象。

小椋くんの歌詞の主題っていうのは、8割ぐらいは

「どうしようもないけど日常は続いていく。ネガティブな意味でもポジティブな意味でも」

みたいな印象。

そこには現状に対しての解決策も、明日への希望も絶望もない。

良い意味でも悪い意味でも、俯瞰で日常をながめているだけ感がある。

この作風はもはや諸行無常というか。

「古池や蛙飛びこむ水の音」と歌った松尾芭蕉だったり、

それに影響を受けたビートルズのジョンレノンが歌った

Words are flowing out like endless rain into a paper cup
They slither wildly as they slip away across the universe

Across The Universe

だったり

もう、そんな域に達している

…というのは大げさにほめすぎたかもしれない(笑)

直接的に伝えるよりは

行間を読むタイプの歌詞なんですよね!

…ということを書きたかっただけです。

ごめん。

書いてて盛り上がって調子にのった。

僕は彼の歌詞大好きなんですけどね。

ただ、こういう作風って需要あるのかな??と。

だからと言って、説明過多な歌詞になったり、以前みたいに悪口ソングばかりになっても、なんか違うしな…という。

なんかね、大きなお世話かもですが、自分がQLIPの新曲に感動したり好きになればなるほどすごく不安になる。

そして僕が心配するまでもなく、小椋くん本人もやっぱりこれらに関しては自覚あるみたいです(笑)

▼ついにQLIPが動きだした

しかし、そんな泣き言ばかり言っていても何もはじまらないわけで。

自分達が良い!と信じるものを、自信をもって発信していくのがアーティストの仕事だし、

それを一緒に信じて背中を押すのが我々の仕事である。

この「音楽しかできない不器用集団」のQLIPが珍しくがんばりだした。

(いや、eggsに曲を上げただけなんですけど(笑) )

QLIPはそもそも、こういう具体的に「〇〇位を目指します!」みたいなことを公言するタイプのキャラではない。

正直、僕の目から見ても「QLIPはSNSの使い方、下手だな…」と思う。

それでも動き出したら、それなりに応援してくれる人や、反応してくれる人がたくさん現れて

なんと現在3位。(2021.09.07 現在)

たかだか1試聴サイトのデイリーランキングである。

そこまで騒ぐことか!?と思われる方もいるかもしれないけど

これは、音楽以外まったく出来ない不器用集団からすれば、本当に大きな一歩。

ほら、やったらやっただけ、きちんと結果もついてくるやん!?と。

小さな一歩が大きな希望になっていけば良いな…と。

大げさかもしれませんが、QLIPの頑張りを見て目頭を熱くする僕でありました。

というわけで、今後ともQLIPをよろしくお願いします。

そして一緒に南堀江knaveもよろしくお願いします。

▼QLIP余談

冒頭にも書きましたがQLIPさん、実は芸歴が長い。

もう10年ぐらいはやっていると思う。

ネットで検索すると昔のインタビュー記事なんかも出てくる。

引用元:https://skream.jp/interview/2014/12/qlip.php
引用元:https://www.jungle.ne.jp/sp_post/206-pupupuland_qlip/

こういうのも、いま読むと面白いですね。

初期に関していえば、レーベルが一緒だったのもあるんですが

完全に「キュウソネコカミの弟分」という立ち位置だったと思うし、

時代的には

邦ロックバンドの主戦場がフェスに移り

空前の4つ打ちバンドブーム

そんな時期だったと思います。

関西シーンの盛り上がりも手伝い

良い意味でも悪い意味でも、そこに無自覚に巻き込まれた形で当時のQLIPはなんとなく活動していたと思うんですよね。

たぶん

よくわからないままにCDのリリースがあり

よくわらないままにお客さんがつき

よくわからないままにお客さんが離れていき

そんな時期を過ごしてきたバンド。

そこでチャンスをモノにできなかったのは、もちろん本人達の責任だし、

勝手に僕目線で、被害者のようにQLIPを扱うのは違うと思うのですが、なんだかそんな印象もあります。

要は一度、挫折を味わったバンド。

それでもそのあと、マイペースではあるけど活動をやめなかったQLIP。

今はメンバーさんそれぞれ仕事もきちんとしているし、社会人としての一面もきちんとある。

コミケーションの下手くそなメンバー達ではあるけど、たぶんイメージほど「コミュ障」ってわけでも実はない。

むしろVo小椋くんなんて、人懐こいイメージすらある。

「第1期QLIP」を「スーパーこじらせ大学軽音バンド」とするなら、

今の「第2期QLIP」は「スーパーこじらせ社会人バンド」だと思う。

ある種の社会性をきちんと体得しているメンバーさんのバンドだけに

ライブハウスにいるインディーバンド特有のストイックさとか暑苦しさという要素は正直なとこQLIPにはない。

でも「普通の人の仮面もきちんと被って生活もできる人間」の「異常なまでの音楽愛」で作られたQLIPというバンドには、

昔には感じなかった狂気的なものを少しだけ感じるようにもなった。

コミカルでキッチュなフレーズで、シュガーコーディングされて、あくまでポップなんですけどね。

だから、そんな普通の人のフリをしてる狂人小椋が歌う日常が僕は愛おしいし

子供がプラモデルを作るように細部のアレンジまでこだわってしまう、小椋くんの少年性も逆に際立っている。

そんな素敵なアンバランスさを手に入れた今のQLIPが本当に好きだなと思う、今日この頃です。

「なんて悲劇的なんだろう」と歌えば、「なんて喜劇的なんだろう」と対にして歌わないとバランスがとれないんですよね。きっと。

なんか、最後の方は自分でも何を書いているのかわかなくなってきたけど(笑)

みんな!!QLIPを応援してください!!

という今週でした。

来週はたぶん通常営業です。

ではまた!!

The denkibran(Vo./Gt.)&南堀江kanve(ブッカー)/倉坂直樹

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過去の連載記事

The denkibran/今日の1曲

https://youtu.be/nwJ5JC2ypnI

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