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【連載】ファイアーループ足立のライブハウスなんかやめてやる!!/第52回

<毎週日曜日連載>




20周年なので、やったことないことをやる

寺田町でライブハウスを始めて、今月でちょうど20年になります。始めたときから、毎日だいたい同じことをしています。しかし、そうこうしている間に時代は随分変わってしまいました。20年も経ったんだから当たり前です。20年前はスマホもなかったしゲームも基本据え置き機だったし、ホームページは掲示板とカウンターだったしおもしろフラッシュだったしユーチューブは無かったし、CDは売れてたしチケット代は安かった。良いか悪いかは別として、そんな時代は絶対に戻ってきません。だから今更「ライブハウスを持ってるオッサンが新しく始める新米ベンチャー起業家」みたいなスタンスで日々尽力していますが皆様はどうお過ごしでしょうか。

僕は先日、寝起きにとつぜん思いついて坊主頭にしてみました。そのざまは、トップの写真のとおりです。みんな優しいので「似合ってる」と褒めてくれるのですが、自分的には「まあまあかな」という感じ。まあまあ似合ってる。頭の形もまあまあ良かった。で、気が済んだので元に戻します。ちなみに息子(4)は眼鏡をかけないと口を利いてくれません。怖がらせて申し訳ない。

坊主頭にした際にあまりに似合いすぎて、そこから二度と戻せない(戻りつつある間がいちばんみっともなくなりそう、というのもひとつある)ってケースを何件か知っているのでちょっとビビっていたんですが、僕に関してはそれほどでもなかったです。そういえばアイアンメイデンのブルースディッキンソンって金髪ロン毛がトレードマークだったんですが、あるタイミングで短髪になった時に全員が口を揃えて「今までがおかしかった」と言うくらいかっこよくなってしまいました。ずっと同じことしてたら見えなくなるものがある。髪型はすごく顕著ですね!

もうちょっと毛髪の話をしようと思います。二枚刈りにしても思ってたほど頭はスースーしないし、期待したほどラクってわけでもない。てゆうか最近は寝起きからモジャモジャをそのままに出勤するのにハマっていたので特に手間は変わらない。とにかく「やったことないことをやった」というだけで満足。やらないと分からないことが世の中にはたくさんあって、踏み出す勇気というか勢いというか、そういった心のクセを付けていきたいなと最近心がけている一環です。面倒くさそうだからやったことないとか、なんかパリピっぽい人ばっかりたくさんいそうだから行かない場所とか、必要ないから目をそらして買わなかったものとか、こういうのをちょっとずつクリアしていけば豊かな人生を歩めるはず、という寸法です。

最近になって「生まれてはじめて」やったことが僕にはたくさんあります。例えば阿倍野キューズモールのゲーセンの、VRゾンビゲームとか。横目で見ながら、興味はありながら2年くらいスルーしていたのを「エイッ」って身を投じてみたり(そんな大したことではないが)。あれほんと勇気を出してやってよかったと思います。なぜかと言うと、さいきん閉鎖されてプリクラゾーンに変わったからです。超面白かったので身内もたくさん誘ってきたのですが、「そのうちネ」って言ってる間に無くなってしまったではないか。なにやってんだもう。次からちゃんとしような!

去年はひらパーのフリーフォールに初めて乗りました。出来たてで話題になったのが1997年なので、知って興味を持ってから乗るまでとんでもなく時間がかかりましたね!これは乗ったあと肺に違和感を感じたので(いぜん肺に穴が空いたことがある)もう乗らないですが、いっかいだけでも乗れてよかった。バンジージャンプやスカイダイビングは無理かなあ。これは残念ですが、仕方ないからほか考えましょう。こんなちっさい所にも冒険はあるのです。女装も頼まれた機会にガチでやってみました。これは全然ダメでした。もう1回くらいはやるかもしれません。もっとちっさい話で言えば、ペヤングのいちばん辛いやつを食べるのも僕みたいな陰キャにとっては立派に冒険です。まぁこういうのはどんどんエスカレートすると最終的には高層ビルに素手で登るとか密閉空間でシュールストレミングの缶詰を開けるとか人前で全裸になるとか無茶苦茶な行動になってしまうようですが、危険なのでほどほどに。ほどほどでいいんです。些細なことでも心に冒険を感じていきましょう。つまり、こんな僕にとって「坊主頭にする」というのはまあまあ大きめの冒険であったわけです。

「せっかくだから」という言葉が若いうちは嫌いでした。両親は「せっかく旅行に来たんだから」といって名所やら絶景やらを隅から隅まで回りたがる人たちでしたが、元来のんびりが好きな僕にとってはいい迷惑で、さっさと旅館に戻ろうや、とちょっと冷めた子供でした。しかし今なら両親の気持ちがよくわかります。この家族、このメンツで件の絶景を共有することは二度と無いかも知れないし、実際に二度は無かった。それがあとあと後悔になるかは別として、たくさんの「やったことない」を見過ごしながら生きていくのは寂しいなと思う歳に僕もなったのだと思います。

なんかエモい話みたいになってますけど、ちょっと心のスイッチを入れるだけで良い人生になると踏んでいます。「このままでいい」とか「めんどうくさい」とか「意味ない」っておもんないおもんないって言ってるのをよく聞きますが、はっきり言いましょう。コレは「イジケ」であり「スネ」であり「老化」「劣化」です。「せっかくだから」の対意語の「どうせ」です。こういった、いわゆる「おもんながり屋」になって自らつまらない人生を選んではいないでしょうか。人生は思ってるより短い。太く生きましょう。そしてそれはきっと難しくないです。「やらない後悔よりやった後悔」とかいいますが、むしろアレですね、ちゃんとやったら後悔すらしないです。僕もいっぱい失敗してきましたが、「ちゃんとやったこと」に関しては後悔なんかひとつもないです。手を抜いたり怠けると後悔しますけどね。

なんか自己啓発本みたいになってますが、そんな大層なもんではありません。何かやったことないことを敬遠するのは自分を守る大事な本能だとも考えます。そもそも「冒険」という行為が命の危険をはらんでいるから大昔から誰に教えられるでもなく人類は慎重なのだと思うし、その危険を回避するため知恵を育んできた先に今の文明があります。今で言うリスクヘッジなので、これがぜんぶ問題というわけじゃないです。その本能が、余計なところでもしょっちゅう作用していると僕は感じていて、それを制御したいというのが僕の考え。着たことないタイプのファッションをしたところで危険なんか無いのに、なんか不安で踏み出せない。人からバカにされそう。笑われそう。結果、人が離れていって、孤独になって、という恐れがきっと深層心理にあるんです。ここをなんとか乗り越えたい。

今は時代が悪いと言うか本当に特殊なのでこの傾向はさらに強いと思います。けっこう頑張ってスイッチを切り替える必要があります。坊主頭にしてめちゃめちゃダサくなったらどうなるか。笑われたりバカにされたり、軽蔑されたりしたらどうなるのか。考えて「いやそんなん無いやろ」と。そんな事くらいで自分の社会的評価が下がることはないだろうと。逆の発想でいくと「今やったほうがいい」という例えば将来、頭が薄くなってきた時に慌てて坊主頭にしたり帽子をかぶって隠すより「いっかい坊主にしたことある」という履歴を持っていたほうがイザという時に周りに気を使わせなくて済むな、などなど。まー僕はこういう人間なので色んな角度からごちゃごちゃ考えて「腑に落ちる」。ここまでいくと絶対後悔しないです。これはあくまで例ですけどね。

「20周年でなんやかんや」というタイトルで書き始めたものの、ほとんどがくだらない髪の毛の話になってしまいました。大きい会場を借り切ってライブイベントを開催するのも僕らにとっては初めてのことですし、ミュージシャンに付いて行って、他所の会場の音響を担当するのも毎回「やったことないことだらけ」だからとても楽しいです。着慣れないスーツを着て企業に営業に行くのもすごく楽しいし、つたない英語とグーグル翻訳で外国人と技術的な相談をするのも楽しい。奥さんは最近マックブックを買って映像編集を勉強していて、これも楽しそうです。やったことないことはとにかく不安だけど、人生の肥やしとしてオススメなのでぜひ意識してみてください。まずは買ったことないおにぎりを買うとかでもいいですから「やったことないこと」大事にしていきましょう。ではでは!

ライブハウス『Fireloop』店長/足立 浩志

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プロフィール

足立 浩志

大阪府大阪市のライブハウス

寺田町Fireloop』店長

Twitter:@adatinc

大阪にある、寺田町Fireloopという面白ライブハウスのオーナーで店長です。大喜利が大得意ですが、気の利いた答えを出すまでに1日かかります。

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