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【連載】オ客ハ読ムナ。/第13回

<毎週土曜日連載>




そもそもライブなんて楽しいわけがない

先日、某バンドの人と話をして、ふと気づいたことを今日は書いてみます。

その人はポロっと「最近、ライブをしていても楽しくない」と、こぼしました。

「ああ、それは良くないな…」

と一瞬だけ思ったもののハタと気づきます。

「あれ?そもそもライブってやってて楽しいものだっけ?」

極論ですがライブなんて見てる側が楽しむものであって

ぶっちゃけ演者が楽しい必要なんてないんですよ。

ショーであり、エンターテイメントなんだから。

そんなわけで今日は

演者目線での「ライブが楽しい」とは、いったいどういうことでしょうか?

僕たち演者は、ライブのどこに楽しみを見出していくべきなのか?

なんてお話。

はい。

ここから先はお客さんは読まないように。

▼基本的にバンドは楽しい。

気の合う仲間と一緒に集まって楽器を演奏をする。

合奏はやっぱり楽しい。

自分の昔のことを思い出してみると「バンドをやろうぜ!」なんて言い出したのは中学生の頃。

最初はきっと友達と遊んでる感覚でした。

練習スタジオに行くのも一大イベント。

初ライブ

たぶん楽しいより、緊張が勝っていた。

どんな気分だったか実はよく覚えていない。

でも、それすらも楽しかったんだと思う。

だんだん楽器も上手く演奏できるようになってきて、憧れのミュージシャンに近づいていってるような気分も楽しい。

はじめてのオリジナル曲は今聴き返したら拙いものだったかもしれないけど

「自分の曲が出来た!」

それが誰かの曲に多少似ていたとしても、

世界に1曲しかない自分のオリジナル曲ができた時は、このままどこまでも行けるような気がしていた。

もっと良い曲をいっぱい作ろう!

やっぱりバンドは楽しい。

活動も軌道に乗り出してライブの本数も増えてきた。

自分のバンドのライブスケジュールを見ると、月に3本のライブ

まだ、お客さんはあんまり呼べないけど

ライブを一生懸命こなしている自分達は、

なんだか一人前のインディーズバンドになったみたいな気分だ。

これからどんどんすごい事が起きそうな気がする。

感動して泣いてくれるお客さんがいた。

すごく楽しそうに盛り上がってくれるお客さんがいた。

自分たちのライブがはじめて知らない人に届いたような気がした。

やっぱりバンドは楽しい。

ライブは楽しい。

バンド活動は楽しい。

はずだったのに。

あれ?

年月がすぎて

なんとか”こなしている”だけの自分に気づいてしまって

なんだか、最近は楽しくなくなってしまった。

▼次のステップの「楽しい」

そもそもバンドやライブというのはお客さんに向けてやっていることだから

もちろんお客さんの反応がないと楽しくなくなってきます。

もっと良い曲を作りたい!と思うけど上手くできない時は

きっと悔しいし投げ出したくなるし、楽しめなくなってしまう。

演奏だって多少は上手くなったとはいえ

やっぱり上を見だしたらキリがない。

もっと上手くならないと!と思い続ける限り、自分の技術に満足することなんてたぶん一生ない。

たくさんの共演者を見て、自分達よりすごい人達と出会い

「負けた!」と思う日もきっとあって、やっぱり負け続けていたら悔しいし楽しくない。

続けていく限りきっと、だんだんと現状の「楽しい」だけでは満足できなくなっていくんです。

つまり

「楽しくなくなった」というのは、次のステップへの入り口に立っているんだと思うんです。

前のままで満足できないということは、確実にあなたは成長しているんだと思います。

最初に「バンドは楽しい」と書きましたけど

その「楽しい」は、きっと比較的すぐに誰でもたどり着ける「楽しい」なんです。

上手く言えないけど

80%までの楽しいなら、誰でも簡単にたどり着ける。

そこで止めておくのもいいと思います。

「趣味で楽しくバンドをやる」というのは、つまりそういうことだと思うので。

さあ

でも

これから、あなたが残りの20%を埋めて、さらなる「楽しい」にたどり着けるようにと努力をするのなら

これも上手く言えないのですが

楽しくないことを、楽しむ能力が必要になる。

または「その向こう側に楽しみを見出す才能」とでも言いましょうか。

表面的な楽しいよりも、もっと本質的な楽しさに気づけるか?

みたいな。

また別の能力、または気づきが必要になっていきます。

どっちにしろ、これは地獄への片道切符です(笑)。

そして残念なことに、足掻いて足掻いて限りなく100%に近づいたとしても

残りの20%が完全に埋まることはきっとない。

どんなに考えて、どんなに努力しても

いつだって99%まで

残りの1%はずっと足りないまま。

または、やっと100%になった!と思っても、

次の日には「やっぱり足りない!」とまた足掻く日々がはじまります。

つまり

それが「プロ意識」なんだと思うんです。

誰かに向けてのプロ意識なのか

自分に向けてのプロ意識なのか

それは、その人の性格によるかとは思うのですが。

▼あとは「楽しむだけだね!」というアドバイス

「ライブは楽しまないと!」とか

「あとはライブを楽しむだけだね!」

なんてアドバイス。

実際に僕もよくバンドにします。

ただ、これってね

本当に最後の最後にする、おまじないみたいなアドバイスなんです。

本番前の楽屋でガクガクに緊張しているバンドに向けて。

お客さんもいっぱい来てる

練習もいっぱいして

打ち合わせもして

集中力も高めて

本番まであと20分

もう今さら出来ることなんてない。

「じゃ、あとはもう楽しくやろうぜ!」

それぐらいしか出来るアドバイスがない時。

あれは、舞台に立つ直前のおまじないなんです。

比べてしまうとおこがましいかもですが

例えば、オリンピックを目指しているようなアスリートさん。

毎日のトレーニング

科学的な研究

体調管理

メンタルの調整

僕らが想像できないぐらい過酷に自分を追い込んで

残すは本番のみ

もう出来ることは何も残っていない

泣いても笑っても、この本番ですべての結果が出てしまう直前

「じゃ、あとは本番を心の底から楽しむだけだね!」

そんなおまじない。

つまり「本番を楽しむ」というのは

おおげさかもしれませんが、実はこれぐらいレベルの高いところまでいって、はじめて言っていい言葉なんじゃないかな?と、最近の僕は思っています。

だからね

あんまり無理に自分を追い込みすぎて、メンタルを崩してしまうのはダメですが

次のレベルの「楽しい」を実感するために、いっぱい考えて少しだけ無理をして自分を追い込むのも、何かを極めるという意味では大切なんではないでしょうか?

…と、今日はドMな人向けに

「楽しむためにはもっとストイックになれよ!」

みたいな事を書いてみました。

ノリとしては「死にかけて強くなれ」という、完全に戦闘民族サイヤ人のノリなんですが。((C)ドラゴンボール)

余談ですが

自分がライブをしていて「楽しい」と思う時って

「お客さんに伝わった」時。

つまりお客さんと、音楽や演奏を介してコミニケーションがとれた時だったりします。

昨今のコロナ禍中に活動がはじまったバンドさんは、

そんなお客さんからレスポンスを、ステージから感じる機会が極端に少ないなかでライブをしています。

正直なところ、これはすごくかわいそうだな…なんて思ったりする。

あなた達がまだ体験していないライブでの「楽しい」はあるんでね

それを体験するために…!!もうちょっとだけ、がんばってバンドを続けてほしいもんです。

さっさと、声だしたり、みんなで騒いでも怒られない世の中になってほしいと切に願います。

では、また来週。

みなさま本当に体調にはくれぐれも気をつけて!!!!

The denkibran(Vo./Gt.)&南堀江kanve(ブッカー)/倉坂直樹

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The denkibran/今日の1曲

https://youtu.be/w4Ddxniom2g

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